編集後記

2007年9月号 連載 [編集後記]

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男爵(バロン)エリーの訃報が届いた。90歳、アルプス山麓の狩猟用ロッジで心臓発作に見舞われたという。姓はフランス語でド・ロチルド、英語でロスチャイルド。言わずと知れたユダヤ系財閥の一員、フランスで栄えた分家の4代目である。家業を継いで金融家(フィナンシェール)となったが、その情熱は大戦で荒廃したワイナリー「シャトー・ラフィット」の再興に注がれた。かつてルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人が愛飲したそうで、ボルドーワイン好きなら、必ずや舌鼓を打つメドックの第1級ブランドである。▼かれこれ12年前になる。エルサレムで男爵と同席した。旧市街の「ダビデの塔」を借り切った豪勢なパーティー、シオンの丘を望む野外のテント……。夏風のそよ吹く日陰で見た彼のシルエットが思い浮かぶ。大きな円卓が幾つもあり、背中合わせで目と鼻の先の貴賓席にいた。隣席の知人が「あれがバロ ………

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