『21世紀の国富論』
2007年8月号 連載 [BOOK Review]
外来語を取り込むのは、自国語に適当な訳語がないからである。その言葉が指すモノや概念がない、つまり見たことも聞いたこともないわけだが、外来語の定着に伴って、その国なりに消化されていく。バブル崩壊で「失われた10年」以降、経営に関する外来語が次々と飛び込んできた。すっかりおなじみのリストラはさておき、コーポレート・ガバナンス、CEO、ヘッジファンド、アントレプレナー等々、これだけ多くの経営に関する横文字がいちどきにあふれたことはあるまい。言い換えれば日本の経営者の頭にはない概念が一気に押し寄せてきたわけで、混乱の挙げ句、不始末や大失敗をしでかして、首が飛ぶのも無理はないというものだ。そんな経営者たちにとって、この本は救いになるかもしれない。少なくともアメリカ流経営学に翻弄される経営者にとっては、久々に溜飲が下がる本だろう。アメリカを拠点にベンチ ………
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