米中摩擦は1930年代の再現

2007年7月号 連載 [隗より始めよ]

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長年の友人であるアメリカ人のエコノミストが、最近アメリカと中国の間で起こっていることから目が離せないと言っていた。両国間の為替レート問題と貿易摩擦が、世界的な不況が本格化した1930年代を彷彿させるというのである。当時、中国は銀本位制であり、銀貨を使っていた。29年に起きたウォール街の大暴落のあおりを受けて、銀相場は有史以来の安値まで転げ落ちた。中国の通貨が大きく切り下げられた結果、世界貿易が停滞する中で、中国は輸出競争力を確保できた。中国は輸出を増やす一方で、輸入するアメリカ製品は激減した。それに対してアメリカは直截的かつ強引ともいえる手を打った。民主党のルーズベルト大統領が34年に銀買上法を制定、政府が銀を大きく買い上げた。通貨切り上げ効果により中国に購買力を付与して、アメリカ製品の輸入増進を図ったというわけである。目を現在に転じると、アメ ………

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