創造的破壊、道半ば
2007年6月号 連載 [ひとつの人生]
モスクワの救世主キリスト大聖堂で営まれたボリス・エリツィン氏の葬儀には市民約2万5千人が弔問に訪れた。大聖堂から埋葬地のノボジェビッチ修道院までの沿道にも多数の市民が並びロシア初代大統領との別れを惜しんだ。だが、ロシア国民の思いは複雑だったに違いない。エリツィン氏が登場する様々な出来事が想起される。なかでも1991年8月、ゴルバチョフ党書記長の追放を画策したクーデターが進行中、議会前の戦車の上に立ち、抵抗を呼びかけた姿は多くの人の脳裏に焼きついているだろう。この勇敢な行動で政治家としての地歩は不動のものになった。クーデターは結局失敗、ゴルバチョフ氏はモスクワに戻ったが、権勢は一気に衰えていく。そして遂にその年の12月8日、エリツィン氏はベラルーシ、ウクライナの指導者と合議し、ソ連解体を決めた。エリツィン氏は晩年、ラジオ局「マヤーク」のインタビュー ………
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