2007年6月号 連載 [編集後記]
京都の祇園で「都をどり」を観た。子供のころ、亡父に連れられて東京・新橋の「東をどり」を観たことがあるが、年に一度、芸妓さんが舞踏と技芸を披露する晴れ舞台と言われても、絢爛たる衣装に目がくらむばかり、唄の文句も筋立てもわからず、すっかり退屈した記憶がある。祇園の踊りを観るのは初めてだが、年はとっても野暮助のまま。「都をどりはヨーイヤサー」の声に、はあ、これが音に聞く、と陶酔するほかなかった。▼終わってから、イチゲンでは入れない紅殻色の壁のお茶屋「一(いち)力(りき)」に。黒い木の床が軋む。「通」の手引きあればこそだが、常連には「あなただけ」とくすぐる心憎い気配りが、京都流マーケティングなのだろう。歌舞場でお点前役だった芸妓さんもお座敷に見えたが、その話になるほどと思った。イチゲンの観光客はお点前の最前列には座れない。そこはツテのあるお客用 ………
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