土方歳三<中>

心は清き水かがみ

2007年6月号 連載 [第二の男 第5回]

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新選組の創始者2人を生んだ武州多摩は、家康の江戸開府より天領で農民統制がゆるく、農民や町人が武士をまねて武芸に熱心だった。近藤勇は多摩郡上石原村(現東京都調布市)の豪農、宮川久次郎の三男だ。侍に憧れ、15歳で天然理心流の近藤周助邦武に入門して養子となり4代目を継いだ。同流は寛政の頃(18世紀末)、遠江の郷士、近藤内蔵之助長裕が、神道流を学んで一流を立てた。2代が多摩の近藤三助方昌。江戸に試衛館道場を開いた3代の周助、ともに養子である。土方歳三は勇より一つ若い。天保6(1835)年5月5日、多摩郡石田村(現日野市石田)の豪農の家に生まれた。6人兄姉の末子で、父隼人は誕生前に死に、母恵津も6歳で亡くし、次兄で家督を継いだ喜六夫婦に育てられた。11歳で上野広小路の呉服店・松坂屋へ丁稚奉公するが、番頭と喧嘩して1年ともたず、姉ノブが嫁いだ日野の名主佐藤彦五郎の家で ………

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