非難囂々のベストセラー

『アパルトヘイトでなく平和なパレスチナを』

2007年5月号 連載 [BOOK Review]

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ジミー・カーター元米大統領が新著のタイトルに「アパルトヘイト(人種隔離政策)」という挑発的な言葉を使ったのは、イスラエル・パレスチナ抗争を解決に導くために行動を起こさねばならないと人々に気づかせるためだった、と語っている。この狙いはあたり、本書は米国でベストセラーとなっただけでなく、ユダヤ系米国人から囂々たる非難を浴びる事態となった。だが、「アパルトヘイト」という言葉が独り歩きしている観も否めない。この言葉自体は本文中に数回しか出てこないし、カーター本人がかつての南アフリカとイスラエルを同等と見なしているわけではないと強く主張しているためだ。イスラエルの現状をアパルトヘイトと指摘すること自体が誤りであることから、これは当然だろう。26年間、南アでジャーナリストとして過ごし、9年前からイスラエルに在住する評者も、イスラエルとアパルトヘイトと ………

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