私有財産権の不可侵に賛否両論。かたわら、外資の所得税優遇には終止符が打たれた。
2007年5月号 BUSINESS
4月2日、中国の四川省重慶市で2年以上も立ち退きを拒否し続けてきた楊武氏と呉苹氏の夫婦は、ついにその自宅兼社屋を明け渡した。建設会社はすぐ建物を解体したが、多くの中国人の脳裏には今も焼きついている。孤立した自宅の屋上で国旗を掲げ、市民やマスコミにむかって楊武氏が「私有財産を侵害するな」と声高に叫んでいるシーンを。2人は強かった。楊武氏は中国の武術試合では上位の腕達者。妻も日に2回は内外のマスコミを相手に、建設会社や地元当局の「傲慢なやり方」を暴露していた。建設会社は常に公権力をバックに、いつでも住宅を強制解体できると居丈高、地元当局も特定業者をひいきし、裁判所も公正さが欠けていた――などと、暴露は微に入り細をうがっていた。中国の法律にはこれまで「物権」という概念は存在せず、私有財産も公認されていなかった。だが、この3月に開かれた全国人民代表大会 ………
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