偽ドルを「虚構化」するドイツ発の操作

2007年5月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第13回 ]

小説『ウルトラ・ダラー』に描かれている物語はフィクションだ――諜報の世界でいまこうした地下情報がそっと流布されつつある。何者かによって静かな情報戦が仕掛けられているのだ。「嘘のような真実」が、じつは「事実に見せかけた虚構」だった――。こうして人々を贋情報に誘い込む。古都ウィーンに張り巡らされた地下水道のようにディスインフォメーションが流れていく。情報の震源地は、EU(欧州連合)の金融首都フランクフルトだ。「著者としてあなたはどう対応するのですか。関係者はみな息をひそめて見守っていますよ」インテリジェンス・オフィサーのひとりからこう尋ねられた。「あれは小説だと一貫して申しあげているはずです。なにも付け加えることなどありません」やれやれとため息をつきながらこう応じ、定石どおり沈黙を守り通すことにしている。情報戦で感情を露に反論などすれば、わが情報 ………

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