「臓器移植」のモラルはどこへ

病気腎移植の実態が露見。それでも、脳死移植を推進する法改正は手つかずだ。

2007年4月号 DEEP

  • はてなブックマークに追加

昨年秋、愛媛県の宇和島徳洲会病院で、生体腎臓移植をめぐり臓器売買が行われていた事実が発覚。腎臓をもらい受けた患者らが臓器移植法違反(売買の禁止)で逮捕され、昨年12月、松山地裁宇和島支部で有罪判決が下された。だが、事件は腎臓がんなどを患う病気の腎臓を摘出して第三者に移植した「病気腎移植問題」に燃え広がり、日本の移植医療が抱える特異な構造が露呈した。万波誠医師、66歳。山口大学医学部卒業後、泌尿器科医として中国、四国地方の病院に勤務。判明している病気腎移植42例の大部分は市立宇和島病院と、2004年に転じた宇和島徳洲会病院で行っている。腎臓がん、尿管がん、尿にタンパクが漏れるネフローゼ症候群などに侵され、摘出するほど重病の腎臓を他者に移植することは、医学の常識ではまず考えられない。だが、万波医師は「捨てるような腎臓でも、人工透析で苦しむ患者を救うこ ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。