4年半前の「トラブル隠し」の悪夢がよみがえり、「引責」の足音が近づいてきた。だが、本当はこれを奇貨として……。
2007年4月号 BUSINESS [企業スキャン]
3月1日午後、東京・霞が関の経済産業省で東京電力の記者会見が行われた。といっても大臣や経産省幹部が使う会見場ではない。隣の記者クラブの一角、狭い社会部分室のソファが“お詫び”の場にあてられた。居並ぶ記者の前で築舘勝利副社長が深々と頭を下げた。「昨年来、弊社の原子力発電設備などで行われたデータ改竄、不正につきまして皆さまにご心配、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」。すでに東電は1月31日に原発7件、火力2件、水力5件の改竄・隠蔽を公表しているが、さらに詳細な調査結果を携えてこの日、原子力・安全保安院に報告したのだ。新たに原発1、火力6、水力1件の改竄がみつかったという。「まことに残念」とうつむく築舘副社長に容赦なくフラッシュがたかれる。それからである。厚さ4センチもある分厚い資料をもとに、個別案件の細部の説明と質問が延々と続いた。重箱の隅 ………
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