宰相リシュリュー<中>

“国家理性”は憎まれる

2007年3月号 連載 [第二の男 第2回]

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 奉公の至極は「家老の座に直り、御意見申し上ぐる事に候」と『葉隠』にある。家老になり、主君に諫言して国を治めること、私利私欲ではないというのだ。山本常朝の言葉は、純粋かつファナティックである。 リシュリューも権力のデーモンに取りつかれた男だが、人間臭く私利私欲は十分にあった。彼が常朝に近いとすれば、国家と君主という公に捧げた部分の大きさであろう。 さてルイ13世の王権はまだ脆弱だ。大貴族のエペルノン公が謀反を起こし、母后をブロワ城から脱出させ、アングレームに籠って第一次母子戦争が始まった。緊迫するなかで、国王側に妙案が浮上する。「母后の信頼厚いリシュリューを呼び戻し、和解工作をさせたらどうか」 寵臣リュイーヌまでが進言したので、国王も心が動いた。司教は無罪放免、母后に和解を進言する。アングレームの和約がなり、母后にはアンジュー地方総督管区 ………

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