紛糾する議論を引き取ったのは下村官房副長官。愛国主義を掲げる右派勢力の独壇場と化しそう。
2007年3月号 POLITICS [教育も右旋回]
「愛国心は無法者の最後の拠り所である」という英国の詩人、サミュエル・ジョンソンの言葉は大衆の心を呪縛するナショナリズムをとらえた至言である。安倍晋三は「教育改革」を「小泉後」の政権浮揚の拠り所にした。「パトリオット」(同胞)という抗いがたい価値のシンボルとして、教育改革は「保守」を掲げる政治指導者にとって最も国民に語りやすい理念の具体化にほかならない。が、国の誇りの回復や学力向上などへ向けて安倍がその舞台にしつらえた「教育再生会議」は迷走を重ねている。 案の定、再生会議の議論は紛糾した。この1月にようやくこぎつけた第1次報告では「ゆとり教育の見直し」という過去の失政の転換をどうにか打ち出したものの、権益維持をもくろむ文部科学省や自民党文教族は、はなからこれを相手にしようとしない。「官邸主導」が機能しないまま答申が政権の「打ち上げ花火」に終 ………
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