『私の履歴書 渡邉恒雄』
2007年2月号 連載 [TEXT Review]
日本経済新聞文化面の「私の履歴書」は昨年、連載開始50年を迎えたという。各界トップクラスの人材の半生を要領よくまとめて好評だが、最近では12月に連載された読売新聞主筆、渡邉恒雄氏の履歴書が面白いと評判だった。同じ全国紙の経営者に紙面を提供するのも異例の試みだが、確かに読者を飽きさせない内容である。 旧制高校で軍国主義の校長らを襲撃した事件、東大時代の共産党入党・除名のいきさつ、女子学生との恋の顛末。全30回の3分の1を幼時から新人記者時代にあてている。世に出る前の時期は、筆者の個性がうかがえ、誰の履歴書でも読者の共感を呼ぶ部分である。 問題はその先。官僚や経営者の履歴書では、出世の階段を上り始めたとたん組織の歯車としての行動中心の叙述になり、興味が損なわれることが多い。その点、渡邉氏は吉田内閣当時からの政治部記者で、自民党創設以来の裏面史にも ………
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