車椅子に乗った妄想の独裁者

演劇『リア王』

2007年2月号 連載 [IMAGE Review]

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 モスクワ芸術座が昨年暮れ、18年ぶりの東京公演を行った。演目はシェークスピア原作の『リア王』。日本の小劇場運動の先駆者、鈴木忠志の演出で、鈴木が開発した俳優訓練法「スズキ・メソッド」で鍛えられたロシア人俳優が演じるのだから時代も変わったものだ。 世界を病院にみたてた鈴木の『リア王』には、車椅子に乗ったリア王が登場する。1984年の初演後、英国など世界各地で上演されている。鈴木演劇の特徴は、テキストのコラージュにある。原作を脱・構築し、演出家の批評的な作品をつくる。ここは精神病院で、患者の妄想の中での出来事なのだ。リア王は老人ではなく、独裁者に見える。ロシア人俳優が演じるリア王は、さしずめプーチン大統領になるのかどうか。 何よりも意外に思えるのは、旧ソ連時代、社会主義リアリズムを標榜したモスクワ芸術座の俳優が、非リアリズムで、日本の伝統芸能な ………

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