2007年1月号 連載 [硯の海 当世「言の葉」考 第9回]
俳人種田山頭火研究の第一人者である作家村上護さんは著書『種田山頭火 うしろすがたのしぐれてゆくか』(ミネルヴァ書房)でこう書いている。「手元に年月を記していない新聞コラムの切抜きがある。生前、居酒屋で隣り合って話したこともある評論家の平野謙氏の文章だが『私小説ならびに私小説作家の生き方を、伊藤整が破滅型と調和型とに分類したのは、よく知られていよう。(中略)破滅型の元祖は小説家ではなく、俳人であることがよくわかる。尾崎放哉(ほうさい)や種田山頭火の破滅的な生涯が、芭蕉以来の伝統に発したもので、その根深さは近代小説の比ではないことは明らかである』と書いてあるのが印象的だ」 ほとんど授業に出なかった大学時代に、全部出席したたったひとつの授業が平野謙の「文学論」だった。俳句の話をだいぶ聴いたような記憶はあるが、山頭火の存在を当時は知らなかった ………
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