慌てるな。ロシアの工事承認取り消しの引き金は、「総事業費倍増」を告げたシェル。選択肢は三つある。
2006年11月号 BUSINESS
日本人漁船員1人の命が奪われた北方領土海域でのロシア国境警備隊による漁船「第31吉進丸」の銃撃・拿捕事件を上回る巨大な衝撃が、日ロ間に走った。 2008年のLNG(液化天然ガス)輸出開始を目前に控え、第2段階(フェーズ)工事の8割が完成していたサハリン沖の石油・ガス開発プロジェクト「サハリン2」の工事承認を取り消すという、寝耳に水のロシア天然資源省の発表である。 サハリン2はサハリン北部東岸のビルトン・アストフスコエとルンスコエの2鉱区(推定原油埋蔵量11億バレル、天然ガス18兆立方フィート)開発計画で、第1段階は1999年から原油生産を開始、日本のほか中国・韓国・米国に輸出している。事業主体であるサハリン・エナジーには、国際石油資本(オイルメジャー)のロイヤル・ダッチ・シェル(55%)を筆頭に、日本の2大商社、三井物産(25%)と三菱商事(20%)が出資している ………
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