北にあざ笑われた「プレスリー同盟」

2006年8月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第4回]

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「Xデー」のその日、ワシントンでは独立記念日を祝う花火が暮れなずむ空に次々に打ち上げられていた。キャピトルヒルとホワイトハウスを結ぶモールを埋め尽くした人々は、夕空に咲き誇る大輪に歓声をあげた。さんざめきがポトマック川を渡って聞こえてくるのをよそに、ペンタゴンの情報官たちは、緊急電の処理に追われていた。北朝鮮が日本海にミサイルを4発、5発と打ち上げていたからだ。 国防総省のオペレーションルームの大型のスクリーンにも早期警戒衛星がとらえたミサイル情報が映し出されている。「ミサイル発射の一報」はハドリー国家安全保障担当補佐官を通じてブッシュ大統領にすでに伝えられていた。それはブッシュ・ホワイトハウスの柔らかい脇腹をえぐる一撃だった。「ミサイル発射近し」を窺わせるインテリジェンスは、7月に入って断片的に伝えられていた。アメリカの偵察衛星は、北朝鮮 ………

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