クレディ・スイス「水と油」の終焉

銀行と保険を兼ねる「バンカシュアランス」は部門間のいがみ合いに終始。ついに諦めるまでの茨の道。

2006年8月号 BUSINESS

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 欧州金融界の誰もがその巨額に目をみはった。総額123億スイスフラン、邦貨にして1兆1500億円という売却である。 スイスに本拠を置く国際金融グループ「クレディ・スイス」が6月14日、保険事業部門ウインタートウルを、フランスの大手保険会社アクサに売却することで合意した。が、この売却は、金額以上にクレディ・スイスにとっても、金融界にとっても、一つの時代の終焉――「バンカシュアランス(銀行保険兼業)」の終焉を意味していたのだ。 クレディ・スイスは1990年代、ルーカス・ミューレマン元会長兼CEO(最高経営責任者)の強力なリーダーシップのもとで総合金融路線をひた走った。97年にはウインタートウルと合併、当時もてはやされた「バンカシュアランス」へと突き進んだのである。そのウインタートウルを切り売りするのだから、クレディ・スイスが保険事業から撤退することを意味する。ミ ………

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