「官から民へ」の掛け声に踊らされ、数万件の公共施設が一斉に民間の手に。性急な新制度に地元は右往左往……。
2006年6月号 POLITICS
文化会館や市民プール、美術館など、住民にとって最も身近な公共施設の管理運営を、民間企業などにも開放する「指定管理者制度」。「官から民へ」のスローガンを掲げる小泉首相の肝入りで導入された地方改革の目玉だ。経済財政諮問会議の骨太の方針で提起され、2003年9月の地方自治法改正により実現した。この制度の狙いは従来、直営か自治体出資の第三セクターに限られていた、公共施設の管理運営を民間開放し、官業に民間の知恵を注入することにある。 今年9月の導入期限を控えて、今年4月から新たな指定管理者の下で運営ラッシュを迎えている。自治体の公共施設は全国で約40万件、公募件数は数万件にのぼると見られ、毎日のように新聞を賑わしている。三菱総研によれば「指定管理者制度の市場規模は潜在的に年間10兆円以上」。民間企業に莫大なビジネスチャンスをもたらし、財政削減にも役立つ、 ………
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