「ものづくり復権」の幻

2006年6月号 連載 [隗より始めよ]

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 製造業の業績は回復しているが、「ものづくりの復権」などと早合点してはならない。ネットのサイトで国民生活センターが逐次発表する「回収・無償修理等のお知らせ」をみればよい。不良品の件数は年々増加し、歯止めがかからない。 専門家に言わせると、製品不良・欠陥の原因の大半は「設計上のミス」に帰す。名門大学理工系卒の技術者がロケットエンジンをつくる日本を代表する企業に就職したが、高校1年の数式を解けない。より根本的な問題は人材一人一人の資質というよりも、なぜ組織全体として設計段階で間違うのかである。 ものづくりとは、もともと設計から最終の組み立てにいたる全体の統合プロセスである。設計がめざす性能がいくらすばらしくても部品や金型を含む製造工程や各工程間のつなぎで間違いを起こしやすいと良品率(歩留まり)が悪化してしまう。 日本は80年代から90年代半ばま ………

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