2006年5月号 連載 [編集後記]
老人の独り言ではないが、胸の奥に浮かんだリフレーンを、創刊号の編集中はずっとつぶやいていた。「けおそろしき美が生まれる」 ちょうど90年前の4月24日、復活祭 のさなか、英国の支配を脱しようとアイルランド独立派の義勇軍が蹶起し、首都ダブリンの中央郵便局を占拠した。その「復活祭蜂起」(イースター・ライジング)を悼んだW・B・イエーツの詩の一句である。蜂起は鎮圧され悲劇に終わったが、それでもイエーツは「なにもかも変わった」と詠い、大英帝国に挑んだあげくの散華を「けおそろしき美」と呼んだ。 ▼目をあげると、窓の外は万緑の季節である。木洩れ日が美しい。ことしは聖金曜日が4月14日だった。イースターの休みをはさんで本誌は刷りあがり、読者に届けられる。なぜ「けおそろしき美」の言葉が胸を去りやらないか……得心がいった。ものみな一斉に花ひらくイースターの絢爛たる風 ………
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