福島汚職「賄賂0円」判決の前代未聞

有罪となったが、「無形の賄賂」と苦しいレトリック。佐藤栄佐久前知事の執念の前に、特捜部は顔色なくす。

2009年12月号 DEEP

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10月14日、東京・霞が関の裁判所合同庁舎。東京高裁の622号法廷で午後1時半の開廷直後、判決主文が言い渡された。記者たち十数人が入り乱れて飛び出してくる。携帯電話で司法記者クラブや新聞、テレビの社会部に速報する切迫した声が、廊下にこだました。「有罪です。栄佐久被告が懲役2年、執行猶予4年。祐二被告が懲役1年6月、執行猶予4年です」判決をリレーして聞くために外で待機していた同僚記者が尋ねた。「追徴金はどうした?」「あれ? あれ?」東京高裁刑事5部(若原正樹裁判長)は、福島県汚職事件で収賄罪に問われていた前知事の佐藤栄佐久被告と、共犯とされた弟の祐二被告に対して、一審の東京地裁による有罪判決を破棄、2人の刑を軽くすると同時に、一審判決が祐二被告に課した追徴金をゼロにする判決を言い渡した。収賄罪は賄賂額を追徴金で没収する。賄賂額認定は事件の核心だ。それを ………

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