電通専務とFIFA「裏金」

スイスの裁判で、起訴状に衝撃のリストが出現した。02年サッカーW杯日韓大会の裏で、私した日本人は誰か。

2008年6月号 COVER STORY [「広告の巨人」追撃第1弾]

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3月11日、ツークは氷雨が降っていた。スイス中央部のツーク湖畔のほとりにある州都。旧市街には時計塔、礼拝堂、火薬庫が並び、さながら中世の町だが、鉄道駅周辺になると雰囲気が一変して、現代的で無機質なビルが立つ風景である。その一角にあるのが刑事裁判所だ。教室のように殺風景な法廷に6人のスーツ姿の男が集まった。何十億スイスフランもの札束が乱舞したスポーツ・ビジネス史上最大のスキャンダルが、ここで裁かれようとしているとはとても思えない。彼らはその初公判に臨む被告たちだった。日本では一行も報じられなかったが、他人事ではない。「ゼップ」の愛称を持つ国際サッカー連盟(FIFA)ヨーゼフ・ブラッター会長の黒い噂に加えて、日本の大手広告代理店、電通の現職専務も登場する前代未聞の裏金疑惑だからだ。しかも舞台は2002年の日本・韓国共催のワールドカップなのである。6人が ………

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