阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2018年10月 1日初心忘れた「新潮45」の落とし前

    LGBTを巡る記事が批判を浴びていた月刊誌「新潮45」が休刊となった。この問題がここまで大きくなってしまったのは、この月刊誌を出版していたのが名門出版社の新潮社であり、期待されていた"格"に誌面の質が伴わなくなっていったことが大きい。ソニーやパナソニックが大人のおもちゃを作るようなものだ。しかしこの事件が突きつける問題は差別や出版の品格にとどまらないのではないか。

  • 2018年9月 2日スポーツも企業も「頭から腐る」

    レスリング、アメリカンフットボール、アマチュアボクシング、居合道、体操......。スポーツ界でパワハラや不明朗な金銭授受といったガバナンス上の問題が相次いで表面化し始めた。

    それもこれも企業経営にガバナンスや法令順守が十分に機能していないケースが次々に見つかり、これを軌道修正する動きが広がるなかで、ガバナンスの考え方が垣根をまたいでスポーツ界にも波及したことの表れと見ていいだろう。

  • 2018年7月31日界壁なきレオパレスに外国人投資家が火傷

    レオパレス21が新たな問題の発生に揺れている。

    屋根裏にできる空間に設けなければならない、防音や防火のための壁(界壁)が設置されていない物件が次々と見つかり、建築基準法違反の疑いが浮上してから、株価が急落している。

    5月11日には1023円の年初来高値をつけたのが、同月末に界壁問題が発覚すると売買高を伴って急落し、6月28日には581円まで下げた。年初来安値の更新である。7月30日の終値は617円であり、すでに連結PBR(純資産倍率)は理論上の解散価値に相当する1倍を割り込む水準まで売り込まれている。

  • 2018年6月29日役立たず「内部統制報告書」と監査法人の鉄面皮

    今年は何らかの変化がみられるのではないかと思っていたが、期待は空振りに終わったようだ。内部統制報告書の問題である。

    神戸製鋼所、三菱マテリアル、日産自動車、SUBARU、東レ、スルガ銀行......。不祥事を起こした上場企業が株主総会を終え、一部を除いて有価証券報告書と内部統制報告書を提出した。

    内部統制とは、①業務の有効性及び効率性、②財務報告の信頼性、③事業活動に関わる法令等の順守、④資産の保全--の4つを目的として、組織を統制する仕組みである。しかし不正が社会の批判にさらされていながら、各社の内部統制報告書には何の改善もみられない。

  • 2018年5月30日日大もモリカケもオリンパスも「不浄負け」

    相撲では褌(まわし)が緩んで見えてはならないものが見えてしまうと、行事が力士に負けを宣告する。これを「不浄負け」と呼ぶそうだ。いわゆる四十八手に含まれる技の名前ではなく、規定に基づく一種の反則負けである。

  • 2018年5月 1日ぐらつく安倍政権、焦る外国人投資家

    日本企業に投資している外国人投資家が、ぐらつき始めた安倍政権の行方に気を揉んでいるそうだ。これまで多少の問題が浮上しても乗り切ってきた安倍政権の安定感を信じていたが、支持率の急低下を目の当たりにしてにわかに焦りはじめた。割安株を丹念に見極めて買いに来る投資家は「実はリスクヘッジがほとんどできておらず、ちょっとしたパニックに陥っている」(投資ファンドの運用担当者)というのだ。

  • 2018年4月 2日過去最高のM&A件数に潜む日本経済の「落日」

    日本企業のM&Aが伸び続けているという。M&A仲介会社のレコフのまとめによると、2017年の件数は3050件に達して過去最高を更新し、東日本大震災に見舞われた2011年を底に6年連続の増加となった。年度ベースでも増勢が続いているだろう。

  • 2018年2月28日オリンパス裁判と抜けない「宮仕え」根性

    このところオリンパスを巡る話題が豊富で、考えさせられることが多い。

    2月13日、東京高裁で開かれたオリンパスの取締役に損害賠償を請求する株主代表訴訟の控訴審でマイケル・ウッドフォード元社長や、西垣晋一元取締役に対する証人尋問が開かれた。尋問が行われたのは大法廷で、30人ほどの傍聴人が集まった。

  • 2018年1月31日悪夢再びオリンパスの中国「贈賄」疑惑

    2011年にFACTAがスクープしたオリンパスの損失隠し事件を題材としたドキュメンタリー映画が、5月から国内の劇場で順次公開されることになった。すでに英BBCをはじめとして、独仏など欧州主要国でテレビ放映された「サムライと愚か者」である。映画の出来は第三者の評価を待たねばならないが、事件発覚から7年かけてようやく国内公開にたどりついたせっかくの作品が、賞味期限切れになりかねない事態が出現した。

  • 2017年12月29日企業統治不全が日本を滅ぼす

    2017年も残りわずかになった。東芝の粉飾決算に続き、今年も企業の不正が数多く表面化するとともに、日本の「モノづくり最強伝説」はすでに過去のものとなった。不正の発覚が経営の屋台骨を揺るがすような直撃弾になったケースもあり、企業統治と内部統制ができていない企業がどうなるのかを改めて見せつけられた一年でもあった。しかもこれらの多くは内部告発をきっかけとしており、日本企業があっけなく自壊していく脆さも露呈した。来年も企業統治や内部統制の不全が引き起こす不正はなくなることはないだろう。

  • 2017年11月29日地銀の一角にアパートローン撤退の観測

    金融庁や日銀が目の敵にしている「アパートローン・バブル」にいよいよ本格的なブレーキがかかろうとしているのか。アパートローン(アパート・マンション建設向け融資)に積極的な銀行の一角が融資から撤退するとして、信用調査会社に問い合わせが相次いでいるという。

  • 2017年10月31日ジャパン・クオリティ神話の崩壊――日産、神鋼「企業統治」再考

    書いている側もよくわかっていないのではないだろうか。日産自動車やスバルの無資格検査、神戸製鋼所のデータ改竄などを、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の機能不全に結びつける新聞記事の論調にそう感じずにいられない。

  • 2017年10月 2日積水ハウスの地面師事件と「ハコ企業」社長

    新宿や六本木、新橋、銀座......この数年、地価の上昇に伴って、月刊誌FACTAでも都内で地面師が暗躍する詐欺事件をたびたび報じてきた。大手の不動産会社さえもやすやすと手玉に取る手口の鮮やかさもさることながら、次第に被害規模が大きくなり、表社会を浸食し始めている様が際立ってきた。

  • 2017年8月31日偶然か、日立と東芝に見る親子上場問題

    これも親子上場があぶり出した、大株主と少数株主の意見対立のひとつだろうか。日立製作所が子会社の日立国際電気の売却を中止した一件である。

  • 2017年7月31日ジャパンディスプレイ「社外取」多すぎて船山に上る

    中韓の有機ELパネル攻勢でいよいよ苦境に追い込まれた「日の丸液晶」ジャパンディスプレイ(JDI)が、銀行などの取引金融機関に総額1000億円規模の支援を求めた。筆頭株主の産業革新機構(INCJ)が債務保証を付ける形で、リストラ費用や運転資金を調達し、人員削減も進めるという。債務保証を付けてもらわなければ資金調達できないのなら、JDIの自律的な財務活動は一段と厳しい制約が課せられるようになったと見ていいだろう。

  • 2017年6月30日外国人投資家の「目と耳」リサーチマンを侮るな

    上場企業が株主と向き合わなければならない株主総会が、今年もピークを越えた。

    死に体の東芝は言うまでもなく、子会社富士ゼロックスの粉飾が明らかになった富士フイルム、モノ言う株主に取り憑かれた黒田電気と川崎汽船など、今年も企業と株主の間で火の出るようなバトルが多かった。株主総会が特定の日に集中する傾向は一段と弱まり、企業が株主と向き合う傾向が鮮明になってきた。

  • 2017年4月28日東芝「解体」――半導体部門売却の是非

    企業解体か、存続か、それとも法的整理か――。東芝の動きを、過去の企業再生や法的整理の事例に照らし合わせると、その行く末がぼんやりと浮かび上がるのではないか。

  • 2017年3月30日御意見無用、ガバナンス無用のWHが破産法申請

    東芝傘下の原子力関連大手、米ウエスチングハウス(WH)が29日、連邦破産法11条の適用を申請する――と各種メディアが相次いで報じている。これにより東芝は海外原発事業からの撤退に向けて一歩踏み出したことにはなるが、コーポレート・ガバナンス(企業統治)や内部統制を保てない企業が、その存在意義さえ厳しく問われることを改めて示した。

  • 2017年2月27日神戸製鋼、「中国関連」損失が第二幕

    学校法人森友学園への国有地売却問題で、名誉校長だった妻とともに国会で連日「ヤリ玉」にあがっている安倍晋三首相だが、1979年から会社員として3年間勤めて「私の原点」と語っていた勤務先、神戸製鋼所まで株式市場でキナ臭くなってきた。

    2月2日に神戸鋼が業績見通しを下方修正したからだ。単に業績の好不調に対する関心というよりも、中国経済の減速と鋼材市況の急落で16年3月期に216億円の純損失に転落した悪夢の再現が始まるのではないかという警戒感が漂い始めたらしい。

  • 2017年2月 1日「難破船」東芝から取引先は逃げ出すか

    船が沈没しかけると、船内のネズミたちが我先に逃げ出すという。信用調査会社が東芝の取引先の動向を調査し、近く発表するそうだが、その離散度合いを測る目安になる。

    東芝は原発部門ウエスチングハウスでの損失が5千億円を超すと言われるほど膨らみ、2年連続の巨額減損処理を迫られそうな形勢だ。このままでは3月期末に債務超過に陥ってしまうため資本調達が不可欠とみて、早くも切り売り先に関心が集まるが、これまでの優良な顧客や下請けが逃げずに東芝に付いてきてくれるかどうかも再建の成否を大きく左右する。

  • 2016年10月30日三菱自動車の内部統制と益子社長の「二重の責任」

    株式投資の世界に身を置く者なら、企業の不正が明るみに出るたびに、誰でも「不正は数字だけにとどまらないのでは?」と考えたことがあるのではないか。

    日々の業務が適正に行われていなかったのに、内部統制報告書には"内部統制は有効"と記載されている。これは虚偽記載にあたらないのか? つまり金融商品取引法違反にならないのか?

    虚偽記載というと、有価証券報告書なら収益の水増しや総資産や純資産のかさ上げなど、数値に表れる"定量的な要因"が思い浮かぶだろう。東芝やオリンパスの粉飾決算はこれにあたる。

  • 2016年5月31日第三者委員会という名の茶番劇

    テレビでは連日、政治資金流用疑惑を追及される舛添要一・東京都知事の怯えたようなギョロ目の画像と、壊れたレコーダーのような千篇一律の答弁が流れている。

    「政治資金規正法に精通した元検事の弁護士2人にお願いして、第三者の公正な目で見てもらう」と繰り返すが、ブーイングの声にかき消されそうだ。

    企業や公人が何か不祥事を起こすと、その真偽を調べるという名目で、第三者委員会や、それに準ずる調査委員会が設置されるが、急場しのぎの時間稼ぎ、という手のうちが丸見えで、批判の矢面に立たされるケースが増えてきた。

    委員会が立ち上がった時点で、誰もがあきらめ顔になる。「どうせ『違法とまでは言えない』などと、どっちつかずの判断が下されるのだろう」と、期待から落胆に変わることが多くなった。

  • 2016年5月 2日ここがロードスだ、ここで跳べ! 9日にパナマ文書公開

    国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は4月26日、世界を震撼させているパナマ文書を5月9日に公開すると報じた。2013年に公開され、ICIJのHP上でアクセスできる「オフショアリークス」も歩調を合わせてアップデートされ、そこで公開される情報は厚みを増し、幅も広がるだろう。

    邦人や日系企業の名が多くないこともあって、国内大手紙や通信社のパナマ文書報道は今のところ低調で、海外の動きの引き写しがかりで、対岸の火事のように隔靴掻痒だ。どうせ調査報道などやった経験がないから、真似事だけである。

  • 2016年4月 1日企業の不正発覚はこれからか?

    3月決算企業の決算発表が本格化するまで、1カ月を切った。

    監査法人の会計監査の質に対する不信がこれまでになく高まっているだけに、水面下で繰り広げられる監査法人とクライアント企業の適正意見を巡る攻防は我われの想像以上に激しいのかもしれない。監査法人に不正会計の内部告発が寄せられているとの話さえ仄聞するから、株式市場での波乱要因として警戒感が広がる場面もあるかもしれない。

  • 2016年2月29日東芝解体と海外ファンドの食指

    東芝の解体とその事業売却の行方に関係者が気を揉み始めている。パソコン事業や白物家電事業の切り出しと並んで注目されているのが、グループ内で医療機器事業を手掛ける東芝メディカルシステムズの売却である。収益面で足を引っ張る白物家電事業などを切り離して止血するのとは違い、収益力が強い東芝メディカルの売却は外部からの資金を採り入れるための輸血であり、ライバル企業にとっても投資ファンドにとっても関心は高い。しかし重要な視点を忘れてはいないか。

    関係者が気を揉む理由は、東芝メディカルの事業領域と入札参加者の顔触れにある。東芝メディカルはX線診断システムやCTシステム、MRIシステムなどの製品ラインナップで高い収益力を誇り、比較的シェアは小さいが電子カルテも手掛けている。

  • 2016年2月 1日レセプト債問題で浮かぶアーツ証券の謎

    レセプト債を販売していたアーツ証券(東京・中央区)に対し、証券取引等監視委員会は1月29日、金融庁に行政処分を勧告した。診療報酬債権(レセプト)を裏付けとした総額227億円のレセプト債が債務不履行となっているこの問題では、租税回避地が絡んだ謎が次々と浮かび上がっている。

    破綻した運用会社オプティファクター(東京)は国内外の非上場企業が発行した債券を多く購入しているが、社債を発行していた(つまりオプティからカネが流れていた)都内の会計事務所は取材を拒否。他の社債発行企業にはすでに解散するなどして実体がなくなっている事業体がいくつも見つかるなど、資金の流れには不可解な点や怪しい点が多い。

  • 2015年12月28日怪しい上場企業にJPXが「情報開示責め」

    東京証券取引所の大納会が迫ったこの時期は、様々な統計がほぼ固まるタイミングでもある。日本取引所グループ(JPX)のHPに掲載されている上場廃止関連の資料をみて、「へぇー」と思わされた。

    今年上場廃止が決まったのは東証一部・二部、マザーズ、ジャスダックで68銘柄(12月24日現在)。そのほとんどはM&Aに絡んだものだが、じわりと増えているのが日本取引所グループの自主規制法人の判断や裁量で強制退場が決まった上場廃止だ。

  • 2015年11月30日河野太郎は「内部告発者保護」法改正にハッパかけよ

    「公益通報者保護法」が改正される公算がようやく高まっているそうだ。

    労働者保護と消費者保護の両面を持つこの法律は「内部告発者保護法」とも呼ばれ、2006年4月の施行から5年後に見直されるはずだった。しかし経済界から「改正するなら、その前提となる基礎情報を収集すべし」との声が出たことから、法改正は店ざらしにされている。

    「内部告発」を密告と断じるムラ社会の論理がまだ罷り通っているからだが、大手町の経団連会館でかしずかれている“小物会長”榊原定征氏ら会社人間財界人たちのアナクロニズムだろう。

  • 2015年10月29日JPX自主規制法人やっとお目覚め?

    月刊誌FACTAでは何度か取り上げたから、すっかりおなじみのハコ企業である。倉庫会社から何度も社名を変えた投資会社(東証2部)とその周辺が、じわじわと追い詰められているようだ。過去の不透明な資金調達が祟り、今になって徹底した情報開示を求められて対応に四苦八苦している。

    本誌がこの投資会社について報じたのは昨年夏から秋にかけて。社長が会社の資産を私物化したり、不明朗な顧問料を社外に流出させたり、やりたい放題だった。情報開示もデタラメで、とうに閉鎖したはずの海外ファンドが同社の新株予約権をやり取りしていたことを示す内部資料が社外に流出した。

  • 2015年9月30日喉元過ぎて「二度目」が危ない日本企業

    アベノミクスの神通力が切れたのか、中国経済失速の影響か、ここにきてあちこちできな臭い煙が立ち上り始めた。上場企業の経営不安説や新たな大型粉飾決算の露見が囁かれたり、新興企業を舞台とした経済犯罪の摘発観測が乱れ飛んだりしている。注目したい共通点は、いったん火の手が収まったかに見えたり、うまくやり過ごせたと思った問題が再度火を吹こうとしている点だ。

  • 2015年9月 2日外国公務員への贈賄と「明日は我が身」

    東芝社員による内部告発が止まらない。英フィナンシャルタイムズ買収では「日本企業の御用新聞」と言われた日本経済新聞は少しは発奮したのか、東芝社員向けに情報提供を求め、東芝の内側をえぐる記事を積極的に書いている。ご同慶の至りである。

    しかし世の中はマスメディアの一歩、二歩先を行くものだ。東芝ばかりに関わっていられない。

  • 2015年7月27日東芝はオリンパスの轍を踏むのか

    これほど明らかな「粉飾」を「不適正会計」と呼び続ける日本のメディアも、そろそろ「不適正」から「不正」へと「適」の一字が抜けるようになってきた。 

    当の東芝は田中久雄社長の引責辞任を発表した。確執が喧伝されていた西田厚聡相談役、佐々木則夫副会長の歴代トップも辞任することになり、室町正志会長が社長を兼務する暫定政権が成立したが、いずれは指名委員会によって改めて社長が指名されて、再建が本格化するだろう。

  • 2015年6月29日怪文書があぶり出す株式市場の痰壺化

    複数の企業にまたがる内容の怪文書が出回っている。性悪の金融ブローカーが不動産デベロッパーの金融子会社から資金調達し、非上場企業とそのグループ企業を買収した。この非上場企業から、金融ブローカーが実質的に支配する投資会社へと資金を還流させた挙句、資金を流していた非上場企業は2月に経営破綻したという内容だ。計画倒産の疑いが濃いうえ、債権者リストには債権者ではないはずの企業の名前が並んでいるという。

    こうした計画倒産はよくある話かもしれないが、問題なのはこの金融ブローカーが資金調達した先が東証1部市場の上場企業であり、この金融ブローカーは別の非上場企業を介して名証セントレックス市場に上場するベンチャー企業にも食指を伸ばしている点だ。そのベンチャー企業では問題のブローカーが、実体不明の非上場企業の名義で大株主に名を連ねている。

  • 2015年5月29日タカタの「リコール」とコストの天秤

    タカタのエアバッグ問題が裾野を広げている。リコールが必要になった台数は約3400万台に上り、自動車産業史上かつてない規模だ。

    ロイター通信は米国の検察当局と司法省が共同で刑事捜査に乗り出したと報じており、民事上の責任に加えて刑事上の責任を問われる公算が高まっている。リコール費用などに加えて懲罰的損害賠償も合わせると一体いくらのキャッシュアウトになるのかわからない。タカタがリコールを認めるかどうかにいたずらに時間をかけ過ぎて、米司法当局との関係がこじれてしまい、米国側の嗜虐心をあおるような展開になってしまった。

  • 2015年4月25日オリンパスに米FDAが査察に入った

    このコラムが配信される頃には、ことの核心をえぐるメスが深々と突き刺さっているはずだ。日本ではFACTAを除いては不思議なくらいにほとんど報じられない、米国での超耐性菌の感染拡大問題である。

    感染拡大のもとになったとされる十二指腸内視鏡の製造元であるオリンパスに今、まさに調査のメスが入っている模様で、責任の所在を探る新たな段階に入ったと言える。それも太平洋の彼方から調査の手が伸びてきたのだ。

    「石川事業所の3号棟2階は、来週いっぱいFDAの査察団が専有するから気をつけるように」--。

  • 2015年3月30日オリンパス、後ろから飛んでくる弾

    オリンパスの主力製品といえば、胃カメラなどの内視鏡である。世界的なシェアも高いだけに、一たびトラブルが起きると、全世界を巻き込む大事となる。

    同社製の十二指腸内視鏡が原因となり、米国の病院で抗生物質がまったく効かない「スーパー耐性菌」に感染した患者が続出しているという記事を、月刊FACTA4月号(3月20日発売)で掲載した。すでに患者がオリンパスを相手取って訴訟を起こしており、集団訴訟が起きる公算が高まっているという内容だった。

  • 2015年3月 2日オリンパスが損失隠し指南役に手数料返還訴訟

    オリンパスが損失隠しの指南役となった金融ブローカーらを相手取って訴訟を起こしていたことがわかった。損失隠しを手助けした対価として支払った法外な手数料の返還を求めることを目的としており、オリンパスの損失隠し事件は新たな段階に移行した。

    オリンパスが訴訟を起こした相手は、英ジャイラスや、アルティスなど「国内3社」のM&Aに関わった横尾宣政被告らで、3件に分けて訴えを起こしている。請求額は横尾・羽田拓被告に計5億円、小野裕史被告に2億円、中川昭夫・佐川肇被告に計5億円。指南役らに支払われた報酬は100億円を超えるとみられ、それに比べると請求額は随分控え目に見える。

  • 2015年1月28日中国鉄鋼メーカー「淘汰」の断頭台

    2015年最初のこのコラムである。すでに1月下旬ではあるが、今年がどんな年になるのかを予感させる話題を紹介したい。震源地は中国だ。

    新年早々、中国鉄鋼業界に激震が走った。今年元日に施行された新環境保護法がそれである。排水・排ガスが定められた環境基準をクリアできなかった場合、日割り計算により、上限なしの罰金が課されるうえ、刑事責任も問われるという内容だ。

  • 2014年12月28日第二の住商はどこか、「川上」ビジネス黄信号

    FACTA最新号(2015年1月号)は「住友商事『シェール大失敗』の戦犯」では、住商の米テキサス州でのシェールオイル投資失敗などを報じた。9月末に突如2400億円もの減損を発表、うち1700億円がシェール開発の失敗によると説明された。だが、数字の大きさの割には説明不十分だった。

    FACTAは得意の調査報道によって、シェールのみならず、もう一つ、アフリカのニッケル開発でも「時限爆弾」を抱えていることを徹底分析した。資源開発が現状で抱え込んだリスクの大きさを、ここまで掘り下げた記事は少なくとも日本ではみあたらないと自負している。

  • 2014年11月29日「のれん代」のラビリンス

    旧聞に属する話になるが、ファミリーレストラン・チェーンを展開する「すかいらーく」が10月9日に「再上場」した。2006年9月に創業家によるMBO(マネジメント・バイ・アウト、経営陣による企業買収)で上場廃止となって以来のことだから、およそ8年ぶりの株式市場復帰である。

    公募価格と同じ1200円で初値を付けた後、1000円を割り込む場面もあったが、最近では個人投資家の人気を集めて一時は1299円に達した。

    しかしその財務内容は首を傾げたくなるような妙なものだ。

  • 2014年10月28日ソニーが売りたい? オリンパス株

    ソニーが保有するオリンパス株の売却先を探している――そんな噂が立ち始めた。これをあながちガセネタとも言い切れないのは、株式市場だけでなく、当事者の社内でも同様の噂が浮上しているからだ。資本提携の契約上、株式売却は双方の合意が必要なためだろう。今後は売却先を巡って様々な思惑が交錯するに違いない。

    FACTAがスクープした粉飾事件で株価が急落、上場廃止の瀬戸際まで追い詰められ、資本提携相手を模索した2012年には、ソニーのほか、パナソニックや富士フイルムホールディングス、テルモなどが候補として挙がった。これらの中には銀行から「必要資金を用立てるから」と出資を促された候補企業もあったほどだったが、当時と今とでは状況が異なる。オリンパス株が当時よりも3倍近くに跳ね上がっているからだ。

  • 2014年9月29日「ハコ企業」餌食にされた側のリベンジ

    9月18日の読売新聞に「ブローカー支配『箱企業』 不振の上場企業操る」と題する記事を見かけた。株式市場を侵食する反市場勢力がハコ企業を手玉にとって資金調達し、それの一部は反社会的勢力に流れているとの内容である。

    すでに行政処分が発表された会社を例にとったあっさりとした記事だったが、一般紙がハコ企業を取りあげるのだから、その勢力拡大が放置できないほど大きくなってきたことの証かもしれない。

  • 2014年9月 1日「不都合な幽霊」認めたアジア・アライアンス

    元はさえない倉庫会社だったが投資会社に転じて「ハコ企業」になったアジア・アライアンス・ホールディングス(AAH)が、いま揺れに揺れている。

    FACTA8月号では、新株予約権を譲渡したことになっている海外ファンドが実は1年前に解散していたことを指摘したが、同社は8月1日付のニュースリリースで渋々これを認めたうえで、「現在、本件譲渡を遡って有効とするために必要な措置が進められておりますので、当該措置の結果が判明し次第、その結果をお知らせいたします。また、当社としては、現時点では本新株予約権が行使される見込みはないと認識しております」という摩訶不思議なコメントを載せている。存在しないファンドの名を使っても、 リリースの虚偽記載はなかった、とでも言いたいのだろうか。

  • 2014年7月29日夏休みクイズ――息絶え絶えの「今は昔」企業

    前回、前々回と当コラムでは、社名を伏せてあるハコ企業とそれに群がる人物たちを報じたが、月刊誌FACTAでは固有名詞を出したから、このハコ企業がどこかはご承知の方も多かろう。

    その後、さらに内部文書が手に入り、新しい疑惑が浮かび上がってきたが、事態は流動的であるうえにこの手の話に食傷気味の読者も多いだろうから、今回はいったんお休みにして、代わりに別の上場企業A社を取り上げ、その名をあてる「夏休みクイズ」の趣向でいこう。

    これも時代の流れなのか。景気の回復で企業の倒産件数が低水準で推移するその陰で、深刻な経営不振に悩まされている企業がこのA社なのだ。国内に展開する工場の一つを訪ねてみた。

  • 2014年6月27日金融庁がお灸を据える「駆け込み寺」監査法人

    最近になって一部の監査法人や公認会計士が、金融庁の影に怯えているという。

    お行儀の悪い公認会計士らが金融庁に呼び付けられ、ある者は厳しくお灸を据えられて、またある者は厳しい処分が避けられなくなったからだ。金融庁が会計士浄化運動に力を入れているのには、一部の会計士の不行状がそれだけ目に余るようになっていたためであろう。

    例えば6月13日に金融庁の公認会計士・監査審査会が、金融庁長官に対し処分するよう勧告した清和監査法人。昨年6月に民事再生法を申請したインデックス(その後清算に移行)などの監査を行ってきた。その処分勧告は、過去の同様の処分勧告に比べて明らかに厳しい調子で難詰している。

  • 2014年5月27日断末魔ハコ企業と逃げ回る札付き会計士

    東証二部市場に上場する投資会社が内紛に揺れ、断末魔の叫び声をあげている。もとは冴えない倉庫会社だったのが、外資系出身の「ハイエナ」が乗りこんで投資ファンドに大化け、次々と投資案件を手がけたが失敗、4年前に香港企業と提携したのを機に社名まで変えてしまった。

    だが、いったん「ハイエナ」の道具に身を落としたら、そこから容易に抜け出せなくなる。現在の社長にも会社の財産を私物化して特別背任の疑いが浮上しているうえ、2年余り前に発行された新株予約権のやり取りにも不明朗な点が多いとして、これらが社内で問題視されているという。

  • 2014年4月28日スクープ一粒で二度しゃぶろう

    落ち着きを取り戻した株式市場からは想像もつかないが、どういうわけか、4月に入って様々な上場企業を巡ってきな臭い観測や噂話が駆け巡っている。

    ファクタ編集部の周辺にも、各種メディア関係者や信用調査機関、株式市場関係者などから「こんな話が出回っている。何か知らないか」といった問い合わせが引きも切らない。新年度入りしたからと言う訳でもあるまいが、水面下で様々な動きが始まっているに違いない。

    4月24日付の日経朝刊が「旧経営陣が循環取引への関与や認識について東京地検特捜部から任意の事情聴取を受けていた」と報じたインデックス(昨年6月に民事再生法を申請しジャスダック上場廃止、同9月にセガに事業譲渡)も様々な情報が飛び交っている企業の一つだ。警視庁や国税庁、司法担当などの記者クラブで「特捜部が立件に動きそうだ」との観測がしきりに立っていた。

  • 2014年3月28日「反社」と「反市」と暗夜の一灯

    「反社」とか「反市」と言われてピンとくる人は、まず金融関係者だろう。前者が暴力団やその追随者などの「反社会的勢力」、後者がハコ企業などで株価を吊り上げて売り逃げる「反市場勢力」の略である。いずれも後ろ暗い連中だが、定義が難しい。

    公表こそしないが警察にそのリストがあり、そこに弁護士や記者が照会をかければ、それなりにカンがつかめた。ところが、鳴り物入りの暴対条例が腰折れになってから、警察もリスト照会に慎重になり、判断に困るケースが出てくるようになった。

    山口組6代目の母体、弘道会への徹底した摘発で、暴力団はどこも地下へ潜り始めていて、反社も反市も警察の目の及ばないゾーンへ身を沈めている最中だ。それゆえ、世間一般や株式市場が考えている以上に、彼らの表社会への浸食は激しさを増している。

  • 2014年2月28日進学塾「粉飾」の裏のハコ企業

    東証1部上場の進学塾運営会社(東証1部)の周辺が慌ただしくなっている。過去数年間にわたって80億円余りの売上高を不正に水増ししていたことが明らかになり、当局は本格的な捜査に乗り出そうとしているようだ。すでに「この会社の本社所在地近くの警察署を拠点に内偵捜査が始まっている」との情報が飛び交うとともに、水面下では各マスメディアも動き出している。

    第三者機関の調査結果によると、この進学塾が粉飾決算を始めたのは2007年だという。さらにこの進学塾が監査法人を変更したのも粉飾決算が始まったのと同じ時期だった。企業が監査法人や取引銀行を乗り換えるというのは、何か大きな問題が浮上し、対立が深刻化したと見てまず間違いないから、監査法人の交代と粉飾決算は何らかの関係があったとみるのが自然だろう。

  • 2014年1月27日映画「オリンパス事件」は喜劇の結末か

    オリンパスの損失隠し事件で指南役を務めたとして金融商品取引法違反などの罪に問われている横尾宣政、羽田拓、小野裕史の3被告に対する公判が昨年末からようやく始まった。逮捕から約2年も裁判が始まらなかったのは、3被告が「オリンパスが損失を隠し、簿外で処理しようとしていたとは知らなかった」などとして容疑を否認し、公判前整理手続きが長引いたためだ。

    今もオリンパス事件に対する関心は高いようで、初公判に予想を超えて傍聴人が集まり、傍聴席に収まりきらない人であふれた。裁判は開始早々、被告側と検察側の間で激しく攻防の火花を散らしている。

  • 2013年12月24日パナソニック「投げ売り」の見境なさ

    パナソニック内部がざわついているそうだ。旧松下寿電子工業と三洋メディカルを合体させた子会社のパナソニック・ヘルスケア(PHC)売却で、売却先に選んだ米国のファンド、KKRが台湾・中国企業連合への転売を前提にしていることを、FACTA最新号(14年1月号)がスクープとして報じたからだ。

    純債務を含め1650億円で売却し、共同持ち株会社をつくって20%出資するという津賀一宏社長の判断が軽率なものだったのではないかという批判が噴出しているのに加え、関係省庁への詳しい説明が必要になったためだ。売却先の選定をやり直した方がいいのではないかという社の内外から出ているという。

  • 2013年11月27日内部告発者をおびきよせる「誘蛾灯」

    このところ内部告発をきっかけに不正が明るみに出るケースが増えた。新聞やテレビを見ると企業内部から出てきたとしか思えない文書が映っているケースも少なくない。しかしちょっと待ってほしい。もしかすると内部告発者にとっても企業にとっても、とんでもない落とし穴が潜んでいるかもしれないのだ。

    企業内に設けられた内部告発者用の「目安箱」が、実は内部告発者をおびき寄せる罠だったのではないか、という事例は、オリンパスで上司の違法行為を通報した内部告発者、浜田正晴氏を配転し、その無効訴訟で会社側が敗訴したケースでも垣間見えた。

    こうした通報窓口に潜む「罠」は、まだほかにもあるのではないか。

  • 2013年10月28日みずほ処分、社外取締役と監査役の責任

    オリエント・コーポレーションとの提携ローンを通じた暴力団員への融資を放置していたみずほ銀行が、佐藤康博頭取(みずほフィナンシャル・グループ社長)ら役員の大量処分を決めるそうだ。各紙によれば常務以上の30人を超える役員が減給や更迭などの受けるという。しかしあまり報じられていない視点があるのではないか。社外取締役と監査役の責任である。

    暴力団員への融資は、発覚すれば経営トップの進退に及ぶ問題であることは誰にでも容易に想像がつくはず。そうした問題について、たとえ持ち株会社の社外取締役であっても知らせていなかったのなら、みずほでは社外取締役の制度の趣旨や精神を生かしきれていなかったことになる。社外取締役を持ち株会社だけに置いて傘下の銀行には置かなかったというのは、外形だけを整えて実質を伴わなかったとの批判を免れない。

  • 2013年9月25日「内部告発」のマグマ

    ある証券会社の会長は心配そうな面持ちで「まだあるの!? まだあるの……?」と念を押すように二度繰り返した。損失隠しを続けている会社のことだ。

    弊誌のもとにはオリンパス事件以降、今も様々な会社から内部告発が届くことは、これまでに当コラムで触れたとおりだ。そうした情報提供の中には、オリンパスよりも大きく、しかもアタマに“超”がつく優良企業についての情報も含まれている。当然、外国人投資家も少なくないから、記事になれば株式市場への影響は小さくはあるまい。

    例えば、あるメーカーの関係者からは海外の関係先に有価証券投資に絡んだ損失を隠している、との情報が寄せられている。損失隠しに関連してのことか、金融機関との間で通常なら考えにくい金融取引契約を結び、有価証券報告書への記載義務が生じない形で巨額の担保を差し入れているから、そこには何らかの意図が働いているのだろう。これに伴って財務諸表には不自然で不可解な資金の出入りがあったことを疑わせる痕跡も数字として残っている。

  • 2013年8月26日「オリンパス」の風化と嫌な空気

    FACTAがオリンパス事件を最初に報じて2年余りが経ち、早くも事件が風化し始めているようだ。事件から引き出されたはずの教訓が、まるで生かされていない事例がぽつぽつと表れているのだ。

    ある大手商社はオリンパス事件の発覚直前に社外取締役制度を採り入れ、コーポレート・ガバナンスに一家言を持つ人物を招いた。ところがせっかく招いた人物がガバナンスについて積極的に発言したことがよほど気に入らなかったらしく、社外取締役を解任したくなった。おおっぴらに解任すれば目立つため、社外取締役の任期をわずか2年と定め、任期が到来したこの4月にクビを切った。

    ガバナンス問題の専門家からは「月に1~2回の出社に限られる社外取締役が社内の事情を把握するには時間がかかるのに、任期が2年とは短すぎる」との声が上がっている。

  • 2013年7月29日「インデックス摘発」の陰で消えたオンラインゲーム企業幹部

    ゲーム業界関係者の間で、ある人物の行方が密かな話題となっている。

    かつて弊誌でも採り上げたことのあるオンラインゲーム企業の幹部社員のことだ。謎の多い人物で、会社勤めの身でありながら世田谷区で経営コンサルティング会社を営み、6月に民事再生法を申請したインデックスに勤めていた頃には循環取引に関わったと言われる。そればかりか外国企業を交えたM&A(企業の合併・買収)でも、こっそりキックバックを受け取っていたのではないかという疑念が投資家の間で持ち上がっている。

    このいわくつきの人物は5月頃にも「行方が分からなくなったらしい」との風評が立ち、最近になって再び「(インデックスの循環取引に関わって)逃亡したらしい」「警察から勤め先に正式な身分照会が何度かあり、勤め先は事件になる前に辞めさせたがっている」といった情報が飛び交っている。

  • 2013年6月26日オリンパスとインデックス「第三者委員会」の罪

    オリンパス事件で損失隠しを手引きした横尾宣政被告らが6月11日に組織犯罪処罰法違反の容疑で東京地検特捜部に再逮捕され、その翌日には循環取引による売上高の水増し計上の疑いで、証券取引等監視委員会がインデックスに強制調査に踏み切った。この2社に共通するのは、不正の発覚に当たって第三者委員会を立ち上げたことだ。

    第三者委員会には弁護士や公認会計士などが担ぎ出されるし、日本弁護士連合会も弁護士向けにわざわざガイドラインを設けているくらいだから世間の信頼は大きい。しかし起用された弁護士たちの意思とは関係なく、ロクでもない目的に使われることがあるようだ。

    オリンパス事件では最高裁判事や東京高検検事長を歴任した弁護士が第三者委員会に担ぎ出されたが、関係者によるとこうした起用には理由があり「第三者委員会の調査中に警察や地検が容疑者の身柄をさらわないよう、遠慮させるため」だという。弁護士を交えた第三者委員会を立ち上げた企業に対して、捜査当局はある程度、時間的猶予を与えるのが暗黙の了解になっているようだ。

  • 2013年5月27日振興銀行「残党」の地下茎を追う

    もう3年経った。FACTA調査報道の標的となり、2010年には木村剛前会長が逮捕されて経営破綻した日本振興銀行の周辺が、今ごろになってにわかに慌ただしくなってきた。警視庁が15日に同行傘下だった経営コンサルタント「日本イノベーション」の元社長ら3人が資産隠し(詐欺破産)の容疑で逮捕したのがそのひとつだ。

    ちょうど同じころ、同行との間で融資や出資によって捻出した資金を循環させてきた上場企業群のひとつに対して「架空増資の疑いで捜査が始まる」「課徴金が科されるだけで済むらしい」などといった様々な観測が株式市場で次々と浮かんでは消えた。火のない所に煙は立たぬ。やはり水面下で何らかの動きがあると見るべきだろう。

    日本振興銀行とその融資先だった上場企業群(「中小企業振興ネットワーク」と称した)を巡っては、資金の使途や流れがはっきりしない企業買収や第三者割当増資、融資が繰り返されてきた。逮捕者も出たが、その容疑は銀行法違反(検査忌避)だけで、「大山鳴動、ネズミ一匹」となっている。木村前会長を逮捕した警視庁捜査2課も当時の関係者も、「数千億円の預金がどこかに雲散霧消したのに、検査忌避だけじゃ……」ともの足りなそうな顔をしている。

  • 2013年4月26日金融“半グレ”が狙う「薬局」や「太陽光」

    SNS(交流サイト)や太陽光発電プロジェクト、被災地の復興など、大きな資金が動き、多くの人が集まる分野には反社会的勢力も集まるものだ。これに企業の合併・買収(M&A)が絡んでくると、金融の“半グレ”たちも集まる。

    今、この半グレたちが食い物にしようとしている業界をご存じだろうか。ドラッグストア業界がそれだ。コンビニが全国的に飽和状態に近付いている一方、店舗展開に伴って中小薬局の買収競争が盛んに行われているのが背景になっている。

    調剤薬局を展開する、ある上場企業の幹部によると「かつて人材派遣業のM&Aで暗躍し、荒稼ぎした連中が中小薬局のM&A市場に流れ込んできている。ウチの会社にも売り込みに来るが、買収金額や手数料をかなり吹っ掛けられる」という。

  • 2013年3月26日「オリンパス内部告発」でいぶり出されるもの

    (この記事は昨日ロイターに配信したものです)

    こんな時事問題の出題はどうだろう。大王製紙の不正会計疑惑、女子柔道のパワハラ、大阪産業大学のやらせ受験……その共通点は何だったでしょうか。

    正解は「内部告発がきっかけ」。今や臭いものにフタができず、かえって深刻な問題に発展する例が後を絶たないのだ。と思っていたら、我々FACTA編集部が一昨年手がけたオリンパスからも、本誌に匿名社員の内部告発状が届いた。

    その内容をかいつまんで言うとこうだ。

    「オリンパスが特設注意市場から東証一部市場への復帰を目指して東京証券取引所に提出した内部管理体制確認書に虚偽の内容が含まれている。医療機器関連の海外工場で行われていない監査を行ったことにして、確認書の日付を改ざんした」というもの。東証一部復帰のために立ち上げられた上場審査プロジェクトメンバーほか、多くの社員が知っているのだそうだ。

  • 2013年2月26日FBIが終わらせない「オリンパス周辺」追及

    (この記事は本日ロイターに配信したものです)

    今回はおトクな個別銘柄情報をひとつお届けしよう。

    その銘柄の名を聞くと市場関係者だけでなく、捜査当局も色めき立つというとびきり元気な会社だ。オリンパス事件で登場した海外ファンドの実質的オーナーが社長を務め、このところ兜町の金融ブローカーの間に「M資金が動いて1000円まで値上がりする」という怪情報が乱れ飛んでいるという。そのためか昨年11月には200円そこそこだったジャスダックの株価は値動きも軽く、今年に入って700円をうかがう展開になった。

    このオーナーに対してマネーロンダリングの疑いがかけられていることは前回の当コラムで触れたとおりだが、実はつい最近になって米連邦捜査局(FBI)が来日し、オーナーについて関係者から話を聞いて帰ったという。今頃はシンガポールや香港で収集した情報も持ち寄り、4日間にわたって開かれた報告会を終えたばかりのはずだ。

  • 2013年1月24日「ハコ企業」の相棒逮捕で鬼の居ぬ間の猫ババ?

    (この記事は本日ロイターに配信したものです)

    最近「ハコ企業とは何ですか?」という質問を受けることがある。オリンパス事件に関わっていたとみられる人物が過去に、この「ハコ企業を悪用して怪しげな増資を行ったり、社債を一般投資家に引き受けさせて損失を被らせたりしたことを、我われが散々記事に書いてきたためだろう。

    仕手筋やいかがわしい投資ファンドが上場企業を乗っ取ってこれを器(=箱)とし、資産を食い散らかしたり一般投資家のカネを巻き上げたりする。まっとうな投資を心掛けて銘柄を選んでいる投資家ほど馴染みのない言葉だから、「ハコ企業とは何ぞや」という質問が出てくるのは当然だ。

    こうした企業は単なる容れ物に過ぎないから、資産や事業の有無はどうでもいいのかもしれない。上場企業という金看板を使い、実現しそうにない新規事業立ち上げを発表、株価がポンと上がって、デイトレーダーなど何も知らない“素人”筋が食いついてきたところで、こっそり売り抜けるという手口である。

  • 2012年12月26日FBIが逮捕した「オリンパス不正人脈」の裏側

    (この記事は本日ロイターに配信したものです)

    ロイターにコラムを寄稿することにしました。月刊誌「FACTA」の発行人が他の媒体のコラムを“兼業”することにどんな意味があるか、そう尋ねられる方がいらっしゃるかもしれません。FACTAは創刊以来、紙とネットの両刀づかいのメディアをめざしてきました。敵の多い調査報道は全方位で戦わなければならず、スクープ力や正確性、先見性だけでなく、その発信力も重要な武器となります。八面六臂の戦闘力をもっと強力にするためロイターと協力することにしました。ロンドン駐在時代もロイター通信社を取材したことがありますが、その歴史やロイターモニターの世界への普及など踏まえたうえで、手を組むに値する存在と考えました。メタ・フィクションがあるように、メタ・メディアがあってもいい。ロイターの取材陣の方々にも、FACTA流の潜航取材や追い詰め方、その駆け引きの一端なりを知っていただければ幸いです。

    さて、初回は「何かFACTAらしいテーマで……」と考えていたら、海の向うからニュースが飛びこんできた。「米FBI、オリンパス損失隠しに関与の台湾出身銀行幹部を逮捕」がそれである。