阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2013年12月31日KKRへの公開質問状と回答

    パナソニックが米国のファンド、KKRに子会社「パナソニック ヘルスケア」を1650億円で売却した件で、本誌最新号(2014年1月号)は「『津賀パナソニック』黒字転換に陥穽」という記事を掲載した。

    ヘルスケア社が国内の電子カルテやレセコンのトップシェアなため、そのビッグデータ(診断書や処方箋などプライバシーにかかわるため「センシティブデータ」とも呼ぶ)が海外、とりわけ中国に流出する恐れがあると指摘したものだ。

    これついてはパナソニックに質問状を送ると同時に、買う側のKKRにも質問状を送った。パナソニックは文書で回答したが、KKRジャパンは平野博文社長が12月10日に編集部に会い、インタビューに応じる形で回答した。

    公平を期するため、同社への12月3日付の質問状と、回答にあたる12月10日のインタビューの要旨をここに掲載する。

  • 2013年12月19日パナソニックへの公開質問状と回答

    本誌最新号(2014年1月号)は巻頭に、「『津賀パナソニック』黒字転換に陥穽」というスクープ記事を掲載した。米国のファンド、KKRによるパナソニック子会社「パナソニック ヘルスケア」を1650億円で買収した件で、そこに潜むビッグデータ問題を指摘したものだ。

    その過程でパナソニックに対し質問状を送り、FAXで回答を得た。雑誌は誌面の制約があって全文を公開できないので、このブログでそれを公開します。

  • 2013年9月25日沈黙しちゃったアコーディア

    本誌最新号で「アコーディア『S-REIT』浮上」を報じたが、25日現在、同社は東証1部上場企業だというのに、リリースも何も出していない。シカト? そうはいきません。全国130コース以上のゴルフ場を保有するアコーディアの会員や株主から問い合わせが殺到している。知らぬ存ぜぬで通すつもりなのだろうか。それなら、本誌が同社に9月10日付で送った質問状と、同社の回答を例によってこのブログで公開しましょう。まず質問状です。

  • 2013年8月24日武富士(TFK)更生計画に関する質問状2 Jトラスト宛て

    武富士の管財人に質問状を送ると同時に、昨年、更生会社のスポンサーになったJトラストの藤澤信義社長にも質問状を送った。

    Jトラストへの質問状は以下の通り。

  • 2013年8月23日武富士(TFK)更生計画に関する質問状1 小畑英一管財人宛て

    FACTA最新号(13年9月号)では、巻頭記事に「武富士『更生』逆転劇の闇」を掲載しています。この記事では、武富士の管財人である小畑英一弁護士(LM法律事務所)に対して、弊誌は質問状を送りました。小畑氏の回答とともに、このブログで公開します。

    まずFACTAの質問状から。

  • 2013年6月26日本誌公開質問状に対するカーチスの回答

    6月18日にファクスで届いたカーチス経営管理本部経営企画部の回答は以下のとおりである。

  • 2013年6月25日因縁のカーチス(中古車販売)に公開質問状

    大島健伸のSFCGが、リーマンショックのあおりで破綻してから、カーチスは弊誌のウオッチ対象である。

    現在の冨田圭潤社長は知らないかもしれないが、実はジャックス以来、その変遷を追跡してきた。ライブドアオート、ソリッド・アコースティック・グループ、SFCG、日本振興銀行とあきれるほど、カーチスは転戦してきた。

    いまはKABホールディングス合同会社の傘下に入っているが、歴代社長が逮捕されるという不祥事続きの呪われた企業なのだ。が、日本振興銀行が破綻したあと現経営陣が生き延びたのは七不思議である。

    と、いうわけで質問状を送った。6月12日に証券取引等監視委員会が、同じ振興銀傘下にいたインデックスの強制調査に踏み切ったからだ。当然、当局は振興銀傘下企業の実態も知ろうとしている。

  • 2013年5月23日SBIが「韓国でババつかみ」報道をコンファーム

    先週の5月16日(木)にSBIホールディングスが奇怪なリリースを流した。

    韓国一部メディアの報道を事実上否定するもので、事情を知らない人には寝耳に水。そこで本誌は慎重に事実かどうかを確認した結果、韓国報道通り、SB傘下の韓国の現代スイス貯蓄銀行(商号変更後はSBI貯蓄銀行)で、巨額の追加不良債権3765億ウォン(約345億円)が発生していることを韓国金融監督院(日本の金融庁に相当)がつかんだのは事実と判明した。

    SBIのリリースでは、13年3月期の連結決算ですでに織り込んでいるとしているが、当局者によると、この追加不良債権345億円は昨年12月に現代スイスを自己資本不足に追い込んだ不良債権とは別で、韓国で報道されたように、監督院が資本不足を理由に他の貯蓄銀行と同じように整理に踏み切れば、SBIが3月に投じた200億円強の増資は全額欠損になる可能性があるという。

  • 2013年4月 5日SBIバイオテックは「轟沈」か?

    弊社最新号記事「SBIバイオテック『一物二価』の怪」に対し、SBIホールディングスは3月19日に華々しい反論リリースを自社ウェブサイトに掲載した。例によって脅し文句つきである。

    本件記事は当社として到底看過することはできないと考えておりますので、今後法的な対応等の実施も検討してまいります。

    で、このブログで長文の再反論「SBIが墓穴を掘った反論リリース」を3月29日に掲載しているのはご覧のとおりです。

    さて、それからずっと待っているのですが、「SBIバイオテックの気配値などグリーンシートのどこを探しても出てこない」という弊社の主張に対し、何の反論もしてきません。

    トーマツが看過してくれないと、3月決算は困ったことになるのでは?

    さて、われわれとは別に「SBI&サイバーエージェント研究会」というサイトでも、SBIバイオテックが追跡されてます。

  • 2013年1月24日西武HDへの質問と回答(2)

    FACTAの質問と西武HDの回答の後半です。

    6) サーベラスは西武HDの代理人を務める森田健二弁護士に不信感を募らせているようです。プリンスホテルの日教組宿泊拒否についても、森田弁護士の強硬方針に後藤高志社長が従って、プリンスホテル社長らの書類送検(起訴猶予)を招いたと聞いております。事態打開のため、森田代理人を解任するお考えはありますか。

    (回答)
     当社は一般的な企業と同様、様々な事象に対して複数の弁護士から法的な側面でアドバイスをいただいております。それらのアドバイスは参考にしつつも、当然のことながら最終的な判断は当社の経営判断として行っております。特定の弁護士に関わることについては通常コメントはしておりませんが、森田弁護士について敢えて申しあげますと、その専門性の高さから、日頃から様々な事案について適切なアドバイスをいただいております。また、ご質問に記載されている過去に訴訟となった日教組との関係については、高輪・品川地域の近隣住民、学校、病院等へのご迷惑、損害の発生を避けようと、また何より当日の受験生への悪影響を回避するために、当社グループの経営判断として行ったものです。

    7) 西武HDが発足した2006年当初、後藤社長は2008年度中の株式上場を公言していましたが、いまだ実現していません。13年中に上場が実現できるのかどうか、御社の見通しをうかがいたい。また、サーベラスとの関係がこじれて上場できない場合の後藤氏の経営責任をどう考えますか。

    (回答)
     当社は、早期にかつよい形での上場を目指し、全力を尽くしてまいりました。上場の時期については引き続き未定ですが、今後も企業価値の向上に取り組み、そのように全力を尽くしていくことが後藤の経営責任であると考えております。なお、西武HD発足後に上場時期について、正式に発表したことはございません。

    8) 後藤氏はかねて親しい斉藤惇・東証社長に橋渡しを依頼したといわれていますが、斉藤社長とこの件についてどんな話し合いをしたのかご説明ください。

    (回答)
     ご質問に記載の事実はございません。

    9) 解体が始まった赤坂プリンスホテルの再開発「紀尾井町計画」は総事業費980億円とされています。上場の見通しが立たないなかで、連結有利子負債8470億円(12年3月末)の御社は主取引銀行のみずほ銀行などから資金調達できるのでしょうか。

    (回答)
     資金調達に問題はないと考えております。
     なお、ネット有利子負債残高につきましては、2005年3月時点では13,500億円であったのに対し、2012年9月末時点では8,242億円と大幅に改善している状況です。

    10) 西武HD傘下の「西武総合企画」がプリンスホテルのリストラ社員の受け皿になっていて、レストランのシェフが駐車場の管理係などに配転されることが頻発していると言われていますが、それでもプリンスの赤字が解消しないのはなぜですか。

    (回答)
     ご質問の趣旨の事実はありません。当グループとしては、グループ全体で人材の適正配置を行っております。

     まず、西武総合企画につきましては、当初、特定旅客自動車運送事業を営むことを目的として、1983年9月1日に設立し、平成2年以降「警備業」「清掃業」にも事業を拡大してきました。2012年10月には送迎バス事業と清掃事業・警備事業という性質の異なる事業を分割し、それぞれの事業に特化することでより質の高いサービスの提供と効率的な運営を図ることを目的に分社化をいたしました。特定旅客自動車運送事業・受託管理業部門を新設分割して、新たに「株式会社西武総合企画」に、また清掃事業・警備事業につきましては、「株式会社西武SCCAT」とし、清掃、警備に限ったサービスのご提供のみならず、清掃、警備と施設管理をパッケージにしたファシリティマネジメント事業に取り組んでいます。両社ともグループ内の戦略会社であり、ご質問に記載されたような会社ではありません。

     次に、株式会社プリンスホテルの業績についてですが、リーマンショック、東日本大震災がホテル・レジャー事業に大きく影響しましたが、財務体質の強化に粘り強く取り組み、徐々に確実に収益を上げられる体質となってきました。2013年3月期第2四半期決算で発表させていただいたとおり、2012年9月末では営業利益41億円、経常利益21億円、四半期純利益18億円となっており、現状、通期でも黒字を確保できる見込みです。

  • 2013年1月23日西武HDへの質問と回答(1)

    FACTA最新号は、西武鉄道やプリンスホテルなどを傘下に持つ西武グループの持ち株会社、西武ホールディングスの再上場が、なぜこじれて暗礁に乗り上げてしまったかを報道しています。昨年12月の週刊文春報道で、筆頭株主サーベラスとの間で資本提携契約解除をめぐってトラブルが起きていることが明るみに出ましたが、FACTAは西武HDとサーベラスの応酬の全容を掌握、オーナーの堤家を封じ込めてきた後藤高志社長のもとで、西武グループに何が起きたかの「決定版」報道と言えるものです。

    カリスマ堤義明逮捕後に、メーンバンクのみずほコーポレート銀行から送り込まれた後藤社長が、堤家封じに米ファンドを引っ張り込み、今度は「東証の指導により」という名目でファンドを切り捨てようとしたのは、銀行管理会社でよく起きる「株主殺し」の典型と思えます。上場仮申請を受けた東京証券取引所も含め、企業立て直しの過程で浮かぶ日本の「間接金融の病理」に光をあてました。

    FACTAは西武HDに対し10項目の質問状を送り、年明けに同社から返答をいただいた。西武HD広報は「上場準備中の会社として情報の開示に制約がある中、最大限回答させていただく方針で対応させていただきました」との前置きしており、弊誌も記事には可能な範囲で反映したが、その誠意に呼応してここにその質問と回答の全文を掲載します。各項目の前段がFACTAの質問、後段が西武HDの回答である。

  • 2012年12月28日キジも鳴かずば、の北尾吉孝日記

    あらら、こんなこと書いていいのかな。22日の北尾吉孝日記(ブログ)に面白い記事をみつけました。

    「召集される特別国会で(中略)自民党の安倍総裁が内閣総理大臣に選出され(中略)午後に組閣が行われ」る見通しとなっていますが、今一つ聞こえてきているのは「麻生氏、副総理・財務相に」ということで、嘗ての自民党政権である面で罰点が付けられた首相経験者が再び閣僚に就くことに、私自身少し違和感を覚えています。

    また安倍氏が「円高・デフレ克服に取り組むための閣僚を置き、経済再生担当相とする意向を固めた」とも報じられていますが、それ程大事な経済政策に関わる片一方の財務大臣が本当に麻生氏で良いのか、総理としても中途半端の状況であった人だけに如何なものか、というふうなイメージがずっと付き纏ってしまいます。

    更にもう一つ、「名前は一緒だが、新自民党と旧自民党は全く違っているなぁ~」というイメージを創り上げて行くことが今の自民党にとって大変重要なことであろうと思われ、やはり新自民党においてはその昔出てきた顔がまたというのではなく、それなりに成る程と思えるような人事をして貰わねばなりませんから、そういう観点からも麻生氏の閣僚起用について本当に良いのかと思わざるを得ないわけです。

    さすがSBIの総帥、この度胸といい、政治勘といい、まことに見上げたものです。麻生太郎氏が総理時代に、故中川昭一氏に財務相と金融相を兼任させたことをお忘れのようですね。大蔵省が財務省と金融庁に分離されている現状は不自然というのが持論だけに、安倍第二次内閣もそれを踏襲するとは北尾氏も見通せなかったのでしょうか。

  • 2012年11月21日旧アルゼ(ユニバーサル・エンターテインメント)の第二回答

    前回のブログで書いたパチスロ大手、ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ、ジャスダック上場)からの第二回答です。弊誌の下版には間に合いませんでしたが、最新号記事の内容を本質的に覆すものでないことは、回答を読めばお分かり頂けると思います。同社が掲載先送りを要望した記事を弊誌は掲載しておりますが、その対応がフェアであることを証明するために、ここに全文を掲げます。

  • 2012年11月19日旧アルゼ(ユニバーサル・エンターテインメント)の第一回答

    前回のブログの続きである。

    フィリピン・カジノホテル開発について、ユニバーサル・エンターテインメント(旧アルゼ、ジャスダック上場)の代理人弁護士から、11月13日の日付で以下のような回答をいただいた。

  • 2012年11月15日旧アルゼ(ユニバーサル・エンターテインメント)への質問状

    最新号では、パチスロ大手、ユニバーサル・エンターテインメント(旧アルゼ、ジャスダック上場)とラスベガスのカジノ王、スティーブ・ウィンとの訴訟合戦で浮上した、内部文書と目される文書についての記事( 「岡田vsウィン」カジノ訴訟に仰天文書 )を掲載しています。

    ユニバーサルの創業者、岡田和生会長が2000年当時、資金難に苦しむウィンに出資した当座は蜜月で、ウィンのマカオ進出も中国の富裕層の殺到で大成功を収めました。集英社インターナショナルからは『ラスベガス・カジノホテル 最も新しい挑戦』などという本を共著で出すほどでした。

    ところが、独自にカジノホテルを運営したい岡田社長は、ウィンの反対を押し切ってフィリピンのマニラ湾にリゾート兼カジノホテル建設を進める計画を進め、とうとう2人が決裂してこの2月、ウィン側が筆頭株主である岡田氏を取締役から解任、「不正行為があった」としてその株式まで3分の1の価格で取り上げる強行手段に出ました。この「不正」とは、フィリピンでカジノのライセンスを交付する権限を持つ公社に対する贈賄や供応です。その調査をウィン側はFBI元長官の運営する調査会社に委ねたことから、ウィンは本気でユニバーサル側の「不正行為」を暴いて、アメリカの海外腐敗行為防止法(FCPA)の基づいてユニバーサルを叩きのめす意気込みのようです。

  • 2012年9月25日カルパースへの公開質問状(ニイウスコー関連)英文添付

    しばらくブログの間があいた。さすがに英気を養う夏休みをとり、休めばたちまち取材日程が立て込んで、ブログを書いている暇がなかったからというのは言い訳がましいだろうか。

    もうひとつは事情があって、懸案の本の原稿を急ぎ書き上げる必要が出てきたからです。ちょっとその調べもので忙しいというのが本音である。

    とはいえ、あんまり沈黙していると、夏バテでくたばったかと、変に憶測する連中がいる。どうもFACTAが鬱陶しいと思っているステマ部隊が、あらぬ噂をたてそうなので、ここでアッカンベーをしてみたい。

    さて、恒例の公開質問状である。今回は「モノ言う株主」として有名な全米最大の機関投資家「カリフォルニア州職員退職年金基金」、つまりは「カルパース」のCIOとコーポレート・ガバナンス担当者に対し、本誌が前号まで3回連続で追及した三菱東京UFJ銀行とニイウスコーの問題をどう考えるのかを問いただすとともに、問題提起する質問状である。

    なんとなれば、ニイウスコーが破綻半年前に実施した第三社割当増資200億円の引受先となった2ファンドのうちのひとつにカルパースが投資していて、それが大きな損失を出しているからだ。この2ファンドはニイウスコーの監査法人だったトーマツに対し東京地裁で賠償請求訴訟を起こしているが、背後にはカルパースの強い突き上げがあったという。

    だとすれば、本誌報道でニイウスコーのメーンバンク、三菱東京UFJ銀行に対しても、その粉飾を知りながら第三者割当増資を実行させ、その際にデット・エクイティー・スワップ(債務の株式交換)を内諾しながら見送った行為を、投資家は黙認するのか、と問いかけたのである。

    9月末を回答期限としているので、それを待っている段階だが、それを広く一般に議論してもらう狙いをこめて、このブログで公開しよう。カルパースに送ったのは英文なので、日本語のほかに英文も添付した。その他に資料として送った弊誌「メガバンクの仮面」シリーズの英訳は割愛した。

  • 2012年8月22日チャイナ・ボーチーと東証2 東証渉外広報部の回答

    弊誌の質問状に対し、東証は8月8日、ファクスにより回答してきた。渉外広報部名で、「ご照会事項への回答」と題して、以下のようなA4判2枚の回答だった。なお()内は、このブログの読者の方が質問状を読み返さなくていいよう、編集部が便宜のためにつけた説明です。

  • 2012年8月21日チャイナ・ボーチーと東証1 斉藤社長への質問状

    ロンドン・オリンピックも、お盆休みも終わって、なんだか虚脱感に襲われます。じつは取材に忙しくて、未明のレースや試合をほとんど見ていません。なんだか番外地にいたような気もするが、かくて夏は過ぎ行く。いつものように。ふと青空を仰げば、秋空を思わせるうろこ雲が見えました。さて、ブログを再開しましょう。

    今回は弊誌がここ数年追い続けた東証上場の中国企業株について。山西省のボタ石発電所計画地にペンペン草が生えていて、嘘をついていたことを暴露されたチャイナ・ボーチーについて。日本の株主から集めたカネを持ち逃げするにひとしいディスカウントMBOに対し東証斉藤社長にこれを看過するのかという質問状を送りました。

    さすがに、今度はきっちりした返答をいただきました。オリンパスではなかなか回答がいただけませんでしたが、これは一歩前進です。いや大きな一歩です。誠意ある東証の回答を是とし、心よりお礼申し上げます。

    最新号ではそれをもとに「チャイナ・ボーチーMBOに東証社長『不快感』」の記事を掲載しました。質問状、回答ともここに全文を掲載しますが、かなり長いので、まず質問状から。

  • 2012年7月26日野村「渡部辞任」報道について思う

    ちょっと予想より数日早かったけれど、7月26日、野村ホールディングスの渡部賢一CEO(最高経営責任者)と柴田拓美COO(最高執行責任者)の二人が辞任しました。

    愛読者の方々はすでにご承知のとおり、この渡部退陣報道ではFACTAは終始先行しており、7月20日発売の最新号でもいち早くこんな見出しで報じています。

    外堀が埋まった野村「渡部辞任」(12年8月号)

    実際の編集は15日下版でしたから、辞任発表を10日早く予告していたことになります。弊誌は2008年2月号(1月20日発売)でも、「野村HD――古賀社長退陣説の『根拠』」をカバーストーリーで報道、3カ月後の古賀退陣、渡部社長昇格を的中させましたから、2代連続で野村のトップ交代を的中させたことになります。「三歩先を読む」弊誌のモットーを実現できたと考えます。

    今回も6月号(5月20日発売)のカバーストーリーで、

    野村「渡部CEO」に退陣圧力(12年6月号)

    という記事を載せ、どのメディアにも先んじて佐渡証券取引等監視委員会との抜き差しならぬ緊張を報じました。それでも野村内には楽観論が流れていたので、7月号(6月20日発売)で続報として

    「野村」渡部の反骨チキンレース(12年7月号)

    を打ちました。最新号の記事はいわばとどめでした。ご購読者以外の方々にも、この三本をフリー公開しますので、FACTAがどこまで先を読めていたか、ご覧いただければ幸いです。弊誌の調査報道を否定したい向きには、はなはだ不都合な結果でしょうけれど。

  • 2012年7月26日JPドメインについての質問状

    インターネットの世界の「入場券」とも言えるドメイン。名刺にネットのアドレスを入れていない人は少数派だが、日本の「…….co.jp」や「…….ne.jp」などの「JPドメイン」の登録料が市場では年3000~4000円もかかり、本家米国の「…….com」(ドットコム)の9ドル(約700円)に比べて割高であることはよく知られている。が、いっこうに改まらない。日本レジストリサービス(JPRS)の一社独占であることをいいことに、そのおいしい暴利を貪っているからだ。日本音楽著作権協会(JASRAC)を摘発したものの、凡ミスで不服審判にも敗北、いまやこの手の話では羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くようになった公正取引委員会になり代わって、FACTAがこの不条理に挑戦する。

    JPRSの母体であり、その株式19・6%を保有する社団法人ニホンネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)に以下のような質問をぶつけた。

  • 2012年7月25日文科省への質問状――福島線量計をめぐる奇々怪々

    小生が日経出身だからというわけでもないんですが、どうもテーマが経済に偏ってしまう癖があり、カネに縁のないわりには、雑誌でとりあげる話題はカネ、カネ、カネ……になってしまって、どうも申し訳ありません。しかし「悪」の物差しにカネほど普遍性のあるものはなく、イデオロギー大嫌い人間としては、そちらに走りがちなことは潔く認めましょう。

    そこで、罪滅ぼしというわけではないのですが、最新号では文部科学省をいくつかの記事でヤリ玉にあげております。東日本大震災の際にSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク)を宝の持ち腐れにし、飯舘村に避難民を誘導してしまった大チョンボをうやむやにしたあたりから、この官庁をマークしていた次第です。

    なぜ文科省か。

    小生は新聞の社会部出身ですが、新入りの時の部長が文部省べったりで(人柄はよかったのですが)、どうも食わず嫌いのまま敬遠したい官庁になってしまいました。スト権ストの収束とともに文教族と結びついた癒着は目に余ったのですが、公共事業などの利権に比べれば小さいせいか、リクルート事件以外にはほとんど捜査のメスが入らず、霞が関の日陰でぬくぬくと生き延びてきたからです。

  • 2012年7月21日三菱UFJ関連質問状2――フェニックスなど3社

    「メガバンクの『仮面』」シリーズ<中>で主役に躍り出たファンド「フェニックス・キャピタル」に対しては、もちろん弊誌は質問状を送っています。歴代代表がみな旧三菱銀行出身であること、三菱東京UFJ銀行(BTMU)がメーンバンクである三菱自動車などの再建案件を手掛けていることから、業界でフェニックスは典型的な銀行系ファンドとされています。

    しかし銀行系といえども、ファンドは投資家から預かった資金を投資しており、投資家の利益を図るのが最優先のはずなのに、銀行系ファンドはときに投資家を犠牲にして銀行の利益を優先しています。これは間接金融の銀行の都合を優先させるのか、直接金融の市場原理を優先させるのか、の究極の選択になります。そこにメガバンクの矛盾が凝縮されるのです。

    ニイウスコーのケースは前者を優先し、後者をないがしろにした事例でした。それが許されるのなら、投資家は常に犠牲に供され、市場など要らないことになります。弊誌は直接金融を骨抜きにしようとする三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)などメガバンクは、実はその存在それ自体が「反市場勢力」の本質を潜在させているのではないか、と問題提起したいと考えています。

    調査報道とは抜身の刃のようなものです。彼らの臓腑に届いているかどうか。まずはフェニックス・キャピタル宛の質問状です。

  • 2012年7月19日三菱UFJ偵察と新たな質問状

    天下のメガバンクも、ノミの心臓ですね。

    18日午後6時、ちょっと時間があいたので、丸の内の銀行会館に寄ってみた。オンライン会員向けに最新号の誌面をウェブで公開してから2時間後である。新聞記者だった時代はよくここに来た。全銀協会長会見や銀行各行が開く懇親会、そしてクラブ関東での食事。そんな古きよき時代になんの未練もないが、この季節は株主総会も終わって、新任頭取や新任取締役の紹介もかねて、いわば名刺交換会のようなものが開かれる。昇格したバンカーにとっては晴れがましい席だ。

    この日はたまたま三菱東京UFJ銀行(BTMU)の記者懇親会が銀行会館の3階で開かれることになっていた。ちょっと闖入して、名刺でも交わそうかと思ったので、新丸ビルから徒歩で銀行会館ホールに向かった。

    何の看板も出ていない。守衛に誰何される。「どちらへ?」。「記者懇へ」。そのまま通してくれたが、なんだか秘密の会合に乗り込むような按配だ。

    3階でエレベーターを降りると、受付にプレートが並び、ずらりといかめしい顔立ちの行員たちが立っている。いつのまに記者懇はクローズドになったのかしら。厳戒態勢ではないか。

    1人がすうっと近づいてくる。「どちらさまで」。「FACTAです」。空気が凍りついた。メンが割れていたのか、「阿部さんですか、いつもお世話になっております。ここから先はちょっと……」

    招かれざる客は、シャットアウトということだろう。総会屋みたいに声を荒げて暴れまわるとでも思っているのだろうか。ほとんど猛獣みたいに見ている。いやいや、それも半ば覚悟のうえだったが。

  • 2012年7月16日Paparazzi2

    やれやれ、いっぱいタレコミが来ますね。怪文書まがいのものもありますが、とにかく御礼申し上げます。内情が手に取るようにわかります。

    タレこんだ方々は内部とお見受けしますが、弊誌でも撃てというご催促なのでしょうか。

    でもねえ、ちょっとインサイダーすぎます。文春に敬意を表して、ここはしばらくPaparazziの第二弾。今度は韓国のK-Pop「少女時代」で勘弁してくださいませ。

  • 2012年7月 9日Paparazzi

    パパラッチにやられた人に捧げよう。レディー・ガガが歌う『Paparazzi』の歌詞を。

    But this photo of us(だけど、この私たちの写真)
    It don't have a price(値段なんてつきゃしない)
    Ready for those flashing lights(フラッシュを浴びる準備は?)
    'Cause you know that baby I(だって、ベイビー、ご存じのとおり)
    I'm your biggest fan(私ははあなたの一番のファン)

    I'll follow you until you love me(愛してくれるまで追いかける)
    Papa-paparazzi(パパラッチ!)
    Baby there's no other superstar(ベイビー、ほかにスーパースターなんかいない)
    You know that I'll be your(知ってるでしょ、私はあなたの)
    Papa-paparazzi(パパラッチ!)

    秘書室長殿、ご愁傷様です。

  • 2012年7月 6日慶応義塾への第2公開質問状

    6月にお送りした質問状に、たった1行「お答えできません」という大変示唆的なご回答をいただきまして有り難うございました。さて、このブログで予告しましたように、経歴詐称問題を義塾の他の教員の方々にも戦線を拡大していこうかと存じます。どこにでもホイッスル・ブロワーはいるもので、弊誌に以下のような情報が寄せられました(もちろん弊誌は独自に確認作業を行っており、この内部告発は一部加筆および削除を加えてあります)。

    中村伊知哉(大学院メディアデザイン研究科)教授の盟友の菊池尚人(同研究科)准教授も、DMC途絶後もずっと「KMD准教授」とし続けていたので、調べてください。こちらはキム氏の経歴詐称が話題になった後に「特任準教授」に直していますが、たしかその前は特別招聘准教授でしかなかったはず。でも自らがビジネスでやっている東京コンテンツブロデューサーズラボなどでも慶應KMD准教授を名乗っていたのですから学生集めにおいてかなりまずいですね。

    しかしこの件は一准教授の経歴詐称より重いものにつながっています。慶應の教員採用の実態と、産業界や官界との癒着です。特に竹中平蔵氏などがかかわっている情報通信業界です。これは安西(前塾長)体制のときに極みに達した部分で塾内でも批判が大きく、清家(篤現塾長)体制ではそういう面は一掃しようとしています。

    IT系の教員の研究実績などをグーグル・スカラーなどで調べてみてください。キム氏に研究実績がないとの指摘がありまたが、中村伊知哉教授、岸博幸教授などのKMD組にも、霞が関経験はあるものの学術論文など一本もありません。国領二郎総合政策学部長兼教授も著名なので、みんなたいそうな学者だと思い込んでいますが、研究実績は非常に乏しい。さすがに中村・岸両教授よりは多少ましですが。SFC系の教員も大半がそうです。

    こうした人たちはIT業界と深くつながり、かつ、総務省や経産省ともつながっています。岸教授はエイベックスの社外取締役で、中村教授はミクシィの社外取締役、その他、いろいろなビジネス系の役職を兼務しています。国領学部長はNTTのOBで、NTT系の多額の資金を得ています。こういう人たちが、「慶應大学教授」という肩書きで政府系の役職に就いて、教員の数倍の報酬をビジネスで稼いでいる。逆に、慶應は安西体制のときに、教授ポストを著名人に非常に低報酬で提供し、副業で儲けなさいという方針をとりました。その結果、学術実績が何もない著名人が慶應の肩書きを実質的に買い、慶応教授
    の肩書きを使った副業で儲けるという構図ができています。

    もちろん、学者の意見が各種審議会委員などを通じて政府に反映されるのは決して悪いことではありませんが、それはあくまで「学者」としての中立的・学術的な視点を期待されているのであって、学術的な業績が何もない、単に産業界や官界とのパイプが強いだけの人が「慶応教授」ということで委員に任命され、政府とのパイプで副業を稼いでいる。

    政府の側でも、自分たちが仲良くしたい産業界とパイプの強い(というより学者でも何でもなくそれしか取り柄がない)元官僚などの委員が、学者という隠れ蓑で産業界寄りの意見を言ってくれるのは助かるわけです。中村伊知哉教授の発言など追ってみると面白いですよ。これに対し、本格的な研究業績のあるIT経済の研究者などは、電波オークションの実施などを主張するので、委員からは外されます。

    本来、政府の委員に就く人は、関連業界からどのような報酬や研究費をもらっているか開示すべきであり、また、大学教授として委員に就く人には学術的な業績を求めるべきでしょう。慶應のような学術的業績ゼロでも「一流大学教授」のポストを与えてしまう大学がある以上、「一流大学教授」というだけで学者委員を審議会委員などに入れることはやめるべきです。

    とにかく、DMC+KMD+SFCには胡散臭い教員がたくさんいるので、今後、そういった方面での調査も進めてもらうことを期待します。これは、慶應に限らず、日本の御用学者文化全体につながる問題だと思いますが、慶應とIT業界と総務・経産省が、私が知る限りでは最もひどい癒着を起こしています。

    なかなか立派な内部告発ではありませんか。さらに別の内部告発が届いております。

  • 2012年7月 4日JOGMECへの公開質問状

    JOGMECと言ってもご存じないかたもいらっしゃるでしょうが、かつての石油公団と非鉄の金属鉱業事業団が合併して2004年に生まれた「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構」のことである。公団と事業団の双方に配慮したための官僚らしい長たらしい名前で、誰も覚えられないから英語の略称で呼んでいる。私も川崎駅前の機構本社にシェールガスの取材に行ったことがある。

    実は3.11以降、原発停止による電力エネルギー危機に陥った日本は、原油、LNG、石炭など旧来の化石燃料調達に走ったため、海外で資源確保の最前線に立つJOGMECは、総合商社とともに今や日本経済の命綱を握る存在となっている。

    だが、いくら背に腹は代えられないとはいえ、足元を見られた日本のバイヤーは、バーゲニングパワーを失って高値づかみ。26日付の日経朝刊商品面の「多面鏡」コラムが示すように、東電の火力発電燃料が「割高」であることが明らかになっている。コラムは経済産業省の電気料金審査専門委員会の資料をもとにしているが、もちろんこれは足元の数字だけ。今後もいったい何年間、こうした割高資源を日本は買わなければならないのか。それはどれだけ日本製品のコスト上昇に跳ね返るのか。

  • 2012年6月28日セラーテムの御用弁護士を応援しよう

    セラーテムの呪いでしょうか。大証は昨日(6月27日)の前場、整理ポスト入りしたセラーテム株を売買停止にしました。前日の終値は505円だったのに、取引システムの値幅上限が385円に設定されていたのが原因です。セラーテムは6月21日に配当予想を無配に修正、26日が権利確定日でした。ところが、大証はこの修正を取引システムに反映し忘れ、取引開始直前まで気付かなかった。なんという大ポカ。特捜部が起訴した後、ぐずぐずせずに上場廃止を決断していれば、こんな恥の上塗りは避けられたでしょうに。ご愁傷様です。

    ところで、本誌がなぜセラーテムを執拗に追及し続けるのか、不思議がる向きがあるようです。新興市場のイカサマ企業は珍しくないし、オリンパスのような有名企業でもない。首謀者の社長と元CFOがすでに逮捕・起訴されたのだから、事件はもう終わりじゃないのかと。

    何もわかっちゃいない。セラーテムのイカサマは残った「共犯者」たちの手で今、この瞬間にも続いている。それを知りながら報じなければ調査報道の名がすたります。

  • 2012年6月26日セラーテムは監査法人もインチキ

    ちょっと間があいたが、6月20日のブログの続きです。セラーテムの上場廃止を決定した大阪証券取引所が、「セラーテムテクノロジーの上場廃止理由について」なる補足資料を公表し、市場関係者の物笑いの種になっていることは既に触れました。今回は「上場廃止理由1」に挙げられた「監査法人の結論不表明」について検証します。

    上場企業の決算書を監査する過程で、監査法人(会計監査人)が粉飾や虚偽記載の可能性を見つけ、それを打ち消す十分な証拠が提示されなかった場合、監査法人は「意見を表明しない」ケースがあります。要するに、「この決算書は信用できない」という意思表示です。監査法人の意見表明は、証券取引所が企業の上場を維持すべきか廃止すべきか判断する重要な基準の1つ。「意見不表明」でも即座に上場廃止とは限らないが、ほとんどの場合、監査法人から企業への死刑宣告に等しいのが現実と言える。

    上場企業の不祥事が相次ぐ昨今、「意見の不表明」は珍しくない。ところが、セラーテムの会計監査人を務めるパシフィック監査法人が出したのは「結論の不表明」であり、これは初耳でした。一体何が違うのかと、セラーテムが6月15日に提出した四半期報告書に添付されている監査報告書を読んだら、思わず唖然とさせられた。問題の部分を下に引用します。

  • 2012年6月21日金正勳准教授の経歴について慶應義塾への質問状

    慶應義塾の塾長、清家篤氏に申し上げたい。そりゃ、ないでしょう。

    大学院政策・メディア研究科の金正勲特任准教授の経歴詐称疑惑について、本誌の7項目の質問状に対する塾の返答は、およそ教育者たる資格があるのかと思われるほどのひどさだった。

    1)~7)の質問にはお答えできません。

    たった1行、これだけである。金准教授のブログでは、肩書に「特任准教授」と「特任」を入れなかったこととハーバード大学のvisiting Scholar を「客員教授」と訳してしまったミスだけを詫びている。

    そんな生易しいものでないことはお分かりになったはずだ。中央大学の学部卒業時に提出した「コミュニケーション論」を除けば、どこにも彼の査読論文がみつからない。論文も書いてない人間ということは、学者ではないということだ。それがハーバードはおろか、オクスフォード上席研究員、ドイツ国防大学上席研究員を「詐称」したのだ。

  • 2012年6月21日三菱東京UFJ銀行の荒木三郎常務に質問状

    6月28日、オリンパスと同じ日に日本武道館で株主総会を開きますね。公開した弊誌質問状について株主から質問が出た場合に備えて、もしかすると想定問答集の作成にお忙しいところかもしれません。広報・企画担当の常務として、誠にご苦労さまです。

    どうやら、弊誌の報道は「ニイウスコー事件当時に流れた怪文書の水準で、取るに足らない」とかわすおつもりとか。甘いなあ。そんなマジノ線(第一次大戦でフランスがドイツ国境に敷いた要塞線)じゃたちまち破られますよ。

    KPMG FASの報告書の写真に「DRAFT」とあったのに縋って、あれは最終版ではないと言い逃れする気なら、最終版を公開してもらいましょう。ほかのページも世間にさらさなきゃなりませんが、果たしてできますでしょうか?

    いや、公開しなくてもいいですが、金融庁にはどう説明するのですか。必ず真偽の照会が来るでしょう。その説明の論理構築のほうがいまやるべきことかもしれません。

  • 2012年6月20日大証の不名誉な記録が85日でストップ、物笑いの種に

    大証がついにFACTAに白旗をあげました。昨日(6月19日)午後の取引終了後、セラーテムテクノロジーの上場廃止を発表したのです。一昨日(6月18日)に公開したブログ記事で「不名誉な記録を更新中」と指摘され、慌てふためいたのかどうかは知りません。が、セラーテムが6月15日に提出した四半期報告書に対して監査法人が「結論を表明しない」と通知してから、上場廃止の決断までわずか2営業日余り。イカサマ企業にやさしいことで有名な大証とは思えない早業でした。

    でも、不名誉な記録は消えません。東京地検特捜部がセラーテム社長の池田修と元取締役CFOの宮永浩明らを金融商品取引法違反(偽計)の嫌疑で逮捕したのが今年3月6日。証券取引等監視委員会が法人としてのセラーテムおよび池田、宮永の三者を告発し、特捜部が起訴したのが3月26日のことです。証券監視委の告発から上場廃止決定まで85日もかかったのは、過去の最長記録であるライブドア(東京証券取引所マザーズ)の31日の2.7倍以上という前人未踏の新記録。東証の記録を大証が塗り替えたという意味でも、歴史に残る壮挙でしょう。大証の米田道生社長と社外取締役兼自主規制委員会委員長の川本裕子女史には、お祝いを申し上げたい。

  • 2012年5月20日SBI幹部諸氏への投降勧告

    将軍様支配下のSBI人民民主主義共和国の幹部諸兄に呼びかけます。本誌の北尾マジック追及シリーズも今号で第五弾に達し、いよいよ中枢に触れてきたことはお察しかと存じます。38度線の南から、将軍様についていくかどうか、お迷いの方々にサジェスチョンしましょう。

    もちろん、本誌はSBIを最後まで追う所存です。まだまだ材料は山ほどありますので、ネタに困ることはありませんが、これから先は個別攻撃になることを予告させていただきます。オリンパスのケースで、社長だったウッドフォードが、自らが罪に問われることを危惧したように、この泥船に最後まで乗っていたくない方々は、そろそろ降り時だと思います。

    将軍様が「戦うんだ」と口癖のように言い始めていますが、そばにいるあなたがたもご存じでしょう。これは勝ち目のない戦いです。海外のファンドや、国内の親密先とのツケ回しでちょろまかそうなんて、丸ドメなご当局相手ならいざしらず、FACTAのような海外にアンテナを持つメディアには通じません。実はウッドフォードのように”I was gob smacked.”と呟いていらっしゃるのでは。


  • 2012年4月17日嵐の公開質問状シリーズ1 SBI第四質問状

    ブラックアウトが終わりましたので、これから嵐のように質問状シリーズを続けます。第1弾はいまや訴訟でどちらが倒れるかの力相撲になっているSBIホールディングスから。先月は「後出しジャンケン」であれだけ威勢よくリリースしたのですが、その後に追撃でこのブログに載せた第三質問状にはまた沈黙。FACTAが今月の最新号の取材で送った第四質問状にも期限の11日までに答えませんでした。

    ところが、13日には、質問状で聞いたSBIアラプロモ(社名変更でSBIファーマ)でリリースを発表して、またもや「後出しジャンケン」に出ました。このリリースだけじゃ、いかにも唐突すぎて、一般の人は何のことかわかりますまい。FACTAの追及に対する苦し紛れの後付け理屈なのです。

    サプリの赤字子会社で、創薬の研究開発機能などなきにひとしいのに、弊誌に痛いところを衝かれたものだから、慌ててバーレーン政府と基本合意などというとってつけたようなリリースをだしたものと思われます。それでも時価総額720億円などという値がつくようなニュースとは思えませんが、これで市場の目をくらませるとでも思っているのでしょうか。

    質問状は以下の通りです。

  • 2012年3月25日SBI追及へCrowdsourcing

    SBI将軍様との全面戦争は、インターネット上の戦争でもあります。SBI証券(旧Eトレード)が傘下にあるので、それならお手の物と言いたいのでしょうが、そうは問屋がおろしません。水に落ちた牛に群がるピラニアのような「エミールと探偵たち」のような戦い方もありますから。

    どうやら将軍様は、覆面社員にヤフー掲示板を占領させて、他の投稿を削除させるステマ(ステルス・マーケティング)に励んでおられるようです。バレバレですよ。kabutennjinnと牛丼がかけあいで繰り広げるけなしあいだなんて。FACTAは創刊前からソニーのステマを叩いていますので、正体はまる見えです。80年代の株式市場で株価操縦やり放題だった野村の手口を、そのまま踏襲ですか。これは相当焼きが回ってますね。

    SBIに泣かされた投資家のみなさんは、本当にお気の毒です。でも、SBIステマ部隊が消し忘れた掲示板の投稿をひとつご紹介しましょう。

  • 2012年3月16日雑誌ジャーナリズム大賞とオリンパスの人事

    ブラックアウト期間を終わってでてきたら喜ばしいニュースが二つ。

    ひとつは山口義正記者が弊誌におけるオリンパス報道で、第18回雑誌ジャーナリズム大賞を受賞することになりました。95年から毎年、編集者の投票で選ばれるもので、主宰者の講談社から大賞受賞の知らせを受けました。30日に授賞式です。山口記者、おめでとう。

    もうひとつは、オリンパスのポチが出世したこと。

    オリンパスの4月1日付の人事には苦笑しました。拘置所行きとなった菊川元会長のポチだったお二人が、みごと出世を遂げていらっしゃった。これまた、おめでとう。あなたがたはその厚顔無恥で歴史に残るポチ・サラリーマンの鑑です。

    まず、広報・IR室長だった南部昭浩氏。みごと財務本部長・経営企画本部長の重要ポストを射止めました。FACTAの追及にはまったく答えず、必要なことはすべて開示しているとの大ウソをつき通し、はては当初記者会見ではFACTAを「場所がないから」と締め出した張本人です。

    株式市場を欺き通し、オリンパス株をどん底に陥れた広報の中心人物で、FACTAに内通した人物は誰かと嗅ぎまわり、市場にも一言も謝らなかった彼が、これからはオリンパスの財務の柱になるのです。また不正をやってもバレさえしなければ、上場廃止にならないと高をくくったんでしょう。これからも株主のカネを横取りし続けるのでしょうか。

    そしてもう一人は秘書室長だった百武鉄雄氏。彼は南部氏の後釜の経営企画本部広報・IR室長だそうです。

  • 2012年3月 7日セラーテムのフィナーレ

    池田社長、宮永元CFOら3人が逮捕されました。これで「FACTA銘柄」にまた鉄槌が下ったことになります。

    さて、1年半前の10年9月号でスクープしたFACTAの取材に対し、けんもほろろだった大証ジャスダックはセラーテムを6日に監理銘柄にしましたが、その先はどうするのでしょうか。ジャスダックの上場廃止基準に照らしても、金商法違反(偽計)容疑ですから、「その他事項」の虚偽記載にあたるはずです。

    さらにこういう説明があります。

    適時開示規則や企業行動規範に違反した場合,最も厳しい措置は上場廃止ですが,一度の違反で上場廃止にまでは至らないケースであっても,その重要性に応じてペナルティ措置としての公表措置(2回目以降は警告と呼びます)を講ずることがあります。繰り返し違反を行う企業は上場会社としての資質に欠けると判断されることから,大証市場では,5年間に3回の公表(警告)措置を講じた場合には上場廃止とします。

    FACTAの報道から、大証ジャスダック(旧ヘラクレス)はセラーテムに対し一度も警告の公表措置をとらなかった。われわれの指摘を無視し、一貫してセラーテムを守ってきたのです。

    セラーテムと裏表になっているチャイナ・ボーチーを1部に上場させている東証も同じでしたね。何度も取材し警告を発したのに、山西省の発電所建設予定地にペンペン草が生えていて建設などまったく進んでいない証拠写真を撮ってきても、FACTAはシカトされ続けてきた。

  • 2012年2月27日セラーテムとネクスコ西

    やっぱり深追いすべきだった、とちょっと落ち込んでいました。

    AIJ投資顧問は昨年7月に取材を開始していたのにスクープにできなかった。当時の証券取引等監視委員会は、そんなクレームはいくらでもあるといった反応で、せっかくの端緒が生かせなかったのは反省。

    一方で、この週末にFACTAのスクープ報道の正しさが2つ証明されました。それをささやかな慰みとしましょう。

    ひとつは26日に読売が報じたネクスコ西(西日本高速道路株式会社)疑惑。新名神高速道路の建設で価格が入札前に漏れたとの疑いで、清水建設社員宅などに兵庫県警が偽計容疑で家宅捜索した。これは本誌2011年8月号の「また『蛆』がわいたNEXCO西」で報じたものがやっと実ったということです。公取への「談合ですよ」とのメッセージでもあったわけですが、地元の警察が入ったのですね。

  • 2012年1月23日東証の出来レース

    ブラックアウト期間が終わってすぐ、東証自主規制法人がオリンパスの上場維持と上場契約違約金を発表した。予想通りで何の意外性もないが、結論先にありきだったことの釈明が何もないのでひとこと言いたくなった。

    12月の産経を筆頭に大手新聞紙上で何度も事前に報じられ、そのたびに「一部報道は東証の発表したものではない」とのエクスキューズのリリースを1月10日13日18日19日20日に5度も出している。そして、事前報道とぴったり同じ発表をしたのだから、滑稽だと思わないのだろうか。

    誰かがリークしたと考えるのが筋だろう。東証の上場部も広報も、単に責任逃れでこんな白々しいリリースを出しただけなのだ。自主規制法人の5人の理事による議論が始まる前からの情報漏れは、おひざ元の東証事務方からである可能性がもっとも大きい。理事の顔触れはこうだった。

    東証自主規制法人理事長  林正和(元財務次官)
    同常任理事  武田太老(元東証)
    同常任理事  美濃口真琴(元東証)
    理事(外部、非常勤)  藤沼亜起(元日本公認会計士協会会長)
    理事(外部、非常勤)  久保利英明(元日本弁護士連合会副会長)

    最初からプロパー出身が二人もいる。東証の退場審査がユルユルで、幾多のハコ企業を黙認してきたが、その問題の上場審査部門の当事者だったのだから、そもそも資格がないと言っていい。

    本誌は鳴り物入りで東証に上場した中国株、チャイナボーチー、新華ファイナンス、アジア・メディアがいずれもインチキ企業であることを誌面で追及してきたが、08年に上場廃止となったアジア・メディアを除き、残る2社についてはいまだに音沙汰なしで泳がせている。東証や幹事証券、監査法人への責任追及を恐れて及び腰だった彼らが、オリンパスに厳罰を食わせたら天に唾するようなものだろう。

  • 2012年1月 8日ウッドフォード元社長にひとこと

    正月明けですが、例によって編集期間に入るので、しばらくブラックアウトに入ります。

    このブログで年末に触れた菊川剛前会長兼社長に対するオリンパスの「隠れ家提供」は、読売新聞と朝日新聞が7日付で追いかけたようです。会社側は「第三者委員会の事情聴取に応じるため用意した」と提供を認めて弁明していると書いてありますが、川崎の自宅マンションからの往復にどんな支障があったのでしょうか。

    さらに第三者委員会の聴取と、菊川氏が隠れ家に持ち込んだペット(どうやら猫らしい)代支払いにどんな因果関係があるのか、記者が突っ込んでくれていないのが寂しい。後追い記事を載せるなら、それくらい付加価値を付けないと。

  • 2011年12月31日オリンパスの鑑、百武鉄雄秘書室長を褒め讃える

    ことし1年、オリンパスとは水面下でさんざん攻防戦をしましたが、最後にサラリーマンの鑑というべき忠犬に讃歌を捧げたい。百武鉄雄氏、オリンパスのグループ経営統括室経営企画本部秘書室長のことです。

    本誌は11月25日付で彼が署名し、オリンパスの社印まで捺してある文書を入手しました。そこに元社長兼会長の菊川剛氏への涙ぐましいまでの忠勤ぶりが現れています。まさに菊川氏を「最高領導者として高く仰ぎ奉じる」日本のポチの模範です。

    百武氏署名のこの文書、「定期建物賃貸契約書」とあって、今は東京地検特捜部の聴取を受ける身の菊川氏の隠れ家を会社が提供しているとの内容です。

  • 2011年12月22日オリンパス家宅捜索の感想

    まあ、予想どおりの展開といったところでしょうか。しかし結論が先にありき、でないことを検察、証券監視委、そして警視庁には祈ります。

    横尾宣政氏について一言。野村企業情報にいた時代から、「おれがおれが」で上司の言うこともまるで聞かず、確か1年で元に戻された過去もあるようです。その時代の話をもしかしたら聞けるかと思い、風月堂前6Fに行こうとしたのですが、タッチの差で逃げられてしまいました。ロマネコンティのコレクションは国税に押収されることになるのでしょうかね。

  • 2011年12月15日SBIホールディングスに対する公開質問状

    最新号では、証券界の異端児と言われ、野村証券出身で退社後はソフトバンクの孫正義社長と組んでCFO(最高経営責任者)となり、その後、独立してSBIグループの総帥になった北尾吉孝氏のファンド運営がどのようになされているかを深く追跡した記事を載せます。

    この8月に運用を終えたファンドの一つ、匿名組合の運用実績がどうのようなものであったかを、公開企業および未公開企業の投資先全社の固有名詞と、その簿価、売却金額、損益を1円単位まで丸裸にしたリストを掲載するとともに、SBIホールディングスに対して送った質問状とその回答をここに公開します。

    オリンパスのケースでは、これまで調査報道にとって厚い壁だったSPC(特別目的会社)のベールを剥ぐことができたのですが、今度はもう一つの壁である匿名組合のベールを剥ぐことができました。それは我々が内心密かに誇っている成果です。

    40年近く前の「田中金脈」追及報道で文藝春秋が土地や法人の登記簿謄本からさかのぼる手法を開拓し、私も90年代のバブル崩壊期までその手法に準拠していましたが、不良債権処理の過程でSPC、匿名組合、LLP(有限責任事業組合)などが認められるようになり、さらに海外も使われて、飛ばしの多くが見えなくなりました。

    今回、FACTAがチャレンジしているのは、今まで難攻不落だったこのビークルを突破することで、創刊以来、悪戦苦闘の末にこじあけることに成功し始めました。その手口が解明されることは、証券取引等監視委員会や金融庁、検察庁にも新たなフロンティアを開拓することになるでしょう。

    下記は、明けた突破口からFACTAがいかに追及していくかの一端です。

  • 2011年12月15日目黒のサンマでなく「目黒の8万」 財務事務次官・勝栄二郎氏の家賃

    昨日は東証上場の新華ファイナンスへの質問狀とその回答書を公開しましたが、今日は「影の総理」とされる増税総司令官の勝栄二郎・財務事務次官に関するやり取りを公開したいと思います。

    この不況下で増税を強行しようとしている野田佳彦総理の背後で黒衣に徹しているのが財務省一家ですが、そのトップが住んでいるのが家賃激安の公務員住宅です。写真を撮りに行ってみましたが、一等地の高台のはなに城塞のように聳えたって、下々を睥睨するような12階建ての立派な集合住宅でした。

    あきれるというより、こんなところに住んでいながら、「民間社宅なみ」と強弁する神経には恐れ入ります。だいたい、大企業でもこんな一等地に250戸もの社宅を抱えるところはそうはありません。首都高速の音もこの高台のうえまでは届かず、閑静かつ景色のいい場所でした。

    これを役得とみる意識がまったく欠けているお役人に、「官のムダ削減はもう限界だから、あとは増税で税収増を図るしかない」と言う資格があるのでしょうか、というのが素朴な疑問です。

    というわけで、FACTAは財務省に以下のような質問状を送りました。

  • 2011年12月14日オリンパスよりも悪質な新華ファイナンス

    ブラックアウト期間中ですが、次号記事に関連して、あちこちに質問状を発していますので、次号の刊行に先だって、その応酬を事前に公開していきます。まずは中国銘柄。

    FACTAが不正会計疑惑を指摘した上場企業はオリンパスだけではありません。2004年に東京証券取引所の中国系企業第1号としてマザーズに上場した新華ファイナンス(現新華ホールディングス)は、オリンパスよりも悪質で日本の資本市場を愚弄する存在と言えます。

    本誌7月号の記事(「東証赤っ恥『新華』創業者起訴の真相」)で報じたように、創業者で前CEO(最高経営責任者)のフレディ・ブッシュを含む元役員3人が、在任中のインサイダー取引、粉飾決算などの容疑で米国の裁判所に起訴されています。米連邦捜査局(FBI)が3人を捜査し大陪審が起訴を決定したということは、米司法当局が新華の粉飾決算を指摘したのと同義です。

    にもかかわらず、新華は「現在の取締役及び取締役会は、本件起訴に関わる取引については、一切存じ上げません」という声明を出したきり知らん顔。オリンパスのように第三者委員会を設けて起訴事実を調査したり、過去の決算を訂正したり、会社として元役員を告発する気はさらさらないようです。オリンパス以上に悪質と言えるゆえんです。

  • 2011年12月 9日またブラックアウト期間です

    オリンパスの高山社長が、取締役の総退陣を口にし、12月14日には滑り込み中間決算発表を行う前の佳境ですが、また編集の「籠の鳥」になります。しばらくは何が起きてもコメントできなさそうです。

  • 2011年12月 6日オリンパス第三者委員会報告

    12月6日に東京・大手町のファーストスクエアでオリンパス第三者委員会(甲斐中委員長)の報告が発表されましたが、私は所用があって行けず、山口記者と弊社社員に行ってもらった。

    報告は会見後に見たが、ワクワク半分、ドキドキ半分である。ワクワクは新事実があるかどうか、ドキドキはFACTAが今まで報じた部分で違いがあるかどうか。入試結果を見に行くようなものだ。

    結論から先に言うと、カネの流れの細部、とりわけ飛ばしスキームと穴埋めスキームの細部は、さすがに内部資料を入手できた委員会だけに、目新しい部分があった。ディテール大好き人間の私にとっては興味をひく部分もあり、細部へのこだわりをかなり満足させてもらえた。

  • 2011年12月 1日ウッドフォード氏が抗議辞任

    連絡がありました。プレスリリースの内容を見ると、これまでの主張の延長線上にあり、この問題から身を引くというものではないようです。

    リリースでは、高山修一社長以下、オリンパスの現取締役会は、菊川前会長らが延命のために指名した顔ぶれであって、損失隠しや同社長解任に加担した役員からなり、企業再生を担うレジティマシーがないという理由で、取締役会の総退陣と臨時株主総会の開催を要求しています。

    私も先週のパネルディスカッションやブログ、また最新号の「社外取締役」の記事にあるように、高山社長自身にレジティマシーがないと考えています。菊川「一味」の社外取締役に推薦されて、社長に就いているからです。

    そのうえに社内では、「ガイジンに会社を乗っ取られるな」など恐怖心をあおることを社員の前で言い触らし、管理職には「会議室には盗聴器が仕掛けられているかもしれない」などと、FACTAが違法取材を行っているかのような流言飛語をまきちらしている現状には、あきれるほかありません。

    先週、ウッドフォード氏はいきなりの社長解任は「私のトラウマになった」と言っていましたが、こういう卑劣な保身策に走る取締役たちはさっさと総退陣すべきで、その範を示すために自分が先に辞めるという判断はまっとうだと思います。

    リリースの日本語訳は以下の通り。

  • 2011年11月25日ウッドフォード氏と冷や汗英語

    24日夜は、The Economist誌の在京外国人ビジネスマン80人と内外メディアの記者50人を集めて開かれたThe Economist Corporate Networkのパネル・ディスカッションで、オリンパス元社長のマイケル・ウッドフォード氏と〝ご対面"しました。

    来日して当局(証券取引等監視委員会と地検)の任意聴取に応じたウッドフォード氏は、25日朝の取締役会に出席する予定で、その前夜に開かれることになったパネルに飛び入りで30分弱の基調講演をしたものです。東京・表参道の青山ダイヤモンドホールといえば、結婚式場で有名なところですが、この日はカメラがずらりと並んでものものしい雰囲気。会場に着いたとたんに、エライことになったと猛烈に緊張しました。ずっと使っていない英語で小生もスピーチをしなければならず、冷や汗たらたらです。

  • 2011年11月22日群栄化学は何をしてる?(オリンパス関連)

    オリンパスが損失穴埋めの資金ねん出のため、不当に高い値段で買ったアルティス、ヒューマラボ、News Chefの国内3社に投資していた他の企業がこっそりリリースを出しています。

    東証1部上場企業の群栄化学です。11月14日のリリースは奇怪でした。この3社に対し06年に第三者割当増資で0.6~0.5%の株主になっています。そしてオリンパスと同じように、11年3月期に減損処理し、簿価1円にしました。はて、何をしていたのでしょうか。その言い訳も奥歯にもののはさまったようで、どうも解せません。

    当社といたしましては、純投資として当社の業績に資するものと判断して投資を行っております。結果として減損処理を行う事態に至ったことにつきましては、大変残念であると考えております。

    なお、当社においては、下記の発行会社3社及びオリンパス株式会社との間には、下記の投資による株主と発行会社という関係及び同一の発行会社の株主同士という関係以外にご報告すべき関係はありません。

    ほんとですかね。横尾宣政氏のグローバル・カンパニーって、この手の妙な投資専門の請負人だったのでしょうか。とすると、そこから芋ヅル式にいろいろな上場企業が出てくるかもしれませんね。当局には「宝の山」かも。まさか、それを見過ごして、小さくフタをしようというのではないことを祈ります。

    そういえば、群栄化学は損失隠しが明るみに出た林原の買収に手を挙げていましたね。元水アメ屋さんの林原と、ブドウ糖で出発し工業用フェノール樹脂は専業では国内最大級となった群栄とは相性がいいのかと思いましたけど、「損失隠し」先に吸い寄せられる妙な癖をお持ちのようです。

    ところで、昨日のブログでご紹介したThe Economist Corporate Networkのセッションは、限定会員のみ参加できるものでした。問い合わせが殺到したようですので、一言申し添えます。

  • 2011年11月19日オリンパス「飛ばし」の記事はとばしちゃいけない

    昨日(18日)は、弊誌ウェブサイトへのアセスが集中し、サーバーが一時アクセス不能となってご迷惑をおかけしました。弊誌の想定していたトラフィックを超えてしまったためで、お急ぎの方にご不便をおかけし、お詫び申し上げます。

    アクセスが集中した理由は、最新号のオリンパス関連記事2本を、雑誌発行に先行して購読者オンライン会員の皆様にウェブサイトで解禁したためです。市場関係者の注目を集めていたので、証券市場に不測の混乱を与えないよう、取引所が引けてからの解禁にしたのですが、想像以上の反響でした。

    関連エピソードを一つ。同日夕、弊誌に寄稿していただいている元財務官僚で現嘉悦大学教授の高橋洋一氏から電話があり、「オリンパス人脈図、思わず笑ってしまった。バブル崩壊後とおんなじことをやってるんだ。一見複雑そうに見えても、あれを見れば構図は単純。90年代は国内の関連会社に飛ばしていたけど、00年代は海外のSPC(特別目的会社)などに飛ばしている。相変わらずの同じ手口で、まだやってるのかと思った。面白いねえ」と言われました。

  • 2011年11月17日BNPパリバ(日本)への公開質問状

    FACTAはオリンパスだけ報じているわけではありません。

    欧州金融危機のさなか、ギリシャ、イタリア、スペインなどの国債利回りが急上昇していますが、南欧の国債保有が多く、倒産確率であるCDSのスプレッドも高止まりしたままのフランスの大手金融機関、BNPパリバの日本法人、BNPパリバ証券東京支店に対し、以下のような質問状を送りました。

    広報部の回答は「ノーコメント」。といいながらも「このようにはならないと思います」と意味不明の言葉を添えました。事実確認に対してノーコメントとした回答とは辻褄があわず、「日本から撤退しないという意味ですか」と問い直しても、「そこはノーコメントです」と面妖なお答えでした。

    さんざんレッドカードやイエローカードを食ったあげく、アーバンコーポレイション事件では松尾元検事総長まで駆り出して第三者委員会を設け、報告書を出しましたが、やはり根っこは変わらないようです。

    次号のオリンパス報道でも、同社の前身であるパリバ証券がオリンパスの投資ファンドをいかにむしったかが明かされきます。こういうのを「懲りない面々」と言うのでしょうか。第三者委員会がエクスキューズにすぎないことを証明した点で、オリンパスの先例と言えるかもしれません。

    この質問状から、次号でどんな記事が掲載されるか、お楽しみに。

  • 2011年11月14日ブラックアウトから出ます

    まず先のブログで不正確な表現があったので直します。

    10月24日付で「野村の元オリンパス担当、S氏の独り言」と見出しにありますが、「元」の位置が誤解を招くので「元野村のオリンパス担当、S氏の独り言」と修正します。

    報道合戦が食い散らかし状態になってきて、放置してると自分で確認もせずに、一人歩きし始めるからです。ブログで取り上げたS氏の「闇株新聞」は11月10日付「オリンパスの闇・5」でこう書いています。

    一部報道機関が、私のことを「オリンパス担当の証券マン」と書いているようですが、間違いです。「担当の証券マン」だったら信義上、書きません。

    その通りですね。野村を辞めてから別の外国証券会社にいて、オリンパスの損失隠しを知る立場にいたので、確かに不正確でした。訂正します。

    それにしても、海外の後追いを強いられた日本の大手メディアは、ようやく当局が動き出してくれたので、当局リークに基づく「方針」原稿に舞い戻ったようです。それを「いやな感じ」というS氏の危惧はよくわかります。

    某大手テレビ局にいたっては、弊誌に電話をかけてきて「入手した資料のPDFをくれないか」と、マスコミの仁義にもとることを平気で言ってきました。

  • 2011年11月 9日エミールより、探偵たちへ

    ブラックアウト中なので一言だけ。

    日本の新聞、テレビ、通信社。9日の報道はどこも食い足りない。そんなありきたりの見出しじゃ、後追いを脱せられないでしょう。

    FACTAは次号もひやっとするような記事を書きます。もっと喉元を深くえぐるような。今のままでは、山高帽の本星は高枕ですぞ。

    ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴は笑うだろう。

  • 2011年11月 8日うれしいな、オリンパスの会見にでられる

    本日のリリースで90年代からの損失飛ばしを認め、12時半から京王プラザホテルで社長会見だそうです。

    今回はFACTAの出席が認められました。やれ、嬉しや。初対面ですね。最初の質問状以来、苦節4カ月半。ここは素直に喜びましょう。

  • 2011年11月 7日オリンパスには「エミールと探偵たち」

    今週はブラックアウト(通信途絶)に入ります。宇宙船が大気圏に再突入する際、高熱の炎につつまれて交信ができなくなる状態を、停電の意味もある「ブラックアウト」と言います。オリンパスについては逐次コメントをしてきましたが、これから編集期間に入るのでしばらく発信できなくなります。ブログは来週から復帰します。

    そのあいだは「エミールと探偵たち」の一幕を眺めていよう。

    エーリッヒ・ケストナーのあの本、ご存じの方も多いと思います。岩波少年文庫に池田香代子訳がありますから、未読の方はぜひ読んでみてください。

    大都会ベルリンで繰り広げられるあの捕物、ありきたりの児童書にないリアリティーに満ちていて、耳慣れない地名も憧れの固有名詞でした。自分が新聞記者になったのも、もしかしたら、作者のケストナーが新聞記者だったせいかもしれません。

  • 2011年11月 4日ギリシャのようにオリンパスも烙印

    オリンパスの社名の由来はギリシャの神々が住むオリンポスの山の名から来ています。そのご本尊ギリシャのダッチロール(国民投票やら首相退陣やら)を見習ったみたいに、日本のオリンパスもよれよれです。

    いまやギリシャは「自助努力をしないダメ国家」の代名詞。日本のオリンパスも「自浄能力のないダメ企業」の代名詞になっています。11月4日にはとうとう、8日に予定している第2四半期決算発表を延期すると発表しました。

    第三者委員会の報告を待ってなどと悠長なことを言っていますが、ほんとうはジャイラス関連ののれん代償却をめぐって、監査法人と一致しないのでしょう。

  • 2011年11月 2日オリンパス第三者委員会はいらない

    しばらくブログを休んでいたら、もう追加情報はないのですかという問い合わせを頂いた。FACTAが鳴りをひそめる時、これは潜航取材をしている時なので、オリンパスへの取材の手を緩めていたわけではありません。先日の弊誌コラムでも引用しましたが、あいだみつをが言ったとおりなのです。

    よくまわっているほどコマはしずかなんだな。

    さて、11月1日にオリンパスはまたリリースを出しました。もしかしたら、11月8日の中間決算発表の延期かと思いましたら、今回の件を調査する第三者委員会を発足したという発表でした。

  • 2011年10月27日他意はない、とオリンパス広報

    26日の会見場からFACTAが排除された件について、他の記者が聞いたところ、オリンパス広報は「会場が狭かったので」と答え、「他意はない」と弁解したそうだ。

    おいおい、昨日の電話ではそんな返事じゃなかったですぞ。じゅうぶん、「他意」があったと感じましたがね。最新号の末尾で予言した「菊川さん、次はあなただ」と予告された辞任が早々と実現したうえ、我々が会見で新社長へ質問をするのが怖くて排除したのでしょうに。

    それと、きのうのテレビ朝日「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターは、弊誌を「英語名の雑誌が」と呼んでくれたそうな。失礼ながら、わが誌のタイトルはラテン語です。よほど「FACTA」と言いたくなかったんでしょう。最新号で「古舘プロが牛耳るテレビ朝日」の記事を載せて批判していますから。ちなみに、このブログでもオリンパス関連にまじってテレビ朝日への質問状とその返答を公開しているのでご参考まで。

    ところで、ロイター通信に私をインタビューした記事が流れました。海外向けの英語版ですが、オリンパスが日本の恥になっているので、少しは恥を雪ぐ(もちろん、日本の恥であってオリンパスの恥なんか知ったことではない)という意味で応じました。

  • 2011年10月27日傀儡新社長ではオリンパスは立て直せない

    10月26日のオリンパス社長交代会見で、FACTAが「招かれざる客」として会見場に入れなかったことに改めて抗議したい。会見では菊川剛前会長兼社長が顔も見せないことに質問が集中していたが、出てきた高山社長の説明はしどろもどろだったようだ。彼が傀儡であることがよくわかる。

    質問の中に「都合の悪いメディアはこの会見に出られないのか」と聞いた記者がいたが、これはFACTAのことである。高山社長の返答は「わからない」だった。「招かれた記者」が御用記者で、「招かれざる記者」が弊誌であるということは、会見場にいた記者全員に対する侮辱でもある。

    そういう新社長にオリンパスが立て直せるわけがない。ウッドフォード前社長の解任において、弊誌の告発内容の真偽も確かめず賛成票を投じたことからも分かるとおり、高山氏も共犯である。菊川氏は平取締役に留まり、嵐が過ぎればと首をすくめているのだろう。ワンポイント・リリーフの後に、またトップ復帰のチャンスを窺っているとすればこれ以上の茶番はない。27日朝の緊急会見の追加情報も、われわれが報じていたことをなぞったもので新味がない。この法外なM&A手数料と価格を正当化する理由は見いだせないのだ。

    ここに会見の全文(一部省略)を載せよう。あるのは、逃げと隠蔽の言葉だけである。

  • 2011年10月26日首を取ったFACTAは会見場締め出し

    なんて会社だろう。オリンパスは、菊川剛会長兼社長の退任(平取締役に降格)と高山修一専務の社長昇格をリリースした。火付け役の弊誌としては、会見に当然出席できるものと思った。

    ところが、同社広報・IR室(南部昭浩室長)は、5時半から京王プラザで開かれる高山新社長の会見への弊社記者の出席を断った。会見場に入れるのは彼らがよしとするメディアだけで、FACTAはその中に入らないという説明だった。

    おいおい、冗談かね。「招かれた」記者諸君、なぜFACTAが出席できないのか、新社長とこの広報・IR室長を問い詰めてほしい。オリンパスがそういう選別をするなら、こちらも容赦しない。


  • 2011年10月26日日経のオリンパス社説

    批判はしたくない。私も90年代に日経の論説委員だったから、オリンパスについて社説を書けと言われた論説委員の苦衷はよくわかる、としか言いようがない。

    10月25日朝刊の日本経済新聞は2面の社説に「オリンパスは真相解明早く」と9面の「企業総合面」に、「オリンパス株、13年ぶり安値 M&A報酬、疑問拭えず」の記事を載せた。本来なら同日午後、日経フォーラム世界経営者会議の講師にオリンパス会長兼社長の菊川剛氏が登場する日だった(結局、「都合により」欠席)だけに、両方とも腫物に触るようだった。

    社説は見出し以上のことは何も書いていない。「早急に調査を進め、問題の真相を株主に説明してほしい」とあるが、早急に取材し、株主を含めた読者に真相を説明するのがそれこそ経済紙の役目だと思う。会社側と解任された前社長と「両者の言い分は一致していない」と言ってるが、深層を取材して突き止めるのがスジなのではないか。

  • 2011年10月24日野村の元オリンパス担当、S氏の独り言

    いよいよ乱戦になってきました。

    オリンパスは24日に1000円割れ寸前まで売り込まれ、1000円の大台割れは時間の問題となっています。東証引け後にニューヨークタイムズ電子版が「FBIがオリンパス捜査着手」を報じていますから、25日も売り込まれそうです。菊川オリンパスはもう風前の灯だが、こうなるとどこから弾が飛んでくるかわからない乱戦になってきます。

    かつて野村証券のオリンパス担当だったS氏が匿名で書いている「闇株新聞」なるブログがあって、そこに「オリンパスの闇・第二幕」という奇怪な記事が載ったのには驚いた。

  • 2011年10月24日FBIがオリンパス捜査着手

    ニューヨーク・タイムズ電子版(現地次官23日、日本時間24日)でベン・プロテス記者が報じた記事「2 Japanese Bankers at Heart of Olympus Fee Inquiry」で、英ジャイラス買収にからみフィナンシャルアドバイザー(FA)をつとめたAXAM/AXESに関与した2人の日本人、ハジメ・サガワとアキオ・ナカガワの名前を報じるとともに、この件で連邦捜査局(FBI)が捜査していると報じました。

    NYタイムズに対し、FBI広報はノーコメントと答えていますが、確信があるのでしょう。オリンパス広報は同紙にWe are not aware of any investigationと答えていますが、早晩、菊川剛会長兼社長と森久志副社長の退陣は必至でしょうね。もう年貢の納め時。

    次は日本の捜査当局ですぞ。

  • 2011年10月23日オリンパスと日経。そして4万人の従業員

    オリンパスの従業員は、3月31日現在の連結社員数で39,727人という。そのうちどれくらいの方がこのサイトを覗いてくれているのだろうか。金融庁、証券取引等監視委員会、国税など当局の方はどうだろうか。連日、多くのアクセスと応援メッセージをいただいていることに、この場を借りて感謝申し上げます。

    週末だが続報を書きたい。

    聞くところによると、オリンパス社内で厳重な情報管理令が出ているのだとか。「社内資料を取られるな」との大号令が下り、USBなどに落として抜かれないよう、各部署(の管理職?)は絞めつけられているという。だが、ウッドフォード前社長の提供資料のコピーは欧米で奔流となっており、法的措置云々の脅しをいくら会社が口にしようとも、菊川剛氏、森久志氏、山田秀雄氏の3人の名前は、「日本の恥」として世界的に知られまくっております。

  • 2011年10月21日「報道ステーション」「報道ステーションSUNDAY」についての質問状

  • 2011年10月20日深みにはまるオリンパス

    マイケル・ウッドフォード社長の突然の解任(10月14日)から株価の暴落が続くオリンパスが、今度は問題の国内3社と英ジャイラスの疑惑の買収について、これまで「適切な情報開示をしている」と突っぱねていたが、とうとう公表に追い込まれた。

    「情報の小出し開示」という、もっとも下手な危機対応では、ドツボにはまるばかりでしょう。FACTAの公開質問状に回答を拒否し続けていたが、やはり情報開示が適切でなかったことを認めたも同然ではないか。

    しかも追い込まれての開示だから、次々と馬脚があらわれて疑惑を深めるばかりだ。つい2日前までは、ジャイラス買収のフィナンシャルアドバイザー(FA)に支払ったのは300億円としていたのが、いつのまにか6億8700万ドルに変えている(優先株値上がり分4億4300万ドルをFA報酬に入れていない)。差引2億4400万ドルだけFAの報酬としているが、これは合理的な説明とはいえない。あきらかに報酬を小さく見せるためでしょう。

  • 2011年10月19日菊川オリンパス会長兼社長の墓穴

    4日の唐突な外国人社長解任で、株価が急落しているオリンパスは、18日も続落して一時は1200円台まで下げた。解任発表前のほとんど半値をつけている。14日の会見で解任理由を「前社長の独断専横」とした菊川剛会長兼社長はさぞかし焦っているはずだ。ウッドフォード氏は英SFO(重大不正局)に出頭したようだから、これは国際的なスキャンダルになるだろう。

    2010年にアカデミー助演男優賞と助演女優賞をとった映画「ザ・ファイター」を思い出す。力はあるのについていないボクサーの主人公(ミッキー・ウォード)が、天才肌だが身を持ち崩した兄のアドバイスで勝つというスポ根ものだが、相手にぼこぼこに打たれても、ズジンズシンと重いボディーブローで消耗させ、最後にKOするという作戦だった。

    7月20日発売でオリンパスのスキャンダルをスクープしたが、当時はどこのメディアも追随しなかった。会社側が取材に応じず、通り一遍の「適切な情報開示をしているので答えることはない」というダンマリ作戦だったからだ。そこでボディーブローを放ち続けた。いつか膝を折る、と信じて。

  • 2011年10月18日オリンパス火砕流、続報次々に

    先週末の10月14日、突然、マイケル・ウッドフォード社長の解任を発表したオリンパスは、週明けの株価も下げ止まらずにストップ安、約24%という暴落を記録した。

    むろん、前社長のインタビューを載せたFT(フィナンシャルタイムズ)の記事が火砕流を招いたのだが、それを見て赤っ恥「買い推奨」のゴールドマン・サックスはじめドイツ証券、JPモルガン証券、シティグループ証券、大和証券キャピタル・マーケッツ、野村証券などが投資判断を引き下げた。これでようやく国内メディアも報じ始めたから、一気に流れる情報量も増えるでしょう。弊誌としては嬉しい限りである。

  • 2011年10月17日次号にオリンパス独走報道第3弾掲載!

    FACTAの愛読者はもうよくご存じでしょう。オリンパスのスキャンダルについては、8月号に掲載した「企業スキャン オリンパス――巨額M&A失敗の怪」以来の調査報道とスクープで報じた通りです。14日朝に突如、マイケル・ウッドフォード社長の解任が発表され、株価が1日で17.6%も値を下げたことも、記事をご覧になっていれば意外とは思わなかったはず。

    この一連の記事に、わずか半年で外国人社長が解任された理由のすべてが書いてあります。一部のメディアで言われているような、外国人経営者を排除する日本の島国文化だとか、菊川剛会長が会見で言った「独断専横」とか、お家騒動とかの文化摩擦説はすべてこじつけにすぎない。守屋武昌防衛省次官、木村剛日本振興銀行会長などなど、FACTAの調査報道の対象になった面々の獄門台に、またひとつ新しい首が並ぼうとしているということです。

  • 2011年9月27日FACTAleaks――セラーテムへの公開質問状

    本誌が1年前にスクープした、いかがわしい中国資本による「裏口上場」疑惑。その「ハコ」として使われたジャスダック上場の画像処理ソフト会社、セラーテムテクノロジーの“内部崩壊”が始まった模様です。

    上場廃止寸前のゾンビ企業だったセラーテムの第三者割当増資を、英領バージン諸島に登記された正体不明の中国系ファンド2社が引き受け、さらにその資金を使ってセラーテムが中国の環境関連企業、北京誠信能環科技を買収。セラーテムは「中国の成長分野に参入」と日本の投資家に吹聴していました。しかし実際には、中国系ファンドと北京誠信能環科技は水面下で一体であり、株価つり上げを狙った「裏口上場」の疑いが濃厚であることを本誌は解明しました。

    これら一連の操作を主導したのはセラーテム取締役兼CFO(最高財務責任者)で元中国人の宮永浩明氏です。ところが、その宮永氏が今年3月と5月に自己保有していたセラーテム株を大量売却。さらに、9月29日に開催される定時株主総会で宮永氏が取締役に再任されないことや、セラーテムが宮永氏個人に一時3億7000万円を融資していた事実などが判明しました。

  • 2011年9月15日FACTAleaks――オリンパスへの第二公開質問状

    デジタルカメラや内視鏡などのメーカー、オリンパス(東証1部)について、FACTA8月号(7月20日発売)でその巨額損失の奇怪な裏側を調査報道しました。この発行人ブログでも7月に質問状を公開しています。

    しかしながらオリンパスは音なし。あれだけ書かれながら、事実を否定も肯定もせず、ひたすら沈黙を守っています。株価は8月に入って2700円台から2200円前後に下げており、それは円高だけが理由ではないのですが、シカト作戦でしのごうとしているようです。

    菊川会長は何事もなかったように日経の紙面にコメントを載せ、テニスの全米オープンでも会場の壁面には「オリンパス」の広告が見えます。日本のテレビでも宮崎あおいのCM「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ」が始終流れています。

    それなら「暗部のぜんぶ」を暴いてあげましょうか。オリンパスには日経元役員も入っているので、まさか日経は隠れ蓑を進呈していらっしゃるのではないでしょうね。おいしい広告主でもあるし……。

    よろしい。FACTAも第二弾をご用意しましょう。オリンパスの異常な買収とその損失は、当局も虎視眈々ですし、監査法人や格付け会社など業界関係者の要望もありますから。

    もちろん、次号(9月20日発売、10月号)で記事を掲載しますが、その予告編として同社に送った質問状をまた公開しましょう。その回答は添付の画像のように、またも木で鼻をくくったよう。こういうのを火に油、というのです。

    では、最新号で何が書かれるか、をお楽しみに。

  • 2011年7月15日FACTAleaks――オリンパスへの公開質問状と宣戦布告

    デジタルカメラや医療用装置のメーカー、オリンパス(東証一部)に対し、FACTAは株主総会前に下記のような質問状を送りました。

    しかしながら同社広報・IR室の返答は、菊川剛会長へのインタビューを「時間の都合がとれない」と断り、各項目については「適切な開示を行っていると考えているので、お答えすることはない」とゼロ回答にひとしいものでした。

    なるほど、FACTAをナメていらっしゃいますね。これだけ懇切に尋ねたのだから、シッポはつかんでいますよ。ほっかむりさせないために、質問状をここで公開します。

    念のために申し上げましょう。日本経済新聞系のテレビ愛知社長を退任した来間紘氏が、オリンパス取締役に就任されました。来間氏は小生の尊敬する先輩です。菊川会長以下の経営陣の方々は、FACTAおよび小生がどういうジャーナリズムかをご存じでなければ、来間取締役にお尋ねください。

    今月20日発売(オンライン版の掲載は18日)の最新号で、オリンパスの暗部を明るみにさらすことをお楽しみに。ぜひとも、震えながらお待ちください。

  • 2011年3月26日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争7 ボタ石発電所が「着工できない」理由

    3・11大震災の影響でブログの更新が大幅に遅れました。犠牲となられた方々、被災された方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。地震と津波の被害の全貌はいまだつかめず、福島の原発事故も緊迫した状況が続いています。しかし混乱と不安の中でも、私たちは平常への復帰を進めなければならない。書きかけのブログをいつまでも放り出しておくわけにはいきません。

    さて、日本の震災を受けてチャイナ・ボーチーは3月18日に東京で予定していた業績説明会を延期しました。本誌が暴露した「幻のボタ石発電所」について程里全会長兼CEO(最高経営責任者)に直接問い質す機会は当面お預けになりましたが、今日(3月26日)は北京で株主総会が開催されます。現地に足を運ぶ投資家は、ぜひ質問すべきでしょう。

    ボーチーが「2006年から建設中」と日本の投資家に説明してきたボタ石発電所が、5年後の今もなぜ着工すらしていないのか。質問状への回答をボーチーが拒否したため、直接の理由は定かではありません。しかし本誌が調べてみると、「着工できない」理由は山ほどあることがわかりました。今回はそれを一挙に公開します。

  • 2011年3月 7日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争6 程里全に問うべき86億円の行方

    チャイナ・ボーチーは本誌質問状への回答を拒否しましたが、株主の質問に対しては説明義務があります。同社は3月18日午前10時から東京で2010年度決算の業績説明会を開催し、程里全会長兼CEO(最高経営責任者)が出席する予定です。株主はこの際、彼に直接聞いてみてはいかがでしょうか。

    どんな言い訳をしようが、ボタ石発電所が「建設中」でないのは事実ですから、一番聞きたいのは建設仮勘定として決算に計上されている6億8963万元(約86億2000万円、2009年末時点)の使い道です。ボーチー子会社で発電所の事業主体である明泰国能発電の銀行口座に、手つかずのまま置いてあるとは思えませんからね。

  • 2011年3月 4日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争5 回答拒否と色あせた看板

    チャイナ・ボーチーの東証1部上場から10カ月後の2008年6月、先にマザーズに上場していたアジア・メディアで創業トップによる横領事件が発覚。粉飾決算の疑いも濃厚になり、同社は上場廃止に追い込まれた。この時期、東京での業績説明会で「ボーチーは大丈夫なのか」と質問された前CEO(最高経営責任者)の白雲峰は、「我が社は1部上場企業ですから」と胸を張ったという。マザーズより厳しい上場基準と審査をクリアし、東証のお墨付きを得た模範企業なのだと強調したわけです。

    実態はどうでしょうか。本誌が現会長兼CEOの程里全宛てに送った質問状への回答をボーチーは拒否しましたが、その対応がふるっていた。まず、1月31日に北京本社のIR(投資家向け広報)窓口と東京事務所に電話したが誰も出ない。数回目にようやく東京事務所につながったものの、電話口に出た女性社員は「春節(中国の旧正月)なので本社にも答えられる人間がいない。出社は2月10日以降」という。ともかく質問状をFAXで送り、2月9日までの回答を求めた。

  • 2011年2月28日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争4 程里全への質問状

    昨年12月28日にボタ石発電所が着工していない事実を確認した時点で、2月号(1月20日発売)の締め切りまでまだ10日余りありました。しかし本誌は、記事の掲載をあえて3月号に延ばし、ボタ石発電所が今日まで「着工できない」理由をあらゆる角度から調べ上げることにしました。

    仮に発電所の建設が途中で止まっていたのなら、「一時中断しているだけ」などと強弁することもできたでしょう。しかし建物の基礎工事にすら着手していないとなると、話が全く違ってくる。本当は「着工できない」事情があるにもかかわらず「建設中」と嘘をついていたのか、あるいは最初から嘘の情報を意図的に投資家に開示していたのだとすれば、有価証券報告書の虚偽記載や風説の流布に該当する疑いが濃厚です。立証されれば上場廃止は避けられない。

    チャイナ・ボーチーは創業6年目の新興企業だったにもかかわらず、東京証券取引所はどういうわけか1部への直接上場を認めました。主幹事を務めたのは大和証券、法務代理人は森・濱田松本法律事務所、会計監査はトーマツと、いずれも日本を代表する大手ばかり。ボーチーが最初からイカサマ企業だったとすれば、東証、大和、森濱田、トーマツの目は節穴だったか、さもなければ審査を手加減したと疑われても当然です。これはボーチー1社の問題ではなく、日本の株式市場全体の信頼をゆるがしかねない問題だからこそ、本誌は発電所が「着工できない」理由の解明に時間をかけることにしたのです。

  • 2011年2月25日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争3 趙広隆と奇妙な事実の数々

    本誌はなぜ「幻のボタ石発電所」を発見できたのか、そのタネ明かしをしましょう。今回の調査報道の原点が、昨年9月号でスクープした、ジャスダック(旧大証ヘラクレス)上場のセラーテムを「ハコ」にした怪しい中国企業の裏口上場疑惑にあることは言うまでもありません。

    死に体だったセラーテムの第三者割当増資を引き受けて発行済株式の49%を取得し、北京誠信能環を買収(事実上の裏口上場)させるための資金を提供したのは、英領バージン諸島に登記された中国系投資ファンド「Wealth Chime Industrial(WCI)」でした。そのオーナーである趙広隆は、北京の電力関連投資会社「国能中電能源」の代表者であることを本誌はつかみ、昨年8月に事務所を直接訪ねて取材を申し込みました。しかし、応対に出た社員は「趙社長はここにはほとんど来ない」、「取材は受けられない」と繰り返すばかり。百度(バイドゥ)など中国語の検索エンジンで国能中電能源を検索しても、役に立ちそうな情報は得られませんでした。

    ところが、突破口は意外なところで見つかりました。ダメもとで日本語のグーグルで国能中電能源を検索すると、「山西寿陽明泰国能発電有限公司の買収に関するお知らせ」と題したチャイナ・ボーチーの2008年5月19日付のIR(投資家向け広報)がヒットしたのです。さらに詳しく調べてみると、奇妙な事実が次々に浮上しました。

  • 2011年2月22日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争2 幻のボタ石発電所

    3月号の記事「東証の『時限爆弾』チャイナ・ボーチー」はお楽しみいただけましたか。ボーチーが東証1部に上場したのは2007年8月8日(北京オリンピック開幕式のちょうど1年前)でしたが、同社は当時から「山西寿陽ボタ石発電所プロジェクトは建設中」と称してきました。07年11月20日付のIR(投資家向け広報)にも「現在建設中」、「2010年4月に竣工予定」と書かれています。ところが、それは真っ赤な嘘であり、現地は人っ子ひとりいない枯れ野原であることを本誌は暴露しました。

    前回ブログでクイズに出した写真は、ボタ石発電所の建設予定地の全景です。ちなみに撮影したのは昨年12月28日。なぜ着工していないのか裏付けと分析を重ねたうえ、満を持して記事を送り出しました。次回のブログでさらに詳しく書きますが、せっかくだから現地の写真をもっと公開しましょう。動かぬ証拠ですから。

  • 2011年2月18日FACTAleaks――対チャイナ・ボーチー戦争1(続・対セラーテム戦争)

    前回からだいぶ間が開いてしまいましたが、FACTA Leaksを再開しましょう。本誌は昨年10月号の記事で「徹底調査を続ける」とお約束しましたからね。2月20日発売の3月号(ウェブサイトでの記事公開は19日正午)に、セラーテムの背後にからむ東証1部上場の中国系企業、チャイナ・ボーチーの重大疑惑を掲載します。

    詳しくは記事を楽しみにお待ちください。それまでの余興として、ひとつクイズを出しましょう。下の写真の撮影地は一体どこでしょうか?


  • 2010年10月 9日FACTAleaks――対セラーテム戦争17 まだ残る謎 黒幕は誰か

    この辺で“事件”をもう一度整理してみよう。セラーテムに取材を申し込む前の時点で、FACTAは下記の3つの疑惑に確信を得ていた。

    1)セラーテムの北京誠信買収は、前者を「ハコ」にした裏口上場だったのではないか

    2)スマートグリッド受注などのIR(投資家向け広報)は、株価つり上げを狙った誇大宣伝(風説の流布)ではないか

    3)一連の操作には、東証1部上場の中国企業チャイナ・ボーチーが深く関与しているのではないか

    案の定、セラーテムは疑惑に関してまともな釈明も反論もできなかった。ブログで全面公開したFACTAと同社のやりとりを読めば、それは一目瞭然でしょう。

    だが、まだ解明できていない大きな謎が残っている。“事件”の本当の黒幕は誰なのかである。セラーテム取締役CFOで元中国人の宮永浩明、北京誠信会長兼セラーテム会長の于文革、中国系ファンド「Wealth Chime Industrial Limited(WCI)」のオーナーの趙広隆、同じく中国系ファンド「New Light Group Limited(NLG)」のオーナーの庄瑩、チャイナ・ボーチー取締役(前CEO)の白雲峰。これらの5人が、何年も前から直接間接に親密な関係だったことは明白だが、一連の操作を誰が主導したのか、それによって誰が一番得をしたのか、現時点では確証が得られていない。また、セラーテムの第三者割当増資を引き受けたWCIとNLGは、英領バージン諸島に登記されたペーパーカンパニーであり、実際の資金の出し手が誰なのか見えない。本当の黒幕は他にいるかもしれないのだ。

    謎を推理するのに有効な手だての1つは、ばらばらの情報を時系列で並べ直してみることだ。いつ、誰が、どこで、どんな行動をしていたのか。関連性が薄いと思われた複数の出来事が同じタイミングで起きていたなど、見落としていた意外な事実に気付く事が多い。そこで、FACTAとセラーテムの攻防が始まった8月6日の決算発表会までの時系列情報を公開しましょう。興味のある方は、謎解きに加わってください。

  • 2010年10月 6日FACTAleaks――対セラーテム戦争16 勘違い回答

    予想通り、セラーテムから回答書が届いた。第一印象はまあ、于文革氏からの抗議文と大差ありません。

    田原君の協力を得て中国で取材をしたことを、鬼の首でも取ったように騒いでいるのがおかしい。フリーランスの記者に取材を依頼して何が悪いのでしょうか。FACTAはFACTA、新世紀は新世紀です。新世紀が田原君に協力を依頼したとしても、どちらも自分の取材を土台にしているので、本来の出所は別々の記事だということがわからないんでしょうかね。

    回答書がブログで公開されるのを意識して、FACTAがいかに「悪徳」であるかを強調しようと必死ですが、大証批判はこれとは別にとことんやりますのでセラーテムさんはご心配なく。回答書が感情的になってくるのはこちらも思う壺である。それで自分たちの信用が回復すると本気で思っているのだとしたら、別の意味でコワイ方々だ。

    本誌が送った4通の質問状に、セラーテムは一度もまともに回答できなかったばかりか、中国の「新世紀」誌の記事が自主的に削除されたなどと真っ赤な嘘をついて大恥をかいた。冷徹な投資家にとって、それがすべてと言っても過言ではないでしょう。

    さて、回答書を掲載しよう。なぜかファクスで送ってくるので、打ち直しに手間が掛かる。

  • 2010年10月 1日FACTAleaks――対セラーテム戦争15 四度目の質問状

    于文革氏からの抗議文が届いた翌日、本誌はセラーテムに四度目の質問状を送った。今回も締切ぎりぎりである。于文革氏は「回答する義務はない」と啖呵を切ったが、痛いところを突けばおそらく反応すると読んでいたからだ。

    同時に、セラーテムの会計監査を担当するパシフィック監査法人の笠井浩一会計士にも質問状を送った。そちらも併せて公開しましょう。

  • 2010年9月29日FACTAleaks ―― 対セラーテム戦争14 于文革からの抗議文

    于文革氏への質問状は回答期限を9月7日としたが、音沙汰がない。そこで「朗」氏にメールを送り、「反論できないということか」と念を押した。すると9月9日、中国語の文書がFAXで送られてきた。読めば一目瞭然だが、回答書ではなく抗議文である。このブログの挑発に乗って感情をむき出しにするあたり、上場企業経営者としての于文革氏の資質が垣間見えて興味深い。FACTAは投資家の目線で質問しているという前提が、まったくわかっていないのでしょう。

  • 2010年9月28日FACTAleaks――対セラーテム戦争13  于文革への6項目質問状と悪徳雑誌呼ばわり

    8月下旬、本誌はセラーテムが子会社化した北京誠信能環科技のオフィスを再び訪れた。また、同社の登記上の住所も確かめに行った。その顛末は10月号の「窮鼠セラーテムの『お笑い』弥縫策」をお読みいただきたいが、現地に行ってくれたのは前回のブログで触れた田原君である。

    北京誠信が尋常な会社でないことは、実際に訪れればすぐにわかる。応対に出てくる社員は、何を聞いても「自分にはよくわからない」、「広報担当者が不在」と言うばかり。広報担当者の名前と連絡先を聞いても答えない。「あなたの名前と連絡先を残せば、広報担当者が連絡する」というが、実際には音沙汰なしだ。

    しかし、彼らはFACTAが登記上の住所まで調べに行くとは思っていなかった。実際に行ったのは8月27日の昼間だったが、不意を突かれて大慌てしたのだろう。その日の夕方、田原君の携帯が突然鳴った。相手は北京誠心の「朗」と名乗る人物で、「話がしたいので8月30日午前11時にオフィスに来てもらいたい」と、こちらの都合も聞かずにいう。だが、田原君は翌朝の便で帰国しなければならなかった。そこで、北京在住のジャーナリストの王建鋼氏に代理を頼んだ。王氏がちょうど出張中だったため、「朗」氏に日程変更を求めると、9月2日午前10時を指定した。

    ところが当日の午前9時になって、「朗」氏は一方的にキャンセルを通告してきた。その間、8月28日にこのブログの連載が始まり、8月30日には中国の週刊誌「新世紀」がセラーテムの記事を掲載した。よほどお気に召さなかったのでしょう。

    広報担当者が会おうが会うまいが、FACTAは聞くべき事を聞くだけです。9月2日、北京誠信会長兼セラーテム会長の于文革に宛ててメールとFAXで6項目の質問状を送った。以下はその全文です。原文は中国語なので多少ぎこちない日本語になっている点はご容赦ください。

  • 2010年9月14日FACTAleaks――対セラーテム戦争11  真っ赤な嘘

    民主党代表選のカバーで編集にばたばたしているが、再び速報を挟もう。

    10月号の締切間際にセラーテムから回答書が届いた。その全文は編集期間が終わってから公開しますが、同社の本質をあからさまに示すくだりがあったので、そこだけ先に披露しましょう。

    このブログの「対セラーテム戦争3 日中連携報道」で、中国の週刊誌「新世紀」が「セラーテム、智能電網(スマートグリッド)の謎」と題した長文の記事を掲載し、同誌のウェブサイト「財新網」にも公開されていると伝えました。この記事について、セラーテムは回答書で次のように言ってきた。

  • 2010年9月12日FACTAleaks――対セラーテム戦争10 再質問状への回答

    半ばあきらめていたが、8月12日ギリギリにセラーテムから再度、回答をいただいた。もう締め切りである。それがどう雑誌に反映されたかは、FACTA9月号(8月20日発売)の「『中国のハイエナ』が大証裏口上場」の記事をご覧ください。これまでのやりとりを含めて、FACTAの調査報道がどこまで徹底しているかの証明となるだろう。しかもこのブログで完璧に質疑を公開しているのだ。こちらは万全の構えで、あとはボロをだすのを待つだけだ。

  • 2010年9月11日FACTAleaks――対セラーテム戦争9 再質問状

    8月9日付ファクスでセラーテムが打ち返してきた回答は、詳細に取材していたFACTAの追及をかわそうと、懸命に反論しようとしているが、随所で矛盾をきたしていた。もはや締め切りギリギリである。間際に4項目の質問を送り、最終デッドラインまでの回答期限をつけた。

    最後の段落は、ありきたりの法的措置云々の脅しに対するカウンターパンチである。この手の脅しに弱い新聞やテレビとFACTAは違う。過去にも徹底報道の結果、当局が動いて立件にいたった事例がいくつもある。

    このブログでおいおい明かしていくが、本件は捜査当局および関係当局も取材対象にしているので、当然、お上も周知の事件になっている。立件される見通しになれば、その時に報じよう。

  • 2010年9月10日FACTAleaks――対セラーテム戦争8 脅しつき回答

    8月10日、先の決算説明会で手渡した9項目質問状に対し、セラーテムから回答がファクスで送られてきた。仰々しく社印と代表者印が捺してあり、「貴社が虚偽の事実を記載した雑誌を発行した場合には、法的措置を執る用意があります」などと脅しの文句を並べている。

    調査報道がこれくらいで動じると思っているのか(現に発行から2週間以上たった9月9日現在、なんの抗議文も届いていない。サイトで勝手なリリースを流し、弊誌に正面から反論を挑んでもこない)。

    とにかく回答なるものをここに掲載しよう。

    なお、FACTAが調べたセラーテムと北京誠信の相関図は下記の通りである。こちらを念頭に、セラーテムとのやり取りをご覧いただきたい。

  • 2010年9月 7日FACTAleaks――対セラーテム戦争7  9項目質問状

    8月6日の会見後に9項目質問状を、池田、宮永両人に手渡した。質問状を作成したのは7月30日であり、途中の回答期限を8月6日としたのは当方の誤記である。

    7月30日にFAX送信するのをやめて会見で手交することにしたからで、この時点での回答期限は8月9日(火)とすべきところだった。次回で披露する回答で噛みついてきたが、質問状の内容を読めば、単にアリバイ的な質問ではなく、取材の経過も含めてFACTAの意図を丁寧に説明してある。

    これがセラーテムを震撼させたことは間違いない。即答できないほど慌てたに違いないが、こちらも締め切りがあり、そもそも取材拒否して逃げ切りを図ったのはセラーテムなのだから、時間の問題は彼らに責任がある。

  • 2010年9月 6日FACTAleaks――対セラーテム戦争6  お笑い決算会見(下)

    8月6日のセラーテム決算説明会のQ&Aの続きである。

    セラーテムの中国プロフィットセンター、北京誠信に実体があるのかと問い詰められて、池田社長も宮永取締役も色をなした。やはり、北京を取材したいと言われて取材拒否したのは、行かれては困る理由があるからだろう。彼らはFACTAがすでに現地を取材していることを知らなかったのだ。まさか中国まで見に行くことはあるまいと高をくくっていたのだろう。甘い甘い。

    *   *   *   *   *

    セラーテム宮永取締役 この件については関東財務局とも協議して、とくに問題が指摘されていなかったのですけれども。

    FACTA それは要するに、中国(企業)と提携してこういう複雑なスキームをつくって、関東財務局がよくわからなかったからではないですか。

    セラーテム宮永取締役 弊社の中国の(子会社の)ほうに行っていただいて、会社が実在しているかどうかを含めて、(ビジネスを)実施しているのかということですが、当然、弊社のほうも監査法人も入って監査もしています。ご質問の意図の、要は、本当はやっていないのにやっているのではないかと言う意図がよくわからないのですが、我々のほうの会社で実際にやったことを実施しているということは事実です。

  • 2010年9月 3日FACTAleaks――対セラーテム戦争5  お笑い決算会見(中)

    8月6日のセラーテム決算説明会の会見の続きをお知らせしよう。FACTAの追及に続き、会見に出ていたアナリストも質問を始めた。

    *   *   *   *   *

    他の質問者 先日、御社は中国でスマートグリッドを受注されたというリリースが出たので、私、問い合わせましたけれど、対応した方の説明だと、単に電力メーターを遠隔監視をするというシステムだという説明でした。それはそもそもスマートグリッドと呼ぶのでしょうか。

    セラーテム池田社長 まず、開示いたしました3件のところで、先ほどの図のところの川下と川中で、送電網に関してはおっしゃるとおりで、送電の仕組みのなかでどれだけ最適化するかということでリモートでモニタリングをするなどのシステム的な部分があります。

    川下に関しては、送電網から、いわゆるスマートメーターを単純に置くというだけではなく、電力の流れのネットワーク化に近いものなので、そういったかたちで使用量に応じて最適な量で制限する。それを送電からまず町、町のなかからそれぞれのマンション、マンションからマンションのそれぞれの部屋ということで、それを最適化するようなシステムもあるので、最初に言われたスマートグリッドのいわゆる大きな概念のなかの一部と考えていただいて結構です。

    すみません。ご説明のほうがちょっと不十分だったかもしれませんが、そういったものです。

    注) まったく不十分で、どこかで聞いたスマートグリッドの説明をおうむ返しに言うだけ。スマートグリッド受注案件3件とは、10年7月16日発表の北京市民政局住宅合作社と北京中弘投資有限公司、そして7月30日に発表した広東電網公司との契約のことだろう。対セラーテム戦争3で報じたように、「財新メディア」の取材ではその実体に疑問符がついている。

  • 2010年9月 2日FACTAleaks――対セラーテム戦争4  お笑い決算会見(上)

    セラーテムの4~6月期決算の発表と会見は、8月6日に東京の茅場町の日本証券会館1階、大証インベスターコンファレンス会場で行われた。本来、セラーテムは大証ヘラクレス上場企業だけに大阪で発表するかと思ったが、東京で行われることになったのだ。

    飛んで火にいる……とはこのことだろう。

    腕を撫して待つFACTAは一番前の正面の席を占めた。会見には池田修社長(写真)と、CFOの宮永取締役が出席した。池田社長が1時間近く、業績の説明(というよりはパワーポイントのポンチ絵を映しながら、ウェブフォントサービスなど画像ソフト事業の説明)を延々と続け、肝心の中国省エネ事業については「省エネに関する総合ソリューション」「省エネITコンサル事業」などと銘打って、えらく抽象的なお題目ばかりを並べたてた。ご本人がまるで分かっていないらしく、ほとんど口パクとしか聞こえない。

    それからQ&Aに移って、FACTAの追及場面になる。同席していたアナリストも目をむくような質問の連続(われわれを証券監視委員会の人間かと思ったらしい。まさかね)に、池田社長はあたふたするばかり。いきなり馬脚を現わしたのには苦笑してしまった。彼らが公開した動画でQ&Aをオミットしたのは、少しは恥を知っているということか。

    退屈な社長の独演はすべて飛ばし、Q&Aだけとりあげよう。

  • 2010年8月31日FACTAleaks――対セラーテム戦争3 日中連携報道

    番外編として、ここで速報を挟もう。セラーテム“事件”がついに中国で報道された。

    今年1月に発足した「財新メディア」が発行する週刊「新世紀」8月30日号に張伯玲記者ほか一名の記者の連名で、長文の記事が掲載され、同誌のインターネットメディア「財新網」にも載っています。

    タイトルは「セラーテム、智能電網(スマートグリッド)の謎

    同じ記事はたちまち、「新浪財経」「網易財経」「騰訊財経」「路透(ロイター)」に転載され、セラーテムが中国でスマートグリッドを受注したという奇怪な話は、中国でもマユに唾をつけられていることが明らかになりました。中国語が読める方はリンク先をクリックしてください。その報道内容も含めた続報は、9月20日発売のFACTA10月号に掲載しますから、お楽しみに。

  • 2010年8月29日FACTAleaks――対セラーテム戦争2 最初のジャブ

    7月23日にFACTAが送った取材依頼から。まずは軽いジャブ。どういう反応かを試しました。

    セラーテムテクノロジー
    代表取締役社長
    池田 修 様

    中国事業に関する取材のお願い

    平素はお世話になっております。

    私ども月刊FACTAは「三歩先を読むオンリーワン情報誌」として、国内外や規模の大小を問わず、注目すべき企業の発掘・取材に力を入れています。国内経済の低迷が続く中、海外市場、とりわけ中国に代表される新興国市場の開拓が、企業の生命線を握る大きな課題となっています。しかし、すべての日本企業が新興国市場への参入に成功しているわけではありません。

    そんな中、セラーテムは中国資本の導入と新事業分野(環境関連事業)での中国進出という果敢な決断により、業績をV字回復させておられます。そこで、このような決断を下した経緯、中国事業の具体的な内容と展望、パートナーとの協業の苦労話等について、池田社長に詳しくお話を伺いたく、取材をお願いする次第です。

    また、子会社化した北京誠信能環科技のユ・ウエンゲ董事長にも、セラーテム傘下に入るまでの経緯や、中国の環境ビジネスの現状などについてお話を伺いたいと考えています。取材は中国、日本のどちらでも対応できます。

    ご多忙中に恐縮ですが、8月3日頃までに1時間程度、お時間をいただけないでしょうか。ご検討のほど、何卒よろしくお願いします。


    2010年7月23日

    月刊FACTA発行人
    阿部 重夫

  • 2010年8月28日FACTAleaks――対セラーテム戦争1 宣戦予告

    内部告発サイト「ウィキリークス」が、アフガニスタンの駐留米軍機密文書7万5000点を暴露した後も、創設者のオーストラリア人元ハッカー、ジュリアン・アサンジュと米政府機関の神経戦が続いている。

    アサンジュに対し、スウェーデン政府から婦女暴行容疑で逮捕状が出たとの報道直後、逮捕状が撤回され、アサンジュが「謀略」と反発したのに対し、被害者(?)の女性がペンタゴンやCIAの関与など「ナンセンス」とCNNに語ったそうだ。なんだか「藪の中」みたいだが、25日にはウィキリークスがCIAの「諸外国が米国を“テロ輸出国”とみなしたらどなるか」という3ページの内部文書(機密度は低い)を公開した。

    正直言って、この衝撃度は低い。しかしアサンジュ対ゲーツ(国防長官)、パネッタ(CIA長官)の闘いは「オープン・インターネット」というイリュージョンを限界まで試す展開になりそうだ。

    さて、本誌最新号(8月20日号)の編集後記で書いたように、「ウィキリークス」に倣って「FACTAリークス」を少し実験してみましょうか。編集後記にはこう書いた。

  • 2010年8月27日答える価値のない公開質問

    ヤフー掲示板に以下のような公開質問状が掲載された。

    FACTA編集部 御中

    無視されるとは思いますが公開質問をいたします。
    ジャーナリストとしての矜持がおありでしたら、ご自身のブログででもお答えいただきたく思います。

    貴誌の記事は玉石混交であります。スクープ記事がある反面、取材源のあやしい記事も見受けられます。今回のセラーテムについての記事についても、正しいのかあるいは不正確なのか、いまだよくわかりません。
    しかしながら、最近の金融がらみの記事、たとえば日本振興銀行や日本風力開発に関する記事は、当初はあやしげに見えましたが、後々になってみるとおおむね妥当な内容でありました。

    もっとも、貴誌をほめたいのではありません。もし違っていたのならご容赦いただきたいのですが、振興銀や風力開発の記事は当局からのリークによるものではないのでしょうか。

    そういう深い関係(?)があるからか、下の記事では証券取引等監視委員会を持ち上げまくりです。
    http://news.goo.ne.jp/article/facta/business/20100517-01-00-facta.html
    これではあまりにも権力べったりです。貴誌は権力の犬なのですか?

    無視されることを覚悟で書きました。
    この掲示板をチェックはしているでしょうから、せめて気にはとめておいてください。

    内容は表題の通りだが、明日から用意しているブログ記事の前フリとしてお答えいたしましょう。