阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2019年1月11日 「東京五輪買収」竹田JOC会長に訴追手続き

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1月11日14時51分、ル・モンド紙のヤン・ブーシェ記者からメールが舞い込んだ。欧州大陸時間で午前6時51分、パリから届いた目覚ましメールに目玉が飛び出た。

竹田恒和・日本オリンピック委員会会長がフランスの検察に、2020年東京五輪招致のために買収の支払いを承認した(corruption active)という容疑で訴追手続きに入ったことを確認した、とあったからだ。

ル・モンド紙電子版にはブーシェ記者のスクープが掲載された。

https://www.lemonde.fr/sport/article/2019/01/11/l-homme-fort-des-jo-de-tokyo-2020-mis-en-examen-pour-corruption-active_5407570_3242.html

東京五輪買収疑惑は、ロシアのドーピング疑惑に端を発し、国際陸連(IAAF)の前会長ラミン・ディアクと、その息子のパパ・マッサタ・ディアクに賄賂を渡し、アフリカ票のとりまとめを頼んだとの疑惑は、FACTAと英国ガーディアン紙、仏ル・モンド紙が追いかけてきた。FACTAの18年3月号では、ブーシェ記者と協力し、仏検察が国際陸連の家宅捜索で押収した電通との極秘契約書を暴露、「電通『東京五輪買収』の物証」と題するスクープを放った。この際、その記事をフリーで読めるようにしよう。

https://facta.co.jp/article/201803002.html

このスクープに電通も政府も五輪組織委も、そして放映権など五輪利権を手放したくないテレビ、新聞などマスメディアの大半も無視して臭いものにフタをしようとした。また、電通と一体と指摘された竹田JOC会長は、パパ・マッサタと親密なブラック・タイディングス社に支払った報酬を「正規のコンサルタント料」と国会などでも主張しつづけた。

フランスはパリ大審裁判所のルノー・ヴァン・ルンベック予審担当第一副所長を通じて、贈収賄、重大な資金洗浄、犯罪由来の資産の隠匿などの容疑で日本に国際刑事共助要請を行い、東京地検特捜部検事が竹田会長、五輪招致委員会の水野正人専務理事らに事情聴取し、招致委の銀行口座記録などとともにフランスに送っている。

FACTAはこのやり取りが実際あったことを示す資料を入手している。竹田会長の聴取内容も確認している。仏検察がその調書の供述内容を信ぜず、地検特捜部の捜査(東京地検検事正は「意見なし」と付記)についても重大な欠落があるとみた理由は推察できる。問題はフランスが訴追手続きに入るかどうかだった。12月にはブーシェ記者にまだ動きはないかとメールで打診したが、動きがあるかもという返事だった。

年明けの第一報が、冒頭の目覚ましメールだった。残念ながら、ブーシェ記者もル・モンドに記事を載せるのが精いっぱいで、1月21日発売の2月号の締め切りが過ぎたFACTAに寄稿するのは間に合わない。竹田調書も含め、詳報は2月21日発売の3月号までお待ちいただかねばならないのが、月刊誌の悲しさでもある。

ただ、ブーシェ記者の確認によれば、訴追手続き開始の日付は12月10日、奇しくも日産前会長、カルロス・ゴーン容疑者が、同じ東京地検特捜部によって金融商品取引法違反で再逮捕された日である。ゴーン勾留延長の「人質」司法の非人間性を、五輪買収疑惑捜査の意図的とも思える欠陥捜査でリベンジしたのではないかと疑いたくなる。

12月10日に訴追手続きを開始したとすれば、少なくとも竹田本人と日本政府には通告があったはず。特捜と日産が組んだクーデターの裏で糸を操る政府は、ゴーン元会長と竹田会長の大物相討ちのみならず、買収疑惑がフランスの法廷で裁かれ、レジティマシーに傷のついた2020年東京五輪に中止論が出てきたら、どうするつもりなのだろう。

東京地検特捜部とともに、日本は世界に恥をさらすのだろうか。