阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2018年12月28日 仮想通貨で「大火傷」GMOとペジーの不可解

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どうにも釈然としない話だ。12月25日にGMOインターネットが発表した損失計上である。

仮想通貨価格の下落やその発掘の計算力競争で競り負けたことを受け、マイニング事業で355億円の特別損失を計上、単独ベースの特損は380億円に膨らんで特別利益を捻出しなければGMO本体が債務超過に転落するほどの打撃だ。

損失の内訳は、自社マイニング事業の減損損失として115億円、マイニングマシンの開発・製造・販売事業の債権譲渡損として240億円で、これに伴って自社マイニング事業の縮小と、マイニングマシンの開発・製造・販売事業からの撤退を決めている。

釈然としないのは、わずか1年ほどの間にこれだけの損失を計上しながら、その経緯や中身の説明に具体性がないことだ。GMOの損失計上には、スーパーコンピュータの助成金詐欺で話題になったペジーコンピューティング社と関わりがあるのではないかとの指摘があるからなおさらだ。

GMOがペジーとの関係を疑われるのは、ペジーがマイニング事業への参入に言及していた時期とGMOが仮想通貨のマイニング事業に参入した時期と重なるうえ、GMOが参入を発表した頃には「マイニングマシンの製造に必要な7nmチップを供給できるのはペジーと富士通だけ」と言われていたためだ。その富士通は半導体事業に外部の資本を取り入れるなどして設計や開発を切り出しており、7nmチップを外部に供給できるかどうか、歯切れが悪い。残るのはペジーだけになる。

GMOでは、計上した債権譲渡損が誰に対する債権だったのかについて「取引先との間で公表しないことになっている」として説明を避けている。「では、記事に『ペジーから供給を受けることになっていた』と書くと間違いになるか」と重ねて聞いても、GMOは否定も肯定もせずに「公表しないことになっている」と繰り返すだけだ。

損失を計上するまでの期間が極端に短いのも不可解だ。GMOが仮想通貨のマイニング事業に参入すると発表したのは、昨年9月。欧州法人を通じて実際に参入したのは、ちょうど一年前だった。参入を発表した当初、GMOでは「連結固定資産の10%(約35億円)」としていた支出がおよそ10倍に膨れ上がり、そのほとんどをわずか一年で減損処理したのだから、その過程にどのような事情や経営判断があったのか、責任の所在はどこなのか、株主は知りたいと思うだろう。

ペジーは国立研究開発法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や科学技術振興機構(JST)から約87億円の助成金を騙し取り、ペジーはその一部を返還している。市場が懸念するように、GMOが抱えていた債権がペジーに対するものなら、「GMOからペジーに流れた前渡金などは助成金の返還に充てられた可能性が出てくる」(市場関係者)というわけだ。

加えて単独ベースでは損失計上の緩衝材として、上場子会社のGMOペイメントゲートウェイ株の一部を売却して特別利益を捻出するのだ。GMOとGMOペイメントの親子関係は、かつて問題になったニッポン放送とフジテレビの関係にも似て、親会社より子会社の時価総額の方が大きい逆転現象の問題もはらんでいる。GMOが維持している買収防衛策の是非も絡んで、今回の損失計上が投資ファンドを刺激しないはずがない。

GMOは12月決算。3月に提出される有価証券報告書ではどう釈明するのだろうか。