阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2018年7月31日 [reuters]界壁なきレオパレスに外国人投資家が火傷

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レオパレス21が新たな問題の発生に揺れている。

屋根裏にできる空間に設けなければならない、防音や防火のための壁(界壁)が設置されていない物件が次々と見つかり、建築基準法違反の疑いが浮上してから、株価が急落している。

5月11日には1023円の年初来高値をつけたのが、同月末に界壁問題が発覚すると売買高を伴って急落し、6月28日には581円まで下げた。年初来安値の更新である。7月30日の終値は617円であり、すでに連結PBR(純資産倍率)は理論上の解散価値に相当する1倍を割り込む水準まで売り込まれている。

これだけ大きく値を下げながら、その後の反発力が弱く、取引も盛り上がらないのは、コンプライアンス上の問題を抱えるレオパレス株を買えなくなってしまった投資家が少なくないためだろう。

レオパレスが施工した物件のオーナーたちが「一方的に賃料を引き下げられた」として相次いで訴訟を起したことで、サブリースのビジネスモデルが破綻しかけているうえ、建築基準法違反の問題で損失がどれだけ膨らむのか見通しがきかない。それでも深山一族のオーナー企業であるために、誰も口をつぐんでモノを言いにくかろう。

どれも上場企業として経営の根幹に関わる問題なのに、経営陣は主体性を持って誠実に問題と対峙しているようには見えない。これも企業統治が機能不全を起している典型例の一つなのだろう。

レオパレスは、人材派遣会社に登録して働く社員のために派遣会社を大口顧客として囲い込んでいるほか、出張時のホテル代わりにアパートを借りている顧客企業も多いという。鉢植えの盆栽を植え替えるように、法人顧客(の社員や契約社員)を築浅の物件の間で右から左へ引っ越しさせることも少なくないようで、レオパレスの物件をオーナーから買い取ったある不動産投資家は「(レオパレスとの契約解除時に)入居者の8割がごっそり抜けてしまい、大変な目に遭った」と打ち明ける。

物件のメンテナンスも不備が多かったようで、「サブリースのためにオーナーの目が届かないのをいいことに、レオパレスは徹底的に経費をケチったようだ。浄化槽のポンプも槽も壊れたまま長期間放置されていて、その間は汚水が浄化されずに垂れ流しになっていた」というケースさえある。

焼き畑農業的なビジネスモデルにみえるが、これを評価して株式を保有する外国人投資家は多い。彼らがビジネスモデルに惚れ込み過ぎたせいか、問題が発覚した直後に開かれた株主総会でさえ、現経営陣の選任案は軒並み90%台の高い賛成票を得たから、株主の経営監視は十分ではなかったことになる。

しかし大量保有報告書を見る限り、年初来高値をつける過程で買い上がったある外国人投資家は6月からの急落局面で大きな含み損を抱えているとみられるし、保有割合をこっそり低下させている投資家もちらほら現れ始めた。

さて、問題がこれだけで収まるかどうか。筆者に連絡してきた社員によれば、会社の方針に反する社員は産業医に受診させて長期休暇に追い込むこともあるそうだから、そうした社員たちが法令違反やパワハラを内部告発することもしばしばだ。これまでに明らかになっていない経営上の問題について告発があってもおかしくない。

レオパレスの経営に防火のための界壁がないのだから、株価についた火は内部告発の炎上を引き起こすか。