阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2017年12月29日 [reuters]企業統治不全が日本を滅ぼす

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2017年も残りわずかになった。東芝の粉飾決算に続き、今年も企業の不正が数多く表面化するとともに、日本の「モノづくり最強伝説」はすでに過去のものとなった。不正の発覚が経営の屋台骨を揺るがすような直撃弾になったケースもあり、企業統治と内部統制ができていない企業がどうなるのかを改めて見せつけられた一年でもあった。しかもこれらの多くは内部告発をきっかけとしており、日本企業があっけなく自壊していく脆さも露呈した。来年も企業統治や内部統制の不全が引き起こす不正はなくなることはないだろう。

不正が発覚したのは製造業ばかりではなかった。緊急対応融資の不正ばかりが取り上げられている商工組合中央金庫は、実はこれまでも不公正ファイナンスを繰り返すハコ企業に対して融資してきた実態が浮かび上がっている。しかも期限が半年や1年の短期融資ではなく、5年の中長期的な融資。まともな審査をしていれば融資などしない相手に資金を供給し、金融だけでなく株式市場さえ歪めていたのだから呆れかえるよりほかない。証券取引等監視委員会が常時監視対象とし、まともな金融機関なら決して相手にしない反市場勢力に、政府系金融機関が資金を供給していたのだ。なんと希薄なコンプライアンス意識であることか。

この一年、海外の機関投資家はずいぶん熱心に日本株を物色したようだ。投網を投げるような買い方もあっただろうが、経営トップが企業統治に対してどのような意識を持っているのか念入りに調べたうえで、業績を伸ばし、積極的に株主還元してくれそうな銘柄をじっくり選んで買う投資家も決して少なくなかった。それもこれもコーポレート・ガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードが整備され、企業と投資家の間で建設的な話し合いを設ける機運が高まったことが背景にあることは、以前にもこのコラムで書いた。

しかし企業側に何らかの不正が見つかったのを機にふたを開けてみると、企業統治も内部統制もできておらず、中身が腐っていたというのでは、せっかく芽生えかけた機運に冷や水を浴びせることになりかねない。

そうした警鐘を鳴らすことも兼ねて、1月発行の本誌2月号の予告もしておこう。ある企業が自社の不正を揉み消そうとして思わぬ反撃を食らい、社内でちょっとした"事件"を起こしている。日本人の民族的欠陥なのか、ほとんどの関係者は見て見ぬ振りだが、すでに本誌編集部は内部資料や生々しいメールをたっぷりと入手済みだ。

当然ながら問題の企業側は完全に取材拒否。しかし本誌のプレッシャーは充分に感じているはずで、関係者はこの年末年始、何を書かれるのか心配で枕を高くして眠ることはできないだろう。そこでは企業統治や内部統制を脅かす怪人の存在も囁かれている。記事を読めば日本企業を滅ぼす本当の敵が何なのか、それがどこに巣食っているのか、考えさせられるのは間違いない。

ストーリーは本誌編集部の郵便受けに届いた異様な封筒から始まった。読者の皆さんも、関係者の皆さんも、震えながらお待ちください。どうぞ良いお年を。