阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2016年12月28日 オリンパス報道、LAタイムズとシンクロ

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いかなる抗生物質も効かない超耐性菌の感染問題で追い詰められているオリンパスについて、月刊FACTA1月号に記事(「オリンパスは二度死ぬ」)を掲載した。

オリンパス製の十二指腸内視鏡が構造上の問題を抱えており、欧米で超耐性菌に感染した患者が大量発生。30人余りの死者を出して患者が集団訴訟を起こす一方で、米国の連邦食品医薬品局(FDA)や司法省などはオリンパスの対応に不備があったとして、水面下で数千億円の罰金のほか、薬事審査の拒否や執行役員らの逮捕を通告してきた――という内容である。

オリンパスは米国や南米の医療機関に利益供与したとして、この3月に米司法省と和解、罰金740億円を支払ったばかりだが、今度は同社の連結売上高の3分の1を占め、日本や欧州よりも大きな位置づけになった米国市場から追放されかけているようにさえ見える。

この報道を受けて、オリンパス株は一時下げ足を速めた日もあったが、オリンパスは例によって一片のニュースリリースさえ出すことなく沈黙を守っていることもあり、株価も落ち着きを取り戻した。しかし、国内外で報道陣のオリンパス包囲網は確実に狭まっているようだ。

ロサンゼルス・タイムズ紙に超耐性菌問題の調査報道記事を寄稿しているチャド・ターヒューン記者と本誌は協力関係にあり、彼もFACTA1月号発売(12月20日)とほぼ同時期の12月19日付で続報記事を彼の本拠であるカイザー・ヘルス・ニュース(KHN)に載せている。

それによれば、「矢部久雄執行役員らが11月30日と12月1日に東京の米国大使館で弁護士の尋問を受けたが、米国憲法修正第5条に則って黙秘権を行使した」「米国は1月には米国現地法人の役員に対して尋問を行う」と報じている。業界紙もオリンパスの記事を掲載するなど、オリンパス関連のニュースがメディアを賑わす頻度は上がっている。

感染者が発生していない日本では、この問題についてほとんど報じられてこなかったが、風向きが変わってきた。海外の監督官庁への報告に不備があったとして米国が逮捕を通告してきたとされる執行役員に対して、一部の全国紙が直接取材しようと接触を試みているという。

東京・八王子市にあるオリンパス石川事業所では、取材対応を求める記者と、広報を通して取材するよう求める執行役員側との間で険悪な雰囲気さえ漂ったという。

市場では不自然(?)な株価の落ち着きとは別に、アナリストたちがそわそわし始めた。

複数のアナリストがFACTA編集部に「詳しい話を聞かせて欲しい」と面会を求めてきているのだ。オリンパス株を買い推奨しているアナリストが多いだけに、報道が活発化していることに落ち着きを失っているのだろう。

ただ、大量感染が問題化したときに、FDAはオリンパス製内視鏡の販売や使用を禁止しなかった。感染リスクと内視鏡を使えなくするデメリットを天秤にかけた措置だったのだが、この対応に問題はなかったのか、との指摘もある。こうしたポイントも含めて、新年もオリンパスは本誌のネタになり続けるだろう。

関係各位に願わずにはいられない。どうぞよいお年を。