阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2016年10月24日 東京都「官製談合」疑惑追及1――広尾病院長を左遷する「酷吏」副知事

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東京都知事に小池百合子氏が就任してから、本誌FACTAも10月号の「小池が暴く豊洲『官製談合』」、そして11月号の「東京都利権に『黒幕』五奉行」と過去の都政と利権の追及シリーズを連打してきました。本誌は豊洲や五輪施設など都の大型ハコモノ利権にはすべて「官製談合」の疑いが濃厚であり、そのブラックボックスを暴くことが必要だと考えています。雑誌では紙数に限りがあり、入手資料などもかいつまんでしか触れられないので、その補足資料としてこのブログを活用することにしました。

本誌11月号では、都立広尾病院の移転改築を強行した都が、移転先にありきで何のビジョンもないことにあきれて抵抗した佐々木勝病院長が、今年2月29日に秋山俊行副理事(現在は都人材支援事業団理事長)と真田正義病院経営本部長から直々に左遷を言い渡されたと書いた。このときの録音を入手し、そのテープ起こしと肉声を公開する。

さあ、耳を澄まして、政治の先兵となる役人の弁を聞こう。

秋山(上写真/情報誌「どうきょうの労働」より) きょうは4月1日の先生の人事についてちょっとお話をしにまいりました。まずこの話をする前に、先生には平成19年度から広尾の副院長、24年度から院長で、医療環境がこの地域、大変厳しい中でご努力いただいたことにまず敬意を表したいと思います。そしてもう一つ、この病院の移転改築の道筋をつけていただき、私も病院は何度も仕事やってるものですから、都立病院の基幹病院で一番気になっていたのが、最後に残ったのは広尾病院で、府中もああいう形になって、駒込もああいう形で解消できて、それから墨東もやりますが、広尾だけがしていないという中で、どうしようかなというのを今回ああいう形で、事実上の予算案もああなりましたので決定しました。ただこれ、かなり長い時間かかるんじゃないかなという流れの中で、先生もちょっとご異動いただきたいと思っておりまして、保健医療公社の副理事長のポストをですね......。

佐々木(下写真) 具体的にはよく分からないですが。

秋山 ええ、ええ、あのう、東京都の保健医療公社はご存じのとおり地域医療をやる中で、25年たつのですが、その流れの中で副理事長というポストは今あることはあるのです。東京都の理事という同じ条件の中で、派遣によって副理事長に就いていただくという流れです。25年たってさまざま、保健医療公社の方向性を見直さなければいけないこともございますので、そこにある従事内容としましては3つお願いしたいと思っています。

1つは公社の保険医療体制についてヘンサン研修で振り返るとともに、総合診療基盤、救急医療、災害医療等についての研修を行って報告をお願いする。それから保健医療公社の今後の医療機能のあり方、救急医療、災害医療の検討、ならびに公社の医療安全対策に関する調査、研究を行って理事長に助言する。3点目は、理事長の命を受けて公社の医療提供制度体制について調査、研究を行い、災害医療に対応できる医療人材の育成を図る。一応この3点ぐらいを考えていて、この仕事をやるのに1つはスタッフをつけることを考えております。

勤務条件、位置づけ等はそこにあるとおり今とまったく変りません。派遣法による派遣という形になるかと思います。

佐々木 (沈黙)で、これはいま即断するのですか。

秋山 内々示ということできょう来ましたので、われわれとしてはできれば1週間ぐらいを目途に少し考えていただければありがたいと思っております。

佐々木 ちょっと考えさせていただいていいですか。

秋山 はい。

佐々木 内々、こんな話かなとは思っていましたが、ちょっと考えさせていただいて。

秋山 一応、通常の内示ではなく、内々示という形で早めに来ましたので、来週頭ぐらいに先生のお考えをお聞かせいただければと思っております。

佐々木 これは......嫌だということはあるのですか。それは基本的にやめてくれっていう話はできるのでしょうか。

秋山 あのですね、理屈だけの話をしますと、派遣法というのは本人同意が要ります。従いまして、嫌だということになりますと派遣ができず、一方では、人事異動を発令すると職務命令という形になってしまいますので、非常に中途半端な形になってしまいます。

佐々木 中途半端になると......。

秋山 ええと、派遣はできません。向こうには行けません。また先生の身分をなんらかの形でまた別のことを考えなければいけません。ただし、あまり言いたくないのですが、発令してしまうと職務命令違反というのが残ってしまいます。

佐々木 辞めなければいけないということですか。

秋山 いえ、辞めるかどうかはその程度によります。

佐々木 よく分かりませんが、程度によるというのは? はっきり言ってほしいのですが......。

秋山 普通はあり得ないということです。

佐々木 本部長ではなくて副知事が来たのでそういった話だろうと......、具体的にはっきり言っていただいたほうが、僕としては気が楽です。

秋山 辞めろというわけではありません。けれども一般的には局長級の先生ですから、ノーと言えば普通は辞めざるを得ないということだと思います。ただ、先ほど言ったように法律上どうだということになりますと、非常にややこしい話になってしまいます。

佐々木 そういう形で広尾の院長として置いておきたくないというのが、本部の考え方だというふうに理解していいのでしょうか。

秋山 置いておきたくないというより、2年期間ばかりかですね。向こうへ行ってお仕事をしていただきたいという。

佐々木 ちょっと考えさせていただいて、それでお返事をさせていただければと思います。

秋山 分かりました。

佐々木 デッドラインはいつですか。

秋山 来週の月曜、1週間後ぐらいでできればありがたいと思います。ちなみに、保健医療公社はいまの場所は?

真田 竹橋にあります。ただ6月にお茶の水に。

秋山 6月にお茶の水に移転ということになります。

佐々木 それでは、だいたい分かりました。

秋山 いいでしょうか。一応、もう一回、中身を見て確認を。一応、来週の月曜日、1週間後ぐらいを目途に、なにがしかお返事をいただけるということで。

佐々木 すみません。わざわざ。

秋山 とんでもないです。よろしくお願いします。ありがとうございました。

<録音の音声ファイルはここをクリックしてください。クリックすると肉声が流れます>

副知事と本部長は病院長の上司にあたるが、役人が部下を窓際に追いやるときにどれだけ慇懃無礼な物言いで有無を言わさぬかの典型例だろう。この「酷吏」たちは邪魔者を排除するとなれば、どれだけでも非情になれるらしい。幸い病院長は医師でもあり、気骨の人だし、都の小役人の靴の塵を舐めずとも食っていけるから、この貴重な録音ができた。

都の職員の皆さん、そしてサラリーマン諸君、あすはわが身ですぞ!