阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2016年6月29日 オリンパス「二度目の不祥事」

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6月29日をピークに3月決算企業の株主総会が一巡する。前年同様、中国関連の損失を計上する企業が少なくなかったし、深刻な不祥事や経営不振で株主に顔向けできない三菱自動車やシャープのような会社もある。三菱自動車と並んで「二度目の不祥事」に見舞われようとしているのがオリンパスだ。

株主総会を翌日に控えた27日、オリンパスの笹宏行社長が全社員に対してメッセージを発信した。FACTAが最新号でオリンパスの中国子会社に贈賄疑惑が浮上していることを報じる「オリンパス 『深圳文書』の闇」を掲載、疑惑の調査に当たった弁護士チームが作成した「最終報告書」をHP上に掲載した。追随するメディアが現れたことで、これまでのようにダンマリを決め込んでいられなくなったのだろう。27日夜には、同社HPにも「当社及び当社子会社に関する一部報道について」と題して報告書の要旨をリリースした。そこでは関与した笹社長らの固有名詞が消えているから、歯がゆい投資家や関係者は、ぜひともFACTAの全文を参照していただきたい。

社長メッセージには「調査の結果、関係各国の贈賄関連法令に違反する行為があったとの事実はありませんでした」と強調し、極秘の最終報告書の全文が流出して本誌のHP上に掲載されたことについて「あってはならないこと。情報管理・統制の甘さを反省しています」と詫びているが、詫びるべきポイントが違うだろう。最終報告書には経営陣が決裁を避けて、現場の裁量で決裁せよと責任を押し付けていたことがはっきりと記されているのだから。

しかもオリンパスが調査に非協力的だったこともあって、調査に8カ月余りも費やし、弁護士に支払った料金は10億円前後に膨れ上がった。この10億円は本来株主に帰属する利益であったはずだ。大金を払ってこれを握りつぶそうとしたことをみても、やはりオリンパスは変わっていない。

これまで社内でも秘せられてきた最終報告書が全社員の目に触れるようになったことで、オリンパス経営陣の欺瞞は隠しようがなく、下手な言い訳は社員の離反を招くだけだ。早くも情報を提供したいという社員が現れている。

もちろん「なぜうちの会社ばかりを標的にするのか」と我々FACTAに対して憤りを感じる社員もいることだろう。しかし、それはあなたの会社の考え方が卑しく、振る舞いが見苦しいからだ。上場企業のあるべき姿(情報開示姿勢や、問題が浮上した際の対処の仕方)に照らし合わせて、あまりにも拙劣で、5年前の大きな不祥事から何の教訓も汲み取っていない。この報告書は、あなたがたに自浄能力がないことを世間に示している。

しかも最終報告書をまとめた弁護士チームの調査は不十分で、核心への切り付け方もへっぴり腰だ。しかし「(関係者に証言はあったが)証拠は出てこなかった」「法令違反はなかった」とまとめている割に関係者の処分を勧告したり、関係した役員は研修を受ける必要があるとはっきり指摘している。これが何を意味しているのかよく考えなければなるまい。

残念なのは、オリンパスに対する投資家や読者の関心が薄れつつあるように思えることだ。株主総会で贈賄疑惑を質す株主質問が出なかったのは、オリンパスを信用していると言うよりは、藪蛇になるのを恐れたせいではなかったか。それともシャンシャン総会にするための必死の演出だろうか。

しかし本誌は追撃弾を用意している。いずれそれを公開する時も来るだろう。5年前に本誌がオリンパスの企業買収に不審な点が多いと報じたとき、「オリンパスへの公開質問状と宣戦布告」と題して、ブログに綴った。そのときと同じセリフをもう一度書き留めておこう。

「ぜひとも、震えながらお待ちください」