阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2016年3月 8日 [スクープ]「LIXIL藤森」の墜落12――ドイツ誌も追及

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記者の習性として、他誌の後追いというのはできれば避けたい。出し抜かれた、と思っても、付け入るスキがないと、参りましたとばかりにシカトする。追いかけたら損、そんな気持ちはよく分かる。本誌の追及記事は往々にして「あれはFACTAの喧嘩。そっちはお任せします」といった目に遭う。事件化しないと、どこも見て見ぬふりである。

LIXIL追及の本誌独走記事に、日本の新聞や他誌の担当記者たちは、怖々と覗き見するばかりだろう。あとは、日本の当局が事件化しないことを祈りつつ……。

そうはいかない。ドイツの経済誌Wirtschafts Woche(週刊経済)の日本特派員Martin Fritz氏から連絡があり、グローエの記事が金曜発売の3月4日号に掲載された(その号の目次はこちら。グローエの記事は64ページ)。

オンラインは有料(ダウンロードに3・99ユーロ)なので、ここに転載するわけにはいかないが、Blickpunkte(視点)のコーナーにある4記事の一つ、3ページ物である。お金持ちのLIXILはちゃんと買って読むべし。ただし、藤森さん、ドイツ語読めたっけ? 読めないなら、グローエのヘインズ会長兼CEOに英訳してもらいなさい。彼自身が頭をかく写真が載っていて、Viele Fragen, keine Antwort(疑問多数、答えなし)とエトキがついている。さらにその下にEr schweigt zu den Vorwüren(彼は疑惑に無言だった)とある。

そしてタイトルページには、大きくAugen zu und durch。思わずにやりとした。なかなかイケてる。だって「見て見ぬふり」という意味だもの。水が渦を巻いて吸い込まれていく排出口のイラストがついている。臭いものを水に流した、といわんばかりだ。

リードにも「グローエ:金融投資家たちに便器メーカーを売却して大稼ぎ。おそらく日本の役員たちとドイツの株主たちを犠牲にして」とある。

フリッツ特派員にFACTAは協力した。見方は同じだ。この疑惑の中心にヘインズ氏がいるのに、LIXILは彼を抱えたまま、まともに答えようとしない。だが、このドイツ誌の記事は、ドイツの証券市場監視当局に向けて発せられた。株主を犠牲にしたこの行為を、ドイツ政府は見逃すのか、と。

逃げ切りを策すLIXILに“外圧”をかける戦術である。そして、われわれも日本の証券取引等監視委員会に問いかけよう。「見て見ぬふり」をするのですか、と。