阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2016年2月26日 買われた? 東京五輪3――組織委員会への質問状

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2020年東京五輪には、すでに三つのスキャンダルが起きている。第一がザハ・ハディド設計の新国立競技場案の白紙撤回で、これは本誌14年9月号「新国立競技場に『森・石原密約』」、同10月号の「国立競技場解体に『天の声』」、同11月号「『戦犯』は日建・竹中・電通」の3連打スクープで火がつき、翌年のやり直しコンペにつながった。

第二がエンブレムのパクリ問題、そして第三が当初の運営費見積もり3千億円が、すでに1兆8千億円と6倍に膨れ上がり、舛添都知事自ら3兆円になる可能性を白状した野放図な運営費膨張である。本誌は今年2月号の「許せるか『放漫五輪』運営費3兆円」で報じた。

そこに振って湧いた今回の国際陸連前会長を通じたアフリカ票の買収疑惑である。東京五輪組織委にも英ガーディアン紙との共同質問状を送った。宛先は外務省出身のスポークス・パーソン、小野日子さんである。日子と書いて「ヒカリコ」と呼ぶ。元内閣副広報官・官邸国際広報室長と立派なキャリア外交官だが、ガーディアン紙の当初の記事には「「まったく知らない事」「東京が開催地に選ばれたのは開催計画が優れていたから」という白々しいコメント。「1年で地球を6・2周、海外を飛び回る外交官ママ」なんて日経におためごかしを書かれている女性に、改めて問い直すことにした。

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東京オリンピック・パラリンピック組織委員会広報
小野 日子様

パウンド報告についての共同質問状

月刊FACTA発行人 阿部重夫
The Guardian Owen Gibson

拝啓
時下ますますご清祥のことと存じ上げます。ご承知かと思いますが、1月14日にWADA独立委員会のドーピング報告書第二弾(Dick Pound報告)が発表され、セネガル人のIAAF(国際陸連)前局長Lamin Diack氏及びその二人の息子と法律顧問への疑惑の詳細が明らかになりました。

英国紙The Guardinanやそれを受けたブラジル紙などが、2020年五輪招致でイスタンブールが東京に敗れたのは、トルコが息子の一人Khalil Diack氏が要求する400万~500万ドルのIAAF供託金を払わず、東京が支払ったからだと報じています。Khalilとトルコ関係者の間でそうした会話があったとし、Pound委員長は報告はドーピング究明が主眼でそれ以上追及しなかったが、国際刑事機構(インターポール)、仏検察庁が内偵中で、国際オリンピック委員会(IOC)も問題視していると報じられています。

FACTAはThe GuardianのOwen Gibson記者と協力し、「カネで買われた東京五輪」の真相究明を進めています。すでに小野さんは「理解を絶している」とコメントしていますが、ディック・パウンド氏は元IOC副会長・元マーケティング委員長で、電通の表も裏も良く知る人物です。われわれも内部関係者からの取材により、2029年までの国際陸連主催大会の全放送権とマーケティング権を取得している電通の関与を強く疑っています。とりわけ電通元専務、高橋治之氏について弊誌が報じた疑惑を十分研究されてから、以下のThe GuardianとFACTAの共同質問状にお答えいただければ幸いです。

1~4問はGibson記者(すでに高橋氏のコモンズにも同じ質問を送っています)、5~8問はFACTAの質問です。


1.Did Mr Takahashi ever have any concerns about the behaviour of Lamine Diack, his son Papa Massata Diack or his legal adviser Habib Cisse during his years dealing with the IAAF for Dentsu?

2. Is he concerned that Dentsu could be dragged into the scandal given its longstanding links to the IAAF?

3. Dentsu agreed that Papa Massata Diack could act as a marketing consultant in developing markets? Did he ever have any concerns about this arrangement?

4. The second part of Dick Pound's Wada report raised the possibility that Lamine Diack may have switched his vote from Istanbul to Tokyo because a Japanese sponsor agreed to back the IAAF. Does he have any knowledge of this deal? What was his view of the allegation?

5. 現在のIAAFのスポンサーはアディダスを除けば、キヤノン、セイコー、TDKと日本企業ばかりで、放送権の最大権料もTBSです。電通とDiack親子(とりわけPapa Diack)が特別な関係にあるからだと批判されていますが、石井直社長や中村潔執行役員ら電通スポーツ局幹部がDiack親子を増長させたと考えますか。

6.FIFAへの資金ルートだった ISL破綻後も、IAAFと電通の関係をつないできたのは元専務高橋氏(五輪組織委理事、コモンズ会長)と言われていますが、事実でしょうか。

7.高橋氏が東京招致にあたり「(アフリカの)40票は自分が取ってきた」と豪語したと伝わっています。電通が高橋氏のコネクションを頼り、親しいディアク氏に説得させてアフリカ票を東京に投じさせたとも言われますが、事実ですか。

8 .スイスでISLなきあと、電通の〝財布〟代わりにAthlete Management Servicesが使われてきたのは事実でしょうか。AMSは必然性もないのに、五輪やFIFAイベントなどで電通から業務委託を受け、カネのチャネルになっていますが、今回の供託金もAMSが使われたのでしょうか。

質問は以上です。お忙しいところ恐縮ですが、締め切りの都合もありますので2月8日(月)までにご回答いただければ幸いです。 敬具

2月2日

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