阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2014年4月28日 [reuters]スクープ一粒で二度しゃぶろう

  • はてなブックマークに追加

落ち着きを取り戻した株式市場からは想像もつかないが、どういうわけか、4月に入って様々な上場企業を巡ってきな臭い観測や噂話が駆け巡っている。

ファクタ編集部の周辺にも、各種メディア関係者や信用調査機関、株式市場関係者などから「こんな話が出回っている。何か知らないか」といった問い合わせが引きも切らない。新年度入りしたからと言う訳でもあるまいが、水面下で様々な動きが始まっているに違いない。

4月24日付の日経朝刊が「旧経営陣が循環取引への関与や認識について東京地検特捜部から任意の事情聴取を受けていた」と報じたインデックス(昨年6月に民事再生法を申請しジャスダック上場廃止、同9月にセガに事業譲渡)も様々な情報が飛び交っている企業の一つだ。警視庁や国税庁、司法担当などの記者クラブで「特捜部が立件に動きそうだ」との観測がしきりに立っていた。

実はインデックスの周辺では循環取引以外にも、融資先や子会社の売却先を巡る不可解な資金の流れが多い。本コラムでも何度か取り上げたことがある。

最近も、インデックスとの間でM&Aの実績があった投資会社が破綻したばかりだ。両社の間でやり取りされた50億円余りのカネが“溶けて”しまって行方が分からない。この投資会社の代表は香港にかなりのカネを移していたと言われるが、真相はやぶの中だ。

インデックスと言えば、2010年に経営破たんした日本振興銀行との不明朗な資金の循環が多かったことを覚えている人は多いだろう。振興銀行事件では日銀出身で竹中平蔵元金融担当相のブレーンにもなった木村剛元会長らが逮捕され、12年3月に懲役1年執行猶予3年の有罪判決(控訴せず確定)を受けたが、容疑は検査忌避という“微罪”でしかなかった。複雑な資金の流れを解明しきれなかったのだ。

しかし捜査当局は日本振興銀行や、その傘下でボロ企業を多数抱えこんだ中小企業振興ネットワークが絡んだ不明朗な資金循環につい、て真相究明をまだまだ諦めていない。インデックスを徹底的に洗いなおせば、両社がどのようにもたれあい、もつれ合っていたのか解明が進むかもしれない。マスメディアの間で駆け巡った観測は、こうした動きを嗅ぎ取ったものであったのだろう。

一方、東証二部市場に上場する、悪名高いハコ企業の破綻観測まで囁かれているそうだ。「資金繰りが悪化しており、首尾よく資本を調達できなければ5月にも破綻する」――といった内容だ。こうしたハコ企業の破綻は、経営陣や大株主らが利用価値を見限ったうえでの計画的なものも少なくないから、「資金繰りの悪化」というのは投下資金を回収するための方便ではないかと疑ってかかる必要がある。

日本振興銀行は本誌のスクープから1年余で事件になったが、同じくひた隠しの巨額の「飛ばし」を本誌がスクープして3カ月余で追い詰められたオリンパスだって、すでに過去のものとなったわけではない。経営陣やその協力者はいまや被告台の身だが、海外へと消えた1200億円の行方と関係者追及は道半ば。やはり4月に入って水面下で新たな展開が始まっているようだ。

ある捜査関係者は「半年先、1年先に向けて、何か(経済事件の)ネタはないかと仕込んでいるところ」ととぼけてみせるが、意外や足元から鳥が飛び出すようにして大掛かりな捜査が始まるかもしれない。

スクープ一つで得られる達成感など高が知れている。悪事は繰り返されるのだ。スクープハンターは二匹目のドジョウを狙って、同じケモノ道に身を潜めて待ち構えている。