阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2014年1月27日 [reuters]映画「オリンパス事件」は喜劇の結末か

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オリンパスの損失隠し事件で指南役を務めたとして金融商品取引法違反などの罪に問われている横尾宣政、羽田拓、小野裕史の3被告に対する公判が昨年末からようやく始まった。逮捕から約2年も裁判が始まらなかったのは、3被告が「オリンパスが損失を隠し、簿外で処理しようとしていたとは知らなかった」などとして容疑を否認し、公判前整理手続きが長引いたためだ。

今もオリンパス事件に対する関心は高いようで、初公判に予想を超えて傍聴人が集まり、傍聴席に収まりきらない人であふれた。裁判は開始早々、被告側と検察側の間で激しく攻防の火花を散らしている。

昨年12月25日の公判では、横尾被告が無罪である理由を15分にわたって演説すれば、すでに執行猶予付きの有罪判決を受けた山田秀雄元監査役が1月8日の公判に検察側の証人として出廷。「残った損をどうするか、横尾被告らに何度か相談した」「損失を穴埋めするために横尾被告らに頼んだ。簿外にいくらあるのか、質問を受けた」など、横尾被告らの主張を覆す内容の証言をした。

その中では「損失隠しに使われたファンドのひとつ、TEAOの名称は(横尾被告らとの打ち合わせで)テーブルの上にあった紅茶の名前からとった」「ITXの買収には痛恨の念を持っており、横尾被告には『ITXのせいで損をした』と皮肉を言ったことがある」「(オリンパスのせいで損失隠しを手伝うことになったのだから)菊川剛元社長からは横尾被告らに対して十分に報いるようにと言われていた」といった生々しい証言もしているから、ウソを言っているようには見えない。

公判は来年1~2月までほぼ毎週開かれるスケジュールでびっしり埋まっているというから、判決が下るまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

以前、このコラムで書いたように、損失隠しに使われたファンドを提供するなどして違法な利益をむさぼっていながら罪に問われていない人物に対しては、海外の捜査当局が捜査を継続中だから、こちらと並行して推移を見守る必要がある。

そうそう、オリンパス事件と言えば海外で映画化が少しずつ進められているそうだ。一昨年にはオリンパスの社長を解任されたマイケル・ウッドフォード氏の著作を映画化する権利の争奪戦が繰り広げられたが、当初は「実際に映画化される可能性はかなり低い」(関係者)とみられていた。映画プロデューサーがどのように映画化するのか悩んでいたこともあって、キャスティングはおろか、実際の撮影にもこぎつけていないようだが、最近になって制作スタッフの人選も始まったと聞く。

オリンパスの旧経営陣に対しては、社員も警察関係者も驚く執行猶予付きの有罪判決が下った今、横尾被告らまでも無罪になれば、オリンパス事件は「史上最大の軽犯罪」ということになりかねない。映画は企画そのものが喜劇になり、なにより「あれだけ大騒ぎさせておいて、日本は何をやっているのか」と世界中から失笑を買うことになるだろう。

(この記事は本日ロイターに配信したものです)