阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2013年10月28日 [reuters]みずほ処分、社外取締役と監査役の責任

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オリエント・コーポレーションとの提携ローンを通じた暴力団員への融資を放置していたみずほ銀行が、佐藤康博頭取(みずほフィナンシャル・グループ社長)ら役員の大量処分を決めるそうだ。各紙によれば常務以上の30人を超える役員が減給や更迭などの受けるという。しかしあまり報じられていない視点があるのではないか。社外取締役と監査役の責任である。

暴力団員への融資は、発覚すれば経営トップの進退に及ぶ問題であることは誰にでも容易に想像がつくはず。そうした問題について、たとえ持ち株会社の社外取締役であっても知らせていなかったのなら、みずほでは社外取締役の制度の趣旨や精神を生かしきれていなかったことになる。社外取締役を持ち株会社だけに置いて傘下の銀行には置かなかったというのは、外形だけを整えて実質を伴わなかったとの批判を免れない。

みずほには持ち株会社の社外取締役としてJXホールディングス名誉顧問(社外取締役には07年6月就任)、昭和電工相談役(同05年6月就任)、日産自動車元副会長(07年6月就任)の3人がおり、社外監査役には公認会計士(社外監査役には06年6月就任)、旧大蔵省出身の元官僚(同08年6月就任)、元最高裁判事の弁護士(同11年6月に就任)の3人が就いている。

持ち株会社の社外取締役・監査役であって、問題の融資を実行していた銀行のそれではないとはいえ、いずれも行内で問題が認識される何年も前に就任していた。それでも知らなかったというのなら、みずほは行内で情報の共有ができていなかったとの誹りは免れないし、社外取締役と監査役は「お客さん」「飾り物」と言われても仕方がない。

さらにつぶさに見ていくと、前述の元最高裁判事は持ち株会社に加えて、問題のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の監査役も兼任。もう一人の弁護士はみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の社外監査役を兼任している。彼らがきちんと監査を行っていたのか、あるいは適切な監査を行いうるだけの情報を得られていたのか、その情報を社外取締役・監査役の間で共有できていたのかは検証されなければなるまい。

10月28日に提出される業務改善計画に記される詳しい経緯や真相を待たねばならないが、「知らなかった」ではすまされない時代が到来しているのだ。

そして彼らがきちんと問題を把握して取締役会で融資を問題視する意見を表明していたのなら、これを生かしてこなかった組織の体質が問題になるのだから、どう転んでもみずほは責められるしかあるまい。

法務省は今国会に会社法改正案を提出する方針で、社外取締役の導入はその眼目になるはずだが、それを骨抜きにする小知恵や浅知恵ばかりを発達させている日本では社外取締役の制度は根付きにくいのだろう。

東証の調べでは、東証1部上場企業のうち社外取締役を導入している割合は前年比7ポイントも上昇して62・3%(8月時点)になったが、日本では社外取締役の導入は根幹から揺らいでいると言わざるを得ない。

(この記事は本日ロイターに配信したものです)