阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2013年7月29日 [reuters]「インデックス摘発」の陰で消えたオンラインゲーム企業幹部

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ゲーム業界関係者の間で、ある人物の行方が密かな話題となっている。

かつて弊誌でも採り上げたことのあるオンラインゲーム企業の幹部社員のことだ。謎の多い人物で、会社勤めの身でありながら世田谷区で経営コンサルティング会社を営み、6月に民事再生法を申請したインデックスに勤めていた頃には循環取引に関わったと言われる。そればかりか外国企業を交えたM&A(企業の合併・買収)でも、こっそりキックバックを受け取っていたのではないかという疑念が投資家の間で持ち上がっている。

このいわくつきの人物は5月頃にも「行方が分からなくなったらしい」との風評が立ち、最近になって再び「(インデックスの循環取引に関わって)逃亡したらしい」「警察から勤め先に正式な身分照会が何度かあり、勤め先は事件になる前に辞めさせたがっている」といった情報が飛び交っている。

この人物はインデックス在籍時代にその複数の子会社で取締役を務め、そこから日本振興銀行(インデックスは一時、振興銀行の循環取引の舞台となった「中小企業振興ネットワーク」に参加していた)へ資金を貸し付けることもあったようだ。その中にはすでに債務超過に陥り、営業の実態がなくなっている子会社もあるから、2010年に日銀出身の木村剛前会長が逮捕されたのをきっかけに振興銀行が破綻に追い込まれ、貸付金が焦げ付いたとみて間違いない。

こうした事案なら警視庁捜査二課が関心を持つと思いきや、むしろ暴力団犯罪を担当する組織犯罪対策部の方が強い関心を持っているようだ。

08年にはインデックスが保有していた学習研究社(現学研ホールディングス)株をこの人物が広域暴力団、山口組に流出させていたのではないかと疑われるなど、反社会的勢力との接点とみられる人物だからだ。これでは勤め先も単なるうわさ話として片付けるわけにはいくまい。

流出した学研株はその後、どうなったか。東証一部上場の不動産会社で、インデックスの大株主でもあったテーオーシーの10年3月期有価証券報告書をみると有価証券明細表に突如、学研の117万株を保有していることが記載されている。インデックス保有分の約4分の1弱に相当する規模で、流出株の一部をテーオーシーが回収したのではないかと勘繰る向きもあったが、テーオーシーは「市場で買い集めたもの。(流出株を)回収したわけではない」と説明、学研は流出株のその後について回答を保留している。

ファクタがこの人物とインデックスについて本格的に追い始めたのは、昨年に先のオンラインゲーム企業がSAP(ゲーム提供業者)の大手を350億円以上で買収してからだった。インデックスの経営が行き詰るのは時間の問題だと見ていたためでもあるが、それ以外に株式市場に対する信頼が大きく揺らぎかねない問題が背後に隠れているとみられるからだ。このSAPは創業者が広島のヤミ金融業者でアルバイトをしていて逮捕されたことがあり、いわくつきのためアングラとの関係を疑われて上場できなかったのだ。

当時、インデックスの落合正美会長は、この人物が落合氏の個人会社の仕事に関与していたことは認めたものの、その英語力を生かして「海外の事業を見てもらっていた」と強調、SAP買収の裏側については知らないと否定している。

インデックスの循環取引や粉飾決算について記事を掲載したのは、この350億円がどこに流れたかという問題の本丸に攻め入る前の外堀を埋める作業に過ぎない。

(この記事は26日にロイターに配信したものです)