阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2013年2月26日 27日のNHK「クローズアップ現代」はチンドン屋になるか

  • はてなブックマークに追加

今回は大丈夫でしょうね? 

本ブログが「日経より悲惨な」と指摘したNHKのレアアース報道について、NHK首脳の関係者から電話をいただき、非公式のコメントとして「ご指摘の通りでした」と案外素直に受け入れられました。

訂正うんぬんは言葉を濁していましたが、実はその踏み絵が目前に迫っています。2月27日の「クローズアップ現代」でレアアース問題を取り上げると予告しているからです。

クロ現の公式ブログによれば、タイトルは「密着レアアース調査船~“脱中国”はできるのか~」だそうで、はてさてどう報道するのか、ワクワクさせられます。

というのは、先のニュース報道はどうやら経済部発だったらしく、1300億円も予算をふんだくっておきながら空振りのレアアース予算の正当化のために、経済産業省が“御用放送”を利用してミスリードした形跡があるからです。

ところが、今回のクロ現のネタは社会部・科学部発らしい。となると、こちらは文部科学省がNHKを上手に乗せて、予算正当化の理由づけにしようとしている可能性があります。

クロ現が放映するのは、文科省傘下の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が今年1月に行った深海調査研究船「かいれい」による現地調査のドキュメンタリーだそうです。

なぜ南鳥島沖か? それは東京大学の加藤泰浩教授の研究チームが昨年6月、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内の海底にレアアースを豊富に含む泥が大量に眠っていると発表したからです。

深海底に眠るレアアースを採集すれば日本の救世主になれる――いかにも文科省官僚のとびつきそうな予算獲得ネタです。JAMSTECはこの調査に同行取材するメディアを公募し、審査の結果選ばれたのがNHKだったというわけです。

なあんだ、JAMSTECの協賛番組じゃないか。

募集要項によれば、「かいれいの活動について、国民及び世界に広くアピール」することや、「南鳥島周辺海域におけるレアアース泥分布の概要の把握について国民が興味関心を抱き、理解を促す」ことが条件になっている。取材前からこんな約束をして、客観的な報道ができるんでしょうか?

海底資源の探索は研究としては面白いが、陸上の鉱山に劣らぬコストで採掘できなければ経済的価値はないに等しい。絶海の孤島周辺の深さ5600メートルにあるレアアース泥を引き上げて、果たして算盤が合うのか、ビジネスマンなら誰もが首をかしげるでしょう。

だが、裏でほくそ笑んでいる輩もいる。予算や天下りポストを増やしたい文科官僚、新しいプロジェクトや調査船が欲しいJAMSTEC、調査船や掘削装置を受注したい造船会社などにとって、こんなオイシイ話はない。中国という「横暴な隣国」に対抗するためだともっともらしい説明をすれば、勉強不足のメディアはコロッと騙され、国民の目をごまかせますからね。

ニュース番組のバラエティ化が進むNHKのなかで、「クロ現」は今や貴重な硬派の番組です。レアアースの「不都合な真実」にもしっかり切り込んだ報道で底力を見せてもらいたい。

税金を投じたJAMSTECの調査をNHKが受信料で取材しておいて、ほとんど文科省の広報番組に終わったら視聴者に顔向けできませんよ。

それに経済部が認めた誤報を、社会部・科学部が的外れな報道をしたら、「やっぱり、NHKの縦割り官僚組織は駄目だ」と烙印を押されることになります。

今からでも間に合います。石田研一放送総局長、放送前にしゃかりきで番組をチェックして、ディレクターの尻をたたき、文科省のチンドン屋でないことを証明する番組にしてください。

これって、クロ現の宣伝みたいだけど、27日の放送を楽しみにしています。