阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2013年10月28日みずほ処分、社外取締役と監査役の責任

    オリエント・コーポレーションとの提携ローンを通じた暴力団員への融資を放置していたみずほ銀行が、佐藤康博頭取(みずほフィナンシャル・グループ社長)ら役員の大量処分を決めるそうだ。各紙によれば常務以上の30人を超える役員が減給や更迭などの受けるという。しかしあまり報じられていない視点があるのではないか。社外取締役と監査役の責任である。

    暴力団員への融資は、発覚すれば経営トップの進退に及ぶ問題であることは誰にでも容易に想像がつくはず。そうした問題について、たとえ持ち株会社の社外取締役であっても知らせていなかったのなら、みずほでは社外取締役の制度の趣旨や精神を生かしきれていなかったことになる。社外取締役を持ち株会社だけに置いて傘下の銀行には置かなかったというのは、外形だけを整えて実質を伴わなかったとの批判を免れない。

  • 2013年10月22日畏友タニトモさんの『市に虎声あらん』書評

    『市(まち)に虎声(こせい)あらん』フィリップ・K・ディック著、阿部重夫訳
    『市に虎声あらん』
    平凡社、2013年8月、550ページ

    本書が一見手を出しにくい難物みたいに見えたとしたら、多分に訳者の衒学趣味からついた題名(「市に虎声あらん」)のせいだ。原題Voices from the Streetを、例えば「あの街路、その声、また声」くらいに訳しておいて、「いま甦る伝説の青春小説」とでも惹句を腰巻に振っておけば、高等学校の司書たちが、新着図書へ加えたがっただろう。

    後述するように、本書は翻訳の技芸で一個独自の境地をつくった。訳の当否巧拙を言うことは、本書に限っては当を得ない。「訳文込み」で、味わうべき一書である。

    鑑賞対象とはこの場合、作者フィリップ・K・ディックの描いた人物、その懊悩、生きる時代と空気であるだけではない。これを、時として明治漢文調の語彙に置き換え、なおかつ青春小説の香気を保ち得た訳文の妙、少なくも、その独自さに存する。

  • 2013年10月 2日「いつかはゆかし」やっと処分勧告

    本誌4月号(3月20日発売)で批判した「いつかはゆかし」で知られるアブラハム・プライベートバンクに対し、証券取引等監視委員会が、ようやく金融庁行政処分を勧告すると報じられた。

    うーむ、三歩どころか、半年も早く本誌は「『いつかはゆかし』の化けの皮」の記事で報じたのに、今ごろ当局が動くとは、ちと遅いなあ。

    ネットを使った派手な宣伝で、本誌の批判にもかかわらず、ここまで生き延びたのは残念でならない。6月末で746億円の契約と豪語しているらしいが、ほんとかね。アルファ・ブロガーの「やまもといちろう」君も公開質問状を送るなどして突き上げていたが、なかなか動かない当局にこちらもハラハラしていた。

    日経の報道によれば、「投資助言業は逸脱していない」とまだ言い張っているらしいが、助言のアドバイス料だけで、あの派手な広告費を賄えないのは誰が見ても分かる。英系運用会社からのキックバックがあったからで、そのからくりを見破ったのは「やまもといちろう」ブログの功績である。

    アブラハムの内部資料によれば、投資好きの個人が開いているかのような複数のサイトを操って、巧妙に「いつかはゆかし」を売り込むステルスマーケティングの手法を駆使しており、金融庁はネットを使ったアブラハムのいかがわしい商法を暴いてほしい。