阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2012年11月19日 [leaks]旧アルゼ(ユニバーサル・エンターテインメント)の第一回答

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前回のブログの続きである。

フィリピン・カジノホテル開発について、ユニバーサル・エンターテインメント(旧アルゼ、ジャスダック上場)の代理人弁護士から、11月13日の日付で以下のような回答をいただいた。

平成24年11月13日

前略

現在、弊社は、国内外においてWynn Resorts, Limited他多数の当事者との間で多数の訴訟を継続中であり、当該訴訟手続の関係上、貴社のご質問に対して正確に回答する為には、多数の関係当事者間の調整、多国間に亘る事実関係の確認及び裏付け証拠の有無、国内外の法令上の制約、関係当事者間における契約上の守秘義務等を慎重に検討する必要があります。

上記事情に鑑みれば、貴社が一方的に設定された本日までの回答期限に、国内外の各種法令、守秘義務等に反せず、客観的根拠に基づいた正確な回答を行うことが不可能であることは、容易に想起できるところと思料致します。このことは、客観的な根拠による裏付けを取られて記事にされるのが当たり前のジャーナリストの方であれば、言を待たずにご理解頂けるものと考えます。

以上のように、弊社が置かれた立場につき、ご了解頂けるのであれば、一方的で偏面的な取材のみによる記事の公表は控えられることを切に希望します。

ところで、貴社は、「関係者から米国現地法人アルゼUSAの内部文書と目される資料を入手いたしました」と述べているところ、貴社が保有している資料ないし情報等は、弊社が秘密に管理している非公知の情報である可能性が高く、不正競争防止法上の営業秘密に該当する可能性が高いものと解されます。又、当該営業秘密が、同法上の不正取得行為によって取得されたことも容易に想起できることと解される為、貴社が、当該不正取得行為が介在したことを知って、当該営業秘密を貴社の事業活動としての報道活動に利用した場合には、貴社自身が同法上の不正競争行為を行ったことになるおそれがあることを念の為申し添えます。

なお、今週中には、何らかの回答をしたいと考えております。

以上にもかかわらず、貴社が一方的な取材をして掲載した記事により、弊社が損害を被った場合、弊社は断固たる法的対応を取りますことを念の為申し添えます。

株式会社ユニバーサルエンターテインメント
上記代理人弁護士 荒井 裕樹

回答期限は質問状で断っているように、弊誌最新号の締切の都合であり、それに間に合わないというのであれば仕方がありません。これは月刊誌としての物理的宿命です。

記事をお読みになればわかるように「一方的で偏面的」な記事とは考えていませんので、記事掲載を先送りする理由にはならないと考えました。弊誌はウィン、ユニバーサルのどちらの肩を持つものではなく、訴訟の過程で今後証拠資料として採用される可能性のある文書についてその影響力を記事にしたにすぎません。

いずれにせよ、不正取得行為云々は、あたかも本誌がニンジャみたいに忍び込んで書類を盗み出したかのような表現ですが、弊誌の取材活動はジャーナリズムの王道にのっとって触法行為を一切しておりません。それは過去7年半余にわたる弊誌のオリンパスその他の報道で貫かれてきました。

しかしながら、ウィンとの裁判の帰趨が、ユニバーサルの経営に重大な影響を与えることは「論を俟たず」(老婆心ながら「偏面的」なる変な言葉を使うくらいなら「論を待たず」も正式にこう書くべきです)明らかです。それを多面的な取材に基づいて記事にすることは社会にも認められたジャーナリズムの使命であって、それを「事業活動」という「偏面的」な捉え方をするのは、弁護士らしい視野の狭さと言えましょう。投資家が当然知るべき、企業にとって都合の悪い事象を公然化させることが、企業秘密の暴露にあたるとは笑止のロジックです。法律を一から勉強し直されることをお勧めいたします。

ま、要するにありきたりの弁護士の脅し文句でしょうが、上記の理由により記事掲載を取りやめる理由にはあたらないと判断しました。出稿の締切日を過ぎ、さらに雑誌の下版日(印刷工程に入る日)も過ぎた16日、正式にご回答いただきました。最初の回答で「今週中に何らかの回答」とのお約束をきちんと守られたことは感謝いたします。

ただ、この正式回答を見ても、雑誌記事を取りやめる理由は見当たりません。幸い、月刊誌の制約をカバーするため、弊誌はこのウェブサイトなどで、随時、新しい情報を補足することができます。よって、次のブログでこの正式回答を公開することにいたします。