阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2012年3月27日 アントニオ・タブッキを悼む

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もちろん、須賀敦子さんの翻訳でタブッキを知りました。

外国語の翻訳物はなかなか気に入る訳がないのですが、須賀さん本人も好きだという短編集『島とクジラと女をめぐる断片』がいい。大西洋に浮かぶアソーレス諸島(ポルトガル領)が舞台なのですが、さりげない会話や描写にはほとほと脱帽させられます。この小説の才能を前にしたら、下手なフィクションを書こうなどという気が起きるはずもありません。

タブッキはイタリア人なのですが、ポルトガルに深く傾倒していました。絶対に存在しない書の影、あるいはコピーに過ぎないという『不安の書』を書いた詩人フェルナンド・ペソアを、たびたびその小説に登場させています。タイトルにもある『フェルナンド・ペソア最後の三日間』はもとより、『供述によるとぺレイラは…』も、ペソアの影がちらついています。

どこか、精妙につくられたフーガのようなところがあって、映画にもなった『インド夜想曲』は、メビウスの輪のように自分で自分を追いかけるような不思議なプロットでした。

そんなことをぼんやり考えていると、証券取引等監視委員会がセラーテムテクノロジーの池田社長と池永元取締役を偽計(金商法)で告発したと発表しました。

我田引水を承知で言えば、このリリースはFACTAの記事にそっくりですね。事件の構図をほぼ完ぺきになぞっていただいたようです。監視委員会にはお礼を申しあげましょう。でも、これって自分で自分を追いかける『インド夜想曲』のような気もしてきました。

FACTAの記事から被告台送りになったのは、先日、有罪判決を受けた日本振興銀行の木村剛元会長に続いて第2号です。続いてオリンパスの菊川前会長兼社長が第3号の列に並んでいらっしゃる。

さて、その次はどなたですかね? 

最後にヤフー掲示板のステマ諸兄、およびその追随者たちに一言。匿名で私に公開質問状を出しても当然回答は出しませんので、念のため。ちゃんと本名を名乗って、覆面を脱がないと答えませんよ。もちろん覆面を脱いだら、きっちり対応させて頂きます。

それとも、自分の虚像のメビウスの輪をくるくる回ってるほうが幸せということでしょうかね。