阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2012年7月26日野村「渡部辞任」報道について思う

    ちょっと予想より数日早かったけれど、7月26日、野村ホールディングスの渡部賢一CEO(最高経営責任者)と柴田拓美COO(最高執行責任者)の二人が辞任しました。

    愛読者の方々はすでにご承知のとおり、この渡部退陣報道ではFACTAは終始先行しており、7月20日発売の最新号でもいち早くこんな見出しで報じています。

    外堀が埋まった野村「渡部辞任」(12年8月号)

    実際の編集は15日下版でしたから、辞任発表を10日早く予告していたことになります。弊誌は2008年2月号(1月20日発売)でも、「野村HD――古賀社長退陣説の『根拠』」をカバーストーリーで報道、3カ月後の古賀退陣、渡部社長昇格を的中させましたから、2代連続で野村のトップ交代を的中させたことになります。「三歩先を読む」弊誌のモットーを実現できたと考えます。

    今回も6月号(5月20日発売)のカバーストーリーで、

    野村「渡部CEO」に退陣圧力(12年6月号)

    という記事を載せ、どのメディアにも先んじて佐渡証券取引等監視委員会との抜き差しならぬ緊張を報じました。それでも野村内には楽観論が流れていたので、7月号(6月20日発売)で続報として

    「野村」渡部の反骨チキンレース(12年7月号)

    を打ちました。最新号の記事はいわばとどめでした。ご購読者以外の方々にも、この三本をフリー公開しますので、FACTAがどこまで先を読めていたか、ご覧いただければ幸いです。弊誌の調査報道を否定したい向きには、はなはだ不都合な結果でしょうけれど。

  • 2012年7月26日JPドメインについての質問状

    インターネットの世界の「入場券」とも言えるドメイン。名刺にネットのアドレスを入れていない人は少数派だが、日本の「…….co.jp」や「…….ne.jp」などの「JPドメイン」の登録料が市場では年3000~4000円もかかり、本家米国の「…….com」(ドットコム)の9ドル(約700円)に比べて割高であることはよく知られている。が、いっこうに改まらない。日本レジストリサービス(JPRS)の一社独占であることをいいことに、そのおいしい暴利を貪っているからだ。日本音楽著作権協会(JASRAC)を摘発したものの、凡ミスで不服審判にも敗北、いまやこの手の話では羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くようになった公正取引委員会になり代わって、FACTAがこの不条理に挑戦する。

    JPRSの母体であり、その株式19・6%を保有する社団法人ニホンネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)に以下のような質問をぶつけた。

  • 2012年7月25日文科省への質問状――福島線量計をめぐる奇々怪々

    小生が日経出身だからというわけでもないんですが、どうもテーマが経済に偏ってしまう癖があり、カネに縁のないわりには、雑誌でとりあげる話題はカネ、カネ、カネ……になってしまって、どうも申し訳ありません。しかし「悪」の物差しにカネほど普遍性のあるものはなく、イデオロギー大嫌い人間としては、そちらに走りがちなことは潔く認めましょう。

    そこで、罪滅ぼしというわけではないのですが、最新号では文部科学省をいくつかの記事でヤリ玉にあげております。東日本大震災の際にSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク)を宝の持ち腐れにし、飯舘村に避難民を誘導してしまった大チョンボをうやむやにしたあたりから、この官庁をマークしていた次第です。

    なぜ文科省か。

    小生は新聞の社会部出身ですが、新入りの時の部長が文部省べったりで(人柄はよかったのですが)、どうも食わず嫌いのまま敬遠したい官庁になってしまいました。スト権ストの収束とともに文教族と結びついた癒着は目に余ったのですが、公共事業などの利権に比べれば小さいせいか、リクルート事件以外にはほとんど捜査のメスが入らず、霞が関の日陰でぬくぬくと生き延びてきたからです。

  • 2012年7月24日「元」新聞記者のお気の毒な文章へ

    「日本のデジタルメディアの先頭を行く日経新聞グループのサイトで、メディア論を展開してまいります」と銘打ってBPネットに元朝日新聞記者の田部康喜氏がコラム「メディアラボ――メディア激動の時代を考える」を寄稿されている。7月6日には、光栄にも「オリンパス報道を考える」と題して、FACTAと小生のことを論じていただいた。尊敬する「元」ジャーナリストが、企業広報に転じて立場を異にした場合、人間性がどこまで変わるかをみごとにご提示いただき、心より感謝申し上げます。

    彼のプロフィールについては、「田部康喜公式サイト」があるのでそちらをご参照いただければ、朝日beエディターを辞めて2002年にソフトバンクの広報室にお入りになり、2009年に顧問に退いて、翌年、ソフトバンクや電通、毎日などの出資でビューンを創業されていることが分かります。

    ソフトバンクでよほど良い待遇だったせいか、be編集長との軋轢や朝日社会部CIAに尻尾をつかまれたことなどはもうすっかりお忘れのようです。朝日にはまだ顔向けできないせいか、日経の子会社の電子版を使ってのまことに堂々たる論陣、いやはや立派なもの。爪の垢でも煎じて飲みたいほどです。

  • 2012年7月21日三菱UFJ関連質問状2――フェニックスなど3社

    「メガバンクの『仮面』」シリーズ<中>で主役に躍り出たファンド「フェニックス・キャピタル」に対しては、もちろん弊誌は質問状を送っています。歴代代表がみな旧三菱銀行出身であること、三菱東京UFJ銀行(BTMU)がメーンバンクである三菱自動車などの再建案件を手掛けていることから、業界でフェニックスは典型的な銀行系ファンドとされています。

    しかし銀行系といえども、ファンドは投資家から預かった資金を投資しており、投資家の利益を図るのが最優先のはずなのに、銀行系ファンドはときに投資家を犠牲にして銀行の利益を優先しています。これは間接金融の銀行の都合を優先させるのか、直接金融の市場原理を優先させるのか、の究極の選択になります。そこにメガバンクの矛盾が凝縮されるのです。

    ニイウスコーのケースは前者を優先し、後者をないがしろにした事例でした。それが許されるのなら、投資家は常に犠牲に供され、市場など要らないことになります。弊誌は直接金融を骨抜きにしようとする三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)などメガバンクは、実はその存在それ自体が「反市場勢力」の本質を潜在させているのではないか、と問題提起したいと考えています。

    調査報道とは抜身の刃のようなものです。彼らの臓腑に届いているかどうか。まずはフェニックス・キャピタル宛の質問状です。

  • 2012年7月20日三菱UFJ関連質問状――日本橋梁と宮地エンジニアリング

    最新号の「メガバンクの仮面」<中>は、ニイウスコー再検証の結果、ニイウスコーの元経営者2人が起訴されて終わったのではなく、現在進行形であることを示しています。

    同社が経営破綻したため、前年の第三者割当増資の引受先ファンドが大損し、その後始末のために三菱東京UFJ銀行(BTMU)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、そして“子分ファンド”であるフェニックス・キャピタルの三位一体で今年1-3月に日本橋梁株の乱高下を仕組み、売り抜けて「損失補填」をしようとした疑いを報じました。日本橋梁のメーンバンクはもちろんBTMU、フェニックスのもとで経営再建中の企業だが、三菱の思いのままに翻弄されている。

    しかも日本橋梁の社外取締役を兼任しているフェニックスの前代表は、かつて三菱証券の悪名を世にとどろかせたEB債(他社株転換社債)の転換価格ワンタッチのため、期限間際に大量に売り浴びせた株価操縦事件で、証券取引等監視委員会の聴取を受けた担当専務です。

    監視委から「またあいつか」の声も聞こえてきそう。6月にはわざとらしい「支配株主」の言い訳――過半数の株式を保有しながら取締役会では過半ではないといった言い訳をしていますが、その乱高下の仕掛けはさながら「ハコ企業」を操る資本のハイエナを思わせるものがあります。

    弊誌は日本橋梁に以下の質問状を送りました。

  • 2012年7月19日三菱UFJ偵察と新たな質問状

    天下のメガバンクも、ノミの心臓ですね。

    18日午後6時、ちょっと時間があいたので、丸の内の銀行会館に寄ってみた。オンライン会員向けに最新号の誌面をウェブで公開してから2時間後である。新聞記者だった時代はよくここに来た。全銀協会長会見や銀行各行が開く懇親会、そしてクラブ関東での食事。そんな古きよき時代になんの未練もないが、この季節は株主総会も終わって、新任頭取や新任取締役の紹介もかねて、いわば名刺交換会のようなものが開かれる。昇格したバンカーにとっては晴れがましい席だ。

    この日はたまたま三菱東京UFJ銀行(BTMU)の記者懇親会が銀行会館の3階で開かれることになっていた。ちょっと闖入して、名刺でも交わそうかと思ったので、新丸ビルから徒歩で銀行会館ホールに向かった。

    何の看板も出ていない。守衛に誰何される。「どちらへ?」。「記者懇へ」。そのまま通してくれたが、なんだか秘密の会合に乗り込むような按配だ。

    3階でエレベーターを降りると、受付にプレートが並び、ずらりといかめしい顔立ちの行員たちが立っている。いつのまに記者懇はクローズドになったのかしら。厳戒態勢ではないか。

    1人がすうっと近づいてくる。「どちらさまで」。「FACTAです」。空気が凍りついた。メンが割れていたのか、「阿部さんですか、いつもお世話になっております。ここから先はちょっと……」

    招かれざる客は、シャットアウトということだろう。総会屋みたいに声を荒げて暴れまわるとでも思っているのだろうか。ほとんど猛獣みたいに見ている。いやいや、それも半ば覚悟のうえだったが。

  • 2012年7月16日Paparazzi2

    やれやれ、いっぱいタレコミが来ますね。怪文書まがいのものもありますが、とにかく御礼申し上げます。内情が手に取るようにわかります。

    タレこんだ方々は内部とお見受けしますが、弊誌でも撃てというご催促なのでしょうか。

    でもねえ、ちょっとインサイダーすぎます。文春に敬意を表して、ここはしばらくPaparazziの第二弾。今度は韓国のK-Pop「少女時代」で勘弁してくださいませ。

  • 2012年7月 9日Paparazzi

    パパラッチにやられた人に捧げよう。レディー・ガガが歌う『Paparazzi』の歌詞を。

    But this photo of us(だけど、この私たちの写真)
    It don't have a price(値段なんてつきゃしない)
    Ready for those flashing lights(フラッシュを浴びる準備は?)
    'Cause you know that baby I(だって、ベイビー、ご存じのとおり)
    I'm your biggest fan(私ははあなたの一番のファン)

    I'll follow you until you love me(愛してくれるまで追いかける)
    Papa-paparazzi(パパラッチ!)
    Baby there's no other superstar(ベイビー、ほかにスーパースターなんかいない)
    You know that I'll be your(知ってるでしょ、私はあなたの)
    Papa-paparazzi(パパラッチ!)

    秘書室長殿、ご愁傷様です。

  • 2012年7月 6日慶応義塾への第2公開質問状

    6月にお送りした質問状に、たった1行「お答えできません」という大変示唆的なご回答をいただきまして有り難うございました。さて、このブログで予告しましたように、経歴詐称問題を義塾の他の教員の方々にも戦線を拡大していこうかと存じます。どこにでもホイッスル・ブロワーはいるもので、弊誌に以下のような情報が寄せられました(もちろん弊誌は独自に確認作業を行っており、この内部告発は一部加筆および削除を加えてあります)。

    中村伊知哉(大学院メディアデザイン研究科)教授の盟友の菊池尚人(同研究科)准教授も、DMC途絶後もずっと「KMD准教授」とし続けていたので、調べてください。こちらはキム氏の経歴詐称が話題になった後に「特任準教授」に直していますが、たしかその前は特別招聘准教授でしかなかったはず。でも自らがビジネスでやっている東京コンテンツブロデューサーズラボなどでも慶應KMD准教授を名乗っていたのですから学生集めにおいてかなりまずいですね。

    しかしこの件は一准教授の経歴詐称より重いものにつながっています。慶應の教員採用の実態と、産業界や官界との癒着です。特に竹中平蔵氏などがかかわっている情報通信業界です。これは安西(前塾長)体制のときに極みに達した部分で塾内でも批判が大きく、清家(篤現塾長)体制ではそういう面は一掃しようとしています。

    IT系の教員の研究実績などをグーグル・スカラーなどで調べてみてください。キム氏に研究実績がないとの指摘がありまたが、中村伊知哉教授、岸博幸教授などのKMD組にも、霞が関経験はあるものの学術論文など一本もありません。国領二郎総合政策学部長兼教授も著名なので、みんなたいそうな学者だと思い込んでいますが、研究実績は非常に乏しい。さすがに中村・岸両教授よりは多少ましですが。SFC系の教員も大半がそうです。

    こうした人たちはIT業界と深くつながり、かつ、総務省や経産省ともつながっています。岸教授はエイベックスの社外取締役で、中村教授はミクシィの社外取締役、その他、いろいろなビジネス系の役職を兼務しています。国領学部長はNTTのOBで、NTT系の多額の資金を得ています。こういう人たちが、「慶應大学教授」という肩書きで政府系の役職に就いて、教員の数倍の報酬をビジネスで稼いでいる。逆に、慶應は安西体制のときに、教授ポストを著名人に非常に低報酬で提供し、副業で儲けなさいという方針をとりました。その結果、学術実績が何もない著名人が慶應の肩書きを実質的に買い、慶応教授
    の肩書きを使った副業で儲けるという構図ができています。

    もちろん、学者の意見が各種審議会委員などを通じて政府に反映されるのは決して悪いことではありませんが、それはあくまで「学者」としての中立的・学術的な視点を期待されているのであって、学術的な業績が何もない、単に産業界や官界とのパイプが強いだけの人が「慶応教授」ということで委員に任命され、政府とのパイプで副業を稼いでいる。

    政府の側でも、自分たちが仲良くしたい産業界とパイプの強い(というより学者でも何でもなくそれしか取り柄がない)元官僚などの委員が、学者という隠れ蓑で産業界寄りの意見を言ってくれるのは助かるわけです。中村伊知哉教授の発言など追ってみると面白いですよ。これに対し、本格的な研究業績のあるIT経済の研究者などは、電波オークションの実施などを主張するので、委員からは外されます。

    本来、政府の委員に就く人は、関連業界からどのような報酬や研究費をもらっているか開示すべきであり、また、大学教授として委員に就く人には学術的な業績を求めるべきでしょう。慶應のような学術的業績ゼロでも「一流大学教授」のポストを与えてしまう大学がある以上、「一流大学教授」というだけで学者委員を審議会委員などに入れることはやめるべきです。

    とにかく、DMC+KMD+SFCには胡散臭い教員がたくさんいるので、今後、そういった方面での調査も進めてもらうことを期待します。これは、慶應に限らず、日本の御用学者文化全体につながる問題だと思いますが、慶應とIT業界と総務・経産省が、私が知る限りでは最もひどい癒着を起こしています。

    なかなか立派な内部告発ではありませんか。さらに別の内部告発が届いております。

  • 2012年7月 4日JOGMECへの公開質問状

    JOGMECと言ってもご存じないかたもいらっしゃるでしょうが、かつての石油公団と非鉄の金属鉱業事業団が合併して2004年に生まれた「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構」のことである。公団と事業団の双方に配慮したための官僚らしい長たらしい名前で、誰も覚えられないから英語の略称で呼んでいる。私も川崎駅前の機構本社にシェールガスの取材に行ったことがある。

    実は3.11以降、原発停止による電力エネルギー危機に陥った日本は、原油、LNG、石炭など旧来の化石燃料調達に走ったため、海外で資源確保の最前線に立つJOGMECは、総合商社とともに今や日本経済の命綱を握る存在となっている。

    だが、いくら背に腹は代えられないとはいえ、足元を見られた日本のバイヤーは、バーゲニングパワーを失って高値づかみ。26日付の日経朝刊商品面の「多面鏡」コラムが示すように、東電の火力発電燃料が「割高」であることが明らかになっている。コラムは経済産業省の電気料金審査専門委員会の資料をもとにしているが、もちろんこれは足元の数字だけ。今後もいったい何年間、こうした割高資源を日本は買わなければならないのか。それはどれだけ日本製品のコスト上昇に跳ね返るのか。