阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2012年4月20日大鹿靖明著「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」書評

    2月27日のブログでも紹介しましたが、4月8日の北海道新聞朝刊に書評を寄稿しましたので、こちらも掲載します。

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    「もうこのへんで」。伏し目がちの医師がささやく。半透明のカーテンの彼方の生ける屍(ネオモール)。肉親たちは無言でうなずく。人工心肺のスイッチが切られ、奇妙な静寂が訪れた。変哲もない臨終の光景である。

    だが、この隠微な安楽死の光景は、「3・11」以降の東京電力でもある。福島第一原発はチェルノブイリと同じく「石棺化」するしかない。浜通りのゴーストタウンは、すでにウクライナの草むす無人地帯と化した。ウサギ追いしかの山も、小ブナ釣りしかの川も、もう戻らない。誰も想像できなかった「終末」が日常に出現したのだ。

    死に体の東電を生かしておく、気の遠くなるようなコストと時間。それを誰も口にする勇気がない。だが、最適解はどこにあったのか。

  • 2012年4月18日嵐の公開質問状シリーズ2 ネクシィーズとトーマツ

    SBIに出した第4質問状と同じく、SBIアラプロモ(SBIファーマに社名変更)の怪しい「益出し」――特別利益計上の根拠について、株式の一部売却先であるネクシィーズと監査法人のトーマツに問いただしたものです。

    まずはネクシィーズの近藤太香巳年社長あてに。

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    (株)ネクシィーズ 
    代表取締役社長
    近藤太香巳年様

    SBIグループとの取引について

    ファクタ出版株式会社
    月刊FACTA発行人 阿部重夫

    拝啓
    時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。ご承知かと存じますが、弊誌はSBIホールディングス(“以下SBI”)についての記事を2012年1月号、4月号で掲載しております。同社は本誌に対して名誉棄損の損害賠償請求を東京地方裁判所に提訴しておりますが、本誌はさらなる記事を準備中であり、先日発表された御社とSBIホールディングスの取引についてお尋ねさせていただければ幸甚と存じます。質問は以下の通りです。

    1)3月30日、SBIは、関連会社のSBIアラプロモ(株)(以下アラプロモ)を「複数の事業会社等」に5.83%売却し、約42億円の特別利益を2012年3月期に計上すると発表いたしました。この今回取得した「複数の事業会社等」の中に御社ネクシィーズは含まれているのでしょうか?

    2)御社の2011年9月期有価証券報告書の中には、御社が投資有価証券としてアラプロモを194株、帳簿価格199,542千円で保有していると記載されています。2010年9月期には保有されていませんでしたので、2010年10月~2011年9月の間に取得されたと思いますが、取得されたのはいつですか?

    3)御社有の価証券報告書上のアラプロモ株の簿価は一株102.8万円となります。アラプロモはSBIの決算説明会資料によれば、2011年3月通期で営業損失11億円、2012年3月3Q累計で8億円の営業損失です。アラプロモの直近増資は2009年12月から2010年11月までの期間に行われた一株5万円であります(SBIライフサイエンス・テクノロジー投資事業有限責任組合の有価証券報告書より)。なぜ直近の増資時価格の20倍という高い評価で赤字会社の株式を購入されたのですか。御社の払った値段でのアラプロモの企業価値評価は700億円以上になりますが、そう評価した理由をお教えください。

    4)御社の2011年9月期有価証券報告書の中には、「その他の投資有価証券」としてSBIイノベーションファンド2号投資事業有限責任組合900口を900,000千円、SBIブロードバンドファンド1号投資事業有限責任組合5口を335,043千円、SBIビービ-モバイル投資事業有限責任組合2口を157,571千円、SBI・NEOテクノロジーA投資事業有限責任組合2口を128,996千円、保有されています。これらの組合への投資も2010年9月期には記載がありませんので、2010年10月~2011年9月の間に取得されたと思います。これら4つのファンドのうち、SBIイノベーションファンド2号投資事業有限責任組合とSBIブロードバンドファンド1号投資事業有限責任組合は運用期間が終了しているはずです。SBIイノベーションファンド2号投資事業有限責任組合は出資者の当初出資額の100万円/口で評価されています。これらのファンドは誰からどういう事情で取得したのですか。

    以上でございます。近藤社長が尊敬する北尾氏にもこの件で質問状を出しています。
    御社も上場会社として株主に説明責任がありますので、お忙しいところ恐縮ですが、4月11日までに文書または電話か口頭でご回答いただきますようお願い申し上げます。敬具

    4月6日

  • 2012年4月17日嵐の公開質問状シリーズ1 SBI第四質問状

    ブラックアウトが終わりましたので、これから嵐のように質問状シリーズを続けます。第1弾はいまや訴訟でどちらが倒れるかの力相撲になっているSBIホールディングスから。先月は「後出しジャンケン」であれだけ威勢よくリリースしたのですが、その後に追撃でこのブログに載せた第三質問状にはまた沈黙。FACTAが今月の最新号の取材で送った第四質問状にも期限の11日までに答えませんでした。

    ところが、13日には、質問状で聞いたSBIアラプロモ(社名変更でSBIファーマ)でリリースを発表して、またもや「後出しジャンケン」に出ました。このリリースだけじゃ、いかにも唐突すぎて、一般の人は何のことかわかりますまい。FACTAの追及に対する苦し紛れの後付け理屈なのです。

    サプリの赤字子会社で、創薬の研究開発機能などなきにひとしいのに、弊誌に痛いところを衝かれたものだから、慌ててバーレーン政府と基本合意などというとってつけたようなリリースをだしたものと思われます。それでも時価総額720億円などという値がつくようなニュースとは思えませんが、これで市場の目をくらませるとでも思っているのでしょうか。

    質問状は以下の通りです。

  • 2012年4月16日ウッドフォードの本の読みどころ

    オリンパス報道で第18回雑誌ジャーナリズム大賞を受賞した山口義正君の『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)に続いて、元CEOマイケル・ウッドフォードの『解任』(早川書房)も出版されました。自分が登場人物の一人になっているので、これはだれかに書評はお任せするのが妥当でしょう。

    山口君の本は、本誌次号で高田昌幸氏の書評が載りますので、そちらをよろしく。

    高田氏は北海道警の裏金問題をスクープして2004年度の新聞協会賞を受賞した元北海道新聞の記者です。その後、道新が訴えられ、新聞社と警察が手打ちする形となって、彼は新聞社を辞めました。

    しばらく浪人で、新橋で朝日の新聞協会賞受賞記者と3人で飲んだことがあります。道警問題に踏ん切りをつける新著『真実 新聞が警察に跪いた日』(以文社)を出版しました。こちらも読んでいただくと、新聞の現状がよく分かります。そしてこの4月からは故郷の高知に帰って、高知新聞社に入社して、久々に報道の最前線に戻りました。そこで、彼に書評をお願いした次第です。

  • 2012年4月 9日すでにブラックアウト

    例によって編集期間に入りましたので、しばしブログはお休みです。今回はあちこちに質問状を発して、先週はブログを書いている暇なし。再開したら大忙しとなるでしょうが、送った先の方々のみならず、読者のみなさんもお楽しみに。