阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2012年3月27日アントニオ・タブッキを悼む

    もちろん、須賀敦子さんの翻訳でタブッキを知りました。

    外国語の翻訳物はなかなか気に入る訳がないのですが、須賀さん本人も好きだという短編集『島とクジラと女をめぐる断片』がいい。大西洋に浮かぶアソーレス諸島(ポルトガル領)が舞台なのですが、さりげない会話や描写にはほとほと脱帽させられます。この小説の才能を前にしたら、下手なフィクションを書こうなどという気が起きるはずもありません。

    タブッキはイタリア人なのですが、ポルトガルに深く傾倒していました。絶対に存在しない書の影、あるいはコピーに過ぎないという『不安の書』を書いた詩人フェルナンド・ペソアを、たびたびその小説に登場させています。タイトルにもある『フェルナンド・ペソア最後の三日間』はもとより、『供述によるとぺレイラは…』も、ペソアの影がちらついています。

  • 2012年3月25日SBI追及へCrowdsourcing

    SBI将軍様との全面戦争は、インターネット上の戦争でもあります。SBI証券(旧Eトレード)が傘下にあるので、それならお手の物と言いたいのでしょうが、そうは問屋がおろしません。水に落ちた牛に群がるピラニアのような「エミールと探偵たち」のような戦い方もありますから。

    どうやら将軍様は、覆面社員にヤフー掲示板を占領させて、他の投稿を削除させるステマ(ステルス・マーケティング)に励んでおられるようです。バレバレですよ。kabutennjinnと牛丼がかけあいで繰り広げるけなしあいだなんて。FACTAは創刊前からソニーのステマを叩いていますので、正体はまる見えです。80年代の株式市場で株価操縦やり放題だった野村の手口を、そのまま踏襲ですか。これは相当焼きが回ってますね。

    SBIに泣かされた投資家のみなさんは、本当にお気の毒です。でも、SBIステマ部隊が消し忘れた掲示板の投稿をひとつご紹介しましょう。

  • 2012年3月24日SBI「将軍様」への第三質問状

    このブログ、しばらく休んでいたので、さぞかし北尾将軍様は、鼻の孔を広げて枕を高くして寝ていたかと思います。

    後出しジャンケンがお得意の将軍様が、後からどんなパンチを繰り出してくるか、キンシャサのモハメド・アリみたいに、グローブの間からじっと相手を見ていました。正直、にやりと笑う心境になりました。わーわー言えば言うほどボロが出てくる。突っ込みどころ満載ですから。

    訴状は確かに届きました。1億5245万円の損害賠償請求と、FACTAおよびFACTAオンラインに謝罪広告を6カ月掲載せよ、というものでした。厚さ4センチもある写しが東京地裁から郵送されましたが、ほんとにコケおどしですね。本体は20ページばかりで、あとは謄本ばかり。訴状まで上げ底なんですね。

    グループ総力をあげての反論も回答書、通知書、それにリリースからヤフー掲示板までじっくり拝見させていただきましたが、肝心なところは「契約上の守秘義務」とやらで、都合が悪くなるとイチジクの葉っぱの癖が丸見えです。

  • 2012年3月19日SBIホールディングスへの第二公開質問状

    3月8日にSBIホールディングスが出したリリースによると、同社は弊誌を名誉棄損で訴え、東京地裁で訴状が受理されたそうです(訴状がまだ届いていないので詳細は不明ですが)。

    1月号の記事に対し、SBIホールディングスおよびSBIインベストメントの代表取締役CEOである北尾吉孝氏から届いた訂正要求と警告文(いずれ公開しますが)で、また書いたら訴えるとの趣旨の脅し文句を忠実に履行したものと思われます。

    なぜなら、リリースを出す前日、弊誌は第二弾を準備中と宣言したうえで、北尾氏に昨年12月15日にこのブログで公開した質問状に続く第二質問状をお送りしたからです。訴訟好きの北尾氏、追い詰めればそう出るだろうことは承知の上でした。

    前回はコーポレート・インフォメーション部から文書回答をいただけたのですが、今回はいきなりリリースで、うんともすんとも言ってきません。回答の意志があるかどうか、2月12日に確認の電話を入れたところ、「係争中なので回答はありません」と返答してきました。

    「では、存分に書かせていただきます」と言いましたが、FACTA最新号にこちらもお約束どおり、「SBIが『連結外し』隠蔽」という記事を掲載し、オンライン上で公開された18日になって、SBIはリリースだけで回答してきました。奥ゆかしいですねえ。記事が出てからでないと回答できないのですか。後出しジャンケンとは、恐れ入りました。それだけ必死なのだ、と理解します。

  • 2012年3月18日訂正

    3月20日発売の最新号(12年4月号)の雑誌版で、ミスがありましたので修正します。

    22-24ページの高橋洋一氏寄稿の「『人身御供』白川日銀哀れ」の記事で以下の部分です。

    23ページ2段目、11行目「そ他のの中で」は「その中で」に修正
    24ページ3段目、「14日の日銀の措置で5年ほど円安」は「5円ほど円安」に修正

    オンライン版では修正してあります。
    雑誌版は印刷の関係上、間に合いませんでした。

  • 2012年3月16日雑誌ジャーナリズム大賞とオリンパスの人事

    ブラックアウト期間を終わってでてきたら喜ばしいニュースが二つ。

    ひとつは山口義正記者が弊誌におけるオリンパス報道で、第18回雑誌ジャーナリズム大賞を受賞することになりました。95年から毎年、編集者の投票で選ばれるもので、主宰者の講談社から大賞受賞の知らせを受けました。30日に授賞式です。山口記者、おめでとう。

    もうひとつは、オリンパスのポチが出世したこと。

    オリンパスの4月1日付の人事には苦笑しました。拘置所行きとなった菊川元会長のポチだったお二人が、みごと出世を遂げていらっしゃった。これまた、おめでとう。あなたがたはその厚顔無恥で歴史に残るポチ・サラリーマンの鑑です。

    まず、広報・IR室長だった南部昭浩氏。みごと財務本部長・経営企画本部長の重要ポストを射止めました。FACTAの追及にはまったく答えず、必要なことはすべて開示しているとの大ウソをつき通し、はては当初記者会見ではFACTAを「場所がないから」と締め出した張本人です。

    株式市場を欺き通し、オリンパス株をどん底に陥れた広報の中心人物で、FACTAに内通した人物は誰かと嗅ぎまわり、市場にも一言も謝らなかった彼が、これからはオリンパスの財務の柱になるのです。また不正をやってもバレさえしなければ、上場廃止にならないと高をくくったんでしょう。これからも株主のカネを横取りし続けるのでしょうか。

    そしてもう一人は秘書室長だった百武鉄雄氏。彼は南部氏の後釜の経営企画本部広報・IR室長だそうです。

  • 2012年3月 8日オリンパスの“別件”で群栄化学をやるなら

    3月7日付読売新聞朝刊によれば、オリンパスの飛ばし請負人、グローバル・カンパニーの横尾宣政代表ら3人が警視庁にオリンパスとは“別件”の詐欺容疑で再逮捕されるという。

    “別件”と言っても、被害者がオリンパスではなく群栄化学(東証1部)だった点が違うだけで、舞台になったのはオリンパスの損失穴埋めに利用されたアルティスなど国内3社。オリンパスはこの3社を700億円以上も出して買収したが、群栄にも3社の株を高値で売り付け3億5000万円を詐取したという容疑だ。

    実は、2011年11月22日のこのブログで「群栄化学は何してる?」と題して書いているから、ブログでもプチスクープしたことになる。警視庁もたぶんヒントにしたのだろう。読売によると、群栄の元役員は「だまされた」と言っているそうだから、ブログで書いたように横尾グループの餌食になった企業はまだあるということだ。

  • 2012年3月 7日セラーテムのフィナーレ

    池田社長、宮永元CFOら3人が逮捕されました。これで「FACTA銘柄」にまた鉄槌が下ったことになります。

    さて、1年半前の10年9月号でスクープしたFACTAの取材に対し、けんもほろろだった大証ジャスダックはセラーテムを6日に監理銘柄にしましたが、その先はどうするのでしょうか。ジャスダックの上場廃止基準に照らしても、金商法違反(偽計)容疑ですから、「その他事項」の虚偽記載にあたるはずです。

    さらにこういう説明があります。

    適時開示規則や企業行動規範に違反した場合,最も厳しい措置は上場廃止ですが,一度の違反で上場廃止にまでは至らないケースであっても,その重要性に応じてペナルティ措置としての公表措置(2回目以降は警告と呼びます)を講ずることがあります。繰り返し違反を行う企業は上場会社としての資質に欠けると判断されることから,大証市場では,5年間に3回の公表(警告)措置を講じた場合には上場廃止とします。

    FACTAの報道から、大証ジャスダック(旧ヘラクレス)はセラーテムに対し一度も警告の公表措置をとらなかった。われわれの指摘を無視し、一貫してセラーテムを守ってきたのです。

    セラーテムと裏表になっているチャイナ・ボーチーを1部に上場させている東証も同じでしたね。何度も取材し警告を発したのに、山西省の発電所建設予定地にペンペン草が生えていて建設などまったく進んでいない証拠写真を撮ってきても、FACTAはシカトされ続けてきた。

  • 2012年3月 5日hangoverとoverhang

    自分も新聞1面の最下段にあるコラム(朝日なら「天声人語」、日経なら「春秋」)を書かされていた時期があるから、あんまり後輩のことは言いたくないが、ある知人からこんなメールが届いた。

    日経の一面に昨日(2月29日)登場した「債務の二日酔い(Debt hangover)」なる言葉。正しくは勿論Debt Overhang(債務過剰状態)。裏の理屈までわかっていて、overhangをひっくり返したのなら、筆者(署名記事でしたね)を尊敬するが、記事のトーンからはそういう諧謔性は感じられない。今朝の「春秋」までが「債務の二日酔いなる表現を・・・初めて知った」とやっている。我々ももちろん初めて知りました。だって、日経が昨日初めて「発明」した表現なのだから・・・がんばれ、日経!

    ひとこと付け加えておくが、あちらではdebt hangoverという言い方もdebt overhangという言い方も両方存在する。フレーズ自体は日経の発明ではないが、訳語の「二日酔い」は、ま、発明に近いかな。あるサイトでは前者が