阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2011年12月15日 [leaks]目黒のサンマでなく「目黒の8万」 財務事務次官・勝栄二郎氏の家賃

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昨日は東証上場の新華ファイナンスへの質問狀とその回答書を公開しましたが、今日は「影の総理」とされる増税総司令官の勝栄二郎・財務事務次官に関するやり取りを公開したいと思います。

この不況下で増税を強行しようとしている野田佳彦総理の背後で黒衣に徹しているのが財務省一家ですが、そのトップが住んでいるのが家賃激安の公務員住宅です。写真を撮りに行ってみましたが、一等地の高台のはなに城塞のように聳えたって、下々を睥睨するような12階建ての立派な集合住宅でした。

あきれるというより、こんなところに住んでいながら、「民間社宅なみ」と強弁する神経には恐れ入ります。だいたい、大企業でもこんな一等地に250戸もの社宅を抱えるところはそうはありません。首都高速の音もこの高台のうえまでは届かず、閑静かつ景色のいい場所でした。

これを役得とみる意識がまったく欠けているお役人に、「官のムダ削減はもう限界だから、あとは増税で税収増を図るしかない」と言う資格があるのでしょうか、というのが素朴な疑問です。

というわけで、FACTAは財務省に以下のような質問状を送りました。

財務省広報室御中

勝栄二郎事務次官の公務員住宅について

ファクタ出版株式会社
発行人兼編集主幹 阿部重夫

拝啓

師走の候、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。弊誌は調査報道を中心とする月刊情報誌で、最近はオリンパス報道などでお聞き及びかと存じます。さて、財務省は12月1日、国家公務員宿舎を今後5年メドに25・5%削減する(5万6千戸減)計画を発表されました。そこで弊誌は、財務省事務方の最高責任者である勝事務次官が入居されている公務員住宅について取材を進めています。朝霞、方南町問題など公務員住宅は国民の関心事ですので、事実確認も含めて以下の質問にお答えいただければ幸いです。

1. 勝事務次官は東京都目黒区××の公務員住宅に入居していますか。

2. お住まいの広さは何平米、民間でいう4LDKでしょうか。

3. 次官の入居棟は築5~10年と考えてよろしいですか。

4. 民間サイトが国家公務員宿舎法や関連法規などから試算した家賃は、90平米、築10年の4LDKで月85860円ですが、勝次官も月8万円台の家賃を支払っていると考えていいでしょうか。

5. 渋谷に近い周辺相場は、同条件なら30万円をくだらないと思われます。差額分について民間では家賃補助とされますが、勝次官はこの差額について課税されていますか。

6. 勝事務次官の年収はいくらですか。公務員住宅に入居している理由は何でしょうか。

あらまし以上です。個人のプライバシーを盾に回答を保留なされば、歴代政権のもとで不退転の決意で増税路線を進めてきた財務省トップのしめしがつかなくなることを危惧します。ご多忙中まことに恐縮ながら、締切もございますので、12月9日(金)までにご回答いただけますよう、心よりお願い申し上げます。    敬具

税制改正大綱の議論のまっただ中だったので、香川俊介官房長はカッとしたらしい。財務省の知り合いからたちまちメールが飛び込んできて、ぜひご説明をと言われました。上司思いのその熱心さには心を打たれますが、FACTAは個人攻撃を狙いとする雑誌ではありません。これはあくまでも仕事、と公式回答を求めました。さて、財務省がどんな回答を書いてくるかと楽しみにしていましたが、まったく想定の範囲内で、正直がっかりさせられました。12月9日付の回答はこうです。

ファクタ出版株式会社
発行人兼主幹 阿部重夫様

公務員住宅にかかる件について

ご質問頂きました件につきましては、特定職員の個人情報であるとともに、政府関係者の安全確保等にかかる危機管理体制上、外部への漏出防止を徹底するとされていることから、お答えすることはできないことについて、ご理解のほど、宜しくお願い申し上げます。

なお、幹部職員に貸与される宿舎は、通常e企画(80㎡以上)となります。宿舎使用料は、国家公務員宿舎法に基づき、標準的な建設費用の償却額、修繕費、地代等に相当する額を基礎とし、かつ、居住の条件その他の事情を考慮して、個々の宿舎毎に、決定しております。

課税の取扱いにつきましては、民間企業の社宅と同様、所得税法等の定めに従って、適正に取扱いがなされております。

災害対策本部の本部長等を務める立場にある事務次官は、政府の迅速な対応が求められる事件・事故等が発生した際、緊急参集する必要があります。緊急参集する必要がある職員等については、国家公務員宿舎への入居が認められています。また、事務次官職の年収は、一般職の職員に関する法律上、2200万円程度となっています。

(参考)「政府関係者等への攻撃等に対する危機管理体制について(申し合わせ)」(平成20年12月4日副大臣会議)(抄)

各府省は、平成20年11月18日に発生した元厚生事務次官等連続殺傷事件を重く受け止め、この種事件による被害の再発防止を期し、政府関係者等への攻撃に対する管理体制を強化する。

4 職員の個人情報の漏出防止の徹底
 職員六等、府省関係者の氏名・住所等が記載されている資料の取扱いに留意するなど、職員の個人情報への漏出防止を徹底する。

財務省としては、他の問い合わせもあり、この回答(事実上の無回答)でご理解いただきたいという態度です。もちろん、勝次官が暴漢に襲われることなど本誌も望みませんが、これだけ書面では厳重警戒を言っている割に、現地を視察してみると、まるでノーガードでした。

しかしながら、こちらの取材に対し、国家公務員の幹部職員(指定色俸給表適用クラス)4231人のうち、公務員宿舎に入居しているのは2277人。そのなかでe規格に該当するのは1202人。勝次官も当然、その中に含まれているはずですが、財務省はわざわざ内訳を裁判所748人、法務省242人、防衛省65人としてきて、つまり判事と検事と防衛関連が大半だと強調しています。

しかし、残る147人のうち財務省が何人かは明かしていません。

さらに、過去にも家賃などの宿舎使用料の改定が行われており、昭和62年24.5%、平成4年18.5%、平成16年12.3%、平成19年12.3%と逐次上昇してきたことを強調していましたが、デフレ下で上げるというのはもとがあまりに安すぎたからでしょう。目黒のケースのようにそれでも市価の3分の1なのですから。

税金については、民間相場との差額ではなく、固定資産の評価額に一定割合(ケースバイケースで分からないようになっているところがミソ)をかけて基準価格を割り出したうえで、その基準価格との差額が50%以上の場合は税金を払うことにしているそうです。

それは「民間と同じです」と強調していましたが、価格ではありません。民間の社宅と同じという意味です。こういう形式だと、基準価格を芽いっぱい低く見積もる操作が可能になっていると思います。国税庁は身内ですから、次官に気配りするのは当然でしょう。

この公務員住宅の一帯は、江戸時代は鷹狩の猟場だったようで、維新後は陸軍の乗馬学校などがあり、敷地内には明治天皇や大正天皇がそこから乗馬の様子を見たという「天覧台」の石碑が立っています。

そういえば「目黒のサンマ」もここらがいわれでは? 笑点のダジャレみたいですが、「目黒のサンマ」ならぬ、「目黒の八万」。だれか、思いっきりカラシのきいた落語にでも仕立ててくれないでしょうか。