阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」

2011年12月14日 [leaks]オリンパスよりも悪質な新華ファイナンス

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ブラックアウト期間中ですが、次号記事に関連して、あちこちに質問状を発していますので、次号の刊行に先だって、その応酬を事前に公開していきます。まずは中国銘柄。

FACTAが不正会計疑惑を指摘した上場企業はオリンパスだけではありません。2004年に東京証券取引所の中国系企業第1号としてマザーズに上場した新華ファイナンス(現新華ホールディングス)は、オリンパスよりも悪質で日本の資本市場を愚弄する存在と言えます。

本誌7月号の記事(「東証赤っ恥『新華』創業者起訴の真相」)で報じたように、創業者で前CEO(最高経営責任者)のフレディ・ブッシュを含む元役員3人が、在任中のインサイダー取引、粉飾決算などの容疑で米国の裁判所に起訴されています。米連邦捜査局(FBI)が3人を捜査し大陪審が起訴を決定したということは、米司法当局が新華の粉飾決算を指摘したのと同義です。

にもかかわらず、新華は「現在の取締役及び取締役会は、本件起訴に関わる取引については、一切存じ上げません」という声明を出したきり知らん顔。オリンパスのように第三者委員会を設けて起訴事実を調査したり、過去の決算を訂正したり、会社として元役員を告発する気はさらさらないようです。オリンパス以上に悪質と言えるゆえんです。

こんな企業がなぜいまだに上場を許されているのか、理解に苦しみます。オリンパスは今日(12月14日)、損失隠しの発覚で遅れていた2011年4-9月期決算を報告し、それを受けて東証(自主規制法人)が上場廃止にすべきかどうかを審査することになっています。しかし新華のようなイカサマ企業を野放しにしている東証に、まともな判断力があるとはとうてい思えません。

本誌は6月に新華に取材を申し込みましたが、当時のCEOのジェイ・リー氏は拒否。その後、リー氏は新華を去り、11月1日付でワン・ビン氏が新CEOに就任しました。今回本誌が改めて取材を申し込んだところ、ワン氏も取材は一切お断りだそうです。

そこで、本誌が新華に送った質問状(原文は英語)と、同社IR部の濱田拓男マネジャーの電子メールによる回答文を公開しましょう。

まず質問状から。

新華ホールディングス
最高経営責任者(CEO)
ワン・ビン博士

5月10日、新華ファイナンスの元CEOであるロレッタ・フレディ・ブッシュ氏と元取締役のシェリー・シングハル氏およびデニス・ペリーノ氏が、米国の大陪審により共謀、郵便詐欺、決算書類の虚偽記載などの容疑でコロンビア特別区連邦地方裁判所に起訴されました。これに対し、貴社は5月12日に「当社は、この度、本件起訴に関する事実を認識し、現在、本件起訴の状況及び事実関係を調査中です」という声明を発表しています。

起訴状によれば、元CEOと2人の元取締役の行為は米国と日本の証券法規に明らかに違反するものです。有罪判決が下った場合、貴社は日本の金融庁および東京証券取引所に提出した過去の決算書類を修正する必要があり、それを怠れば上場廃止となるはずです。

同じく起訴状によれば、元CEOと2人の元取締役は2005~2006年頃、貴社のバランスシートを操作して資金を着服しました。あなた(ワン博士)は2004~2006年にかけて取締役を務めており、少なくとも役員としての善管注意義務があったはずです。加えて、あなたは現CEOとして徹底した調査を行い、貴社が被った損害を賠償させるため元役員らを告発する義務があるはずです。

私どもは6月に前任者のジェイ・リー氏に取材を申し込みましたが、彼は拒否しました。今回あなたが新CEOに就任し、12月16日に投資説明会を開催するため東京を訪れますので、ここに改めて取材を申し込みます。

私どもが知りたいのは、貴社が無罪を証明し上場廃止を回避するため、あなたがどのような計画を立てているかです。また、リー氏退社の具体的な理由もお聞かせください。リー氏とその他の取締役の間にどのような見解の相違が生じたのでしょうか。

以上、よろしくお願いします。

これに対する新華の回答は以下の通りです。

新華ホールディングス濱田です。
お世話になっております。

この度は当社CEOワン・ビンへの取材並びに会社説明会のお申し込みありがとうございました。

ただ残念ではございますが、当社としては今回の取材の申し込みをお断りさせていただき、また会社説明会へのご参加もご遠慮いただきたい意向です。

米国起訴の件につきましては、まだ裁判の途中であることに加え、当社のリーガル・カウンセル(米国)からの助言もあり、現在のところマスコミの皆様からのご質問に対して、いかなるコメントも控えさせていただいている状況です。

会社説明会に関しては、今回開催の目的は、あくまで「個人投資家」向けに当社の現状と今後の見通しをご説明させていただくことにあり、マスコミ向けでは無いということが理由です。

また、前CEOのジェイ・リー氏の退任に関しては、11月1日に公表させていただいております「代表取締役の異動に関するお知らせ」をご覧下さい。

以上、ご意向に沿うことができませんで、誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

参加もご遠慮いただきたいとは、オリンパスとそっくりです。新華の濱田氏の対応は、本誌を会見からも排除したオリンパスの最悪の広報室長、南部昭浩氏と同じ。新華もその轍を踏むのでしょうか。

ところで、ワン氏はこのたび来日し、12月16日に東京で投資家向けの会社説明会を開きます。マスコミの取材を拒否するのは自由ですが、ワン氏には株主に対する説明責任があります。説明会に出席する投資家の方には、ぜひ弊誌に代わって彼に直接質問をぶつけて頂きたいと思います。