阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2011年12月31日オリンパスの鑑、百武鉄雄秘書室長を褒め讃える

    ことし1年、オリンパスとは水面下でさんざん攻防戦をしましたが、最後にサラリーマンの鑑というべき忠犬に讃歌を捧げたい。百武鉄雄氏、オリンパスのグループ経営統括室経営企画本部秘書室長のことです。

    本誌は11月25日付で彼が署名し、オリンパスの社印まで捺してある文書を入手しました。そこに元社長兼会長の菊川剛氏への涙ぐましいまでの忠勤ぶりが現れています。まさに菊川氏を「最高領導者として高く仰ぎ奉じる」日本のポチの模範です。

    百武氏署名のこの文書、「定期建物賃貸契約書」とあって、今は東京地検特捜部の聴取を受ける身の菊川氏の隠れ家を会社が提供しているとの内容です。

  • 2011年12月22日オリンパス家宅捜索の感想

    まあ、予想どおりの展開といったところでしょうか。しかし結論が先にありき、でないことを検察、証券監視委、そして警視庁には祈ります。

    横尾宣政氏について一言。野村企業情報にいた時代から、「おれがおれが」で上司の言うこともまるで聞かず、確か1年で元に戻された過去もあるようです。その時代の話をもしかしたら聞けるかと思い、風月堂前6Fに行こうとしたのですが、タッチの差で逃げられてしまいました。ロマネコンティのコレクションは国税に押収されることになるのでしょうかね。

  • 2011年12月15日SBIホールディングスに対する公開質問状

    最新号では、証券界の異端児と言われ、野村証券出身で退社後はソフトバンクの孫正義社長と組んでCFO(最高経営責任者)となり、その後、独立してSBIグループの総帥になった北尾吉孝氏のファンド運営がどのようになされているかを深く追跡した記事を載せます。

    この8月に運用を終えたファンドの一つ、匿名組合の運用実績がどうのようなものであったかを、公開企業および未公開企業の投資先全社の固有名詞と、その簿価、売却金額、損益を1円単位まで丸裸にしたリストを掲載するとともに、SBIホールディングスに対して送った質問状とその回答をここに公開します。

    オリンパスのケースでは、これまで調査報道にとって厚い壁だったSPC(特別目的会社)のベールを剥ぐことができたのですが、今度はもう一つの壁である匿名組合のベールを剥ぐことができました。それは我々が内心密かに誇っている成果です。

    40年近く前の「田中金脈」追及報道で文藝春秋が土地や法人の登記簿謄本からさかのぼる手法を開拓し、私も90年代のバブル崩壊期までその手法に準拠していましたが、不良債権処理の過程でSPC、匿名組合、LLP(有限責任事業組合)などが認められるようになり、さらに海外も使われて、飛ばしの多くが見えなくなりました。

    今回、FACTAがチャレンジしているのは、今まで難攻不落だったこのビークルを突破することで、創刊以来、悪戦苦闘の末にこじあけることに成功し始めました。その手口が解明されることは、証券取引等監視委員会や金融庁、検察庁にも新たなフロンティアを開拓することになるでしょう。

    下記は、明けた突破口からFACTAがいかに追及していくかの一端です。

  • 2011年12月15日目黒のサンマでなく「目黒の8万」 財務事務次官・勝栄二郎氏の家賃

    昨日は東証上場の新華ファイナンスへの質問狀とその回答書を公開しましたが、今日は「影の総理」とされる増税総司令官の勝栄二郎・財務事務次官に関するやり取りを公開したいと思います。

    この不況下で増税を強行しようとしている野田佳彦総理の背後で黒衣に徹しているのが財務省一家ですが、そのトップが住んでいるのが家賃激安の公務員住宅です。写真を撮りに行ってみましたが、一等地の高台のはなに城塞のように聳えたって、下々を睥睨するような12階建ての立派な集合住宅でした。

    あきれるというより、こんなところに住んでいながら、「民間社宅なみ」と強弁する神経には恐れ入ります。だいたい、大企業でもこんな一等地に250戸もの社宅を抱えるところはそうはありません。首都高速の音もこの高台のうえまでは届かず、閑静かつ景色のいい場所でした。

    これを役得とみる意識がまったく欠けているお役人に、「官のムダ削減はもう限界だから、あとは増税で税収増を図るしかない」と言う資格があるのでしょうか、というのが素朴な疑問です。

    というわけで、FACTAは財務省に以下のような質問状を送りました。

  • 2011年12月14日オリンパスよりも悪質な新華ファイナンス

    ブラックアウト期間中ですが、次号記事に関連して、あちこちに質問状を発していますので、次号の刊行に先だって、その応酬を事前に公開していきます。まずは中国銘柄。

    FACTAが不正会計疑惑を指摘した上場企業はオリンパスだけではありません。2004年に東京証券取引所の中国系企業第1号としてマザーズに上場した新華ファイナンス(現新華ホールディングス)は、オリンパスよりも悪質で日本の資本市場を愚弄する存在と言えます。

    本誌7月号の記事(「東証赤っ恥『新華』創業者起訴の真相」)で報じたように、創業者で前CEO(最高経営責任者)のフレディ・ブッシュを含む元役員3人が、在任中のインサイダー取引、粉飾決算などの容疑で米国の裁判所に起訴されています。米連邦捜査局(FBI)が3人を捜査し大陪審が起訴を決定したということは、米司法当局が新華の粉飾決算を指摘したのと同義です。

    にもかかわらず、新華は「現在の取締役及び取締役会は、本件起訴に関わる取引については、一切存じ上げません」という声明を出したきり知らん顔。オリンパスのように第三者委員会を設けて起訴事実を調査したり、過去の決算を訂正したり、会社として元役員を告発する気はさらさらないようです。オリンパス以上に悪質と言えるゆえんです。

  • 2011年12月 9日またブラックアウト期間です

    オリンパスの高山社長が、取締役の総退陣を口にし、12月14日には滑り込み中間決算発表を行う前の佳境ですが、また編集の「籠の鳥」になります。しばらくは何が起きてもコメントできなさそうです。

  • 2011年12月 6日オリンパス第三者委員会報告

    12月6日に東京・大手町のファーストスクエアでオリンパス第三者委員会(甲斐中委員長)の報告が発表されましたが、私は所用があって行けず、山口記者と弊社社員に行ってもらった。

    報告は会見後に見たが、ワクワク半分、ドキドキ半分である。ワクワクは新事実があるかどうか、ドキドキはFACTAが今まで報じた部分で違いがあるかどうか。入試結果を見に行くようなものだ。

    結論から先に言うと、カネの流れの細部、とりわけ飛ばしスキームと穴埋めスキームの細部は、さすがに内部資料を入手できた委員会だけに、目新しい部分があった。ディテール大好き人間の私にとっては興味をひく部分もあり、細部へのこだわりをかなり満足させてもらえた。

  • 2011年12月 5日手嶋龍一著『ブラック・スワン降臨』

    FACTAの連載コラム「手嶋龍一式intelligence」でカバーしてきた世界が、著者手嶋氏の書き下ろし本になりました。タイトルは『ブラック・スワン降臨 9・11-3・11インテリジェンス10年戦争』(新潮社 税別1500円)です。12月7日発売です。

    その後書きを頼まれたので、手嶋氏の応援団としてこのブログに掲載します。なお、この後書きの圧縮版を新潮社の「波」12月号に載せています。また、これとは別に、今週末の熊本日日新聞の書評欄でこの本を取りあげ、まったく別の文章を載せる予定です。

    以下に載せる後書きのタイトルは「ロゼッタ・ストーンの沈黙」です。

    *     *     *     *     *

    たった一片のピースから、ジグソーパズルの全絵図面を復元できるか。

    不可能? いや、それが手嶋龍一氏の言う「インテリジェンス」――錯綜する情報の分厚いヴェールからコアを透視する行為の本質だと思える。

    漫然と集積される「インフォメーション」からそれは抽出できない。そこで必要になるのは、内部情報を暴くスパイまたは告発者の存在か、物事の本質を見抜く勘か、脳細胞に蓄えた過去の記憶か、さんざん苦汁をなめた経験か、なにかこの世のものならぬ霊感か。

    いずれでもあっていずれでもない。インテリジェンスの原語はラテン語のintellegentia である。inter(中を)lego(読む)作業、すなわち「内在する物語を読む」ことに尽きる。インテリジェンス・オフィサーとは、優れた物語の紡ぎ手なのだ。手嶋氏を衝き動かしているのも、この内在する物語を語る本能だろう。

  • 2011年12月 1日ウッドフォード氏が抗議辞任

    連絡がありました。プレスリリースの内容を見ると、これまでの主張の延長線上にあり、この問題から身を引くというものではないようです。

    リリースでは、高山修一社長以下、オリンパスの現取締役会は、菊川前会長らが延命のために指名した顔ぶれであって、損失隠しや同社長解任に加担した役員からなり、企業再生を担うレジティマシーがないという理由で、取締役会の総退陣と臨時株主総会の開催を要求しています。

    私も先週のパネルディスカッションやブログ、また最新号の「社外取締役」の記事にあるように、高山社長自身にレジティマシーがないと考えています。菊川「一味」の社外取締役に推薦されて、社長に就いているからです。

    そのうえに社内では、「ガイジンに会社を乗っ取られるな」など恐怖心をあおることを社員の前で言い触らし、管理職には「会議室には盗聴器が仕掛けられているかもしれない」などと、FACTAが違法取材を行っているかのような流言飛語をまきちらしている現状には、あきれるほかありません。

    先週、ウッドフォード氏はいきなりの社長解任は「私のトラウマになった」と言っていましたが、こういう卑劣な保身策に走る取締役たちはさっさと総退陣すべきで、その範を示すために自分が先に辞めるという判断はまっとうだと思います。

    リリースの日本語訳は以下の通り。