阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

  • 2007年9月29日ニュースサイト戦国時代2――ヤフー包囲網の底抜け

    私の古巣は新聞社だから、今回のニュースサイト大再編はもともと他人事ではない。私が記者だった時代にも、QUICKなどの速報媒体へニュースを送っていたから、紙と電子メディアの相克は身をもって知っている。

    それゆえ、新聞側がヤフーに感じる脅威感はよくわかるつもりだ。しかしFACTAはヤフーと記事提供(雑誌掲載記事の一部)の契約を結び、インターネットではコンテンツ・プロバイダーの立場でもある。攻める側、守る側の両方を見ているのだ。

    現在、ヤフーのニュースサイトに読売は記事を提供しているが、朝日、日経は提供していない。共同通信もモバイルを除いては提供をやめた。しかし、毎日、産経、時事のほか、AFPやロイターなど70社がヤフーにニュースを提供している。

    朝日の歴代社長はヤフーのようなポータルサイトに記事提供したら「新聞の死刑宣告にひとしい」と思っているらしく、「自分の代では勘弁してくれ」と提供要請に対しこれまで先送りを重ねてきた。

  • 2007年9月28日ニュースサイト戦国時代――ヤフー井上雅博社長に聞く(下)

    ヤフーへの記事配信をストップ、全国の地方紙と組んで「47NEWS」を始めたものの、ページビュー(PV)が低迷している共同通信の惨憺たる失敗は他山の石と言っていい。ネットレイティングスの調査では、7月月間の家庭からのサクセスがわずか23万6000件で、ヤフーニュースの2024万件のおよそ百分の一である。

    新規サイトを立ち上げる企業が、「せめて47NEWSを超えなくちゃ」を合言葉にするくらい、ネット界で失笑を買っている体たらくだ。ヤフーを「干す」ために、単独で対抗しようとすることがどんなリスクを内在しているかの実例といえよう。

    そこで合従連衡が出てくる。ヤフーの牙城を崩すためにグーグルの力を借りようとしているらしい読売、朝日、日経の「ANY」と、毎日から離れたMSN(マイクロソフト)と組んだ産経の戦略が、今後奏功するかどうか。自らネット戦略を立てるだけのスタッフを持たない新聞社が、ヤフーのライバルの力を借りて対抗しようというのだ。

  • 2007年9月27日ニュースサイト戦国時代――ヤフー井上雅博社長に聞く(上)

    新聞のニュースサイトが大再編に突入している。ネットと紙の共食いを恐れていた新聞が、ニュース配信のポータルサイトに食われて、合従連衡に走りだしたのだ。挑戦を受けるヤフーはどうするのか、ヤフーの井上雅博社長に独占インタビューした。

    まず、バックグラウンドを説明しておこう。

    毎日新聞と組んでいたマイクロソフトのポータルサイト「MSN」が9月末に契約を解消、10月から産経新聞と組んで「MSN産経ニュース」がスタートする。袂を分かった毎日新聞はこれまでの「MSN毎日インタラクティブ」を「毎日jp」に衣替えする。

    一方、読売、朝日、日経の3社は共同ポータルサイトを計画中で、朝日の「asahi.com」、日経の「NIKKEI NET」、読売の「YOMIURI ONLINE」を軸に「ANY」(3社の頭文字と英語のanyをかけた命名)をオープンする模様だ。

    だが、この大再編の実像は、巨大なヤフーのニュースサイトに対する「恐怖の対抗策」に見える。包囲網とはいえ、彼我の差はあまりに大きいからだ。

  • 2007年9月25日井上久男著「トヨタ 愚直なる人づくり」のススメ

    元朝日新聞記者の井上久男氏が本を書いた。「トヨタ 愚直なる人づくり--知られざる究極の『強み』を探る」(ダイヤモンド社、1600円)である。

    朝日経済部時代に自動車業界を担当、朝日を辞めて大学院で学ぶ身になっても、なお取材して書き上げた本である。

    「文藝春秋」で日産の特集記事とカルロス・ゴーンの独占インタビューを行ったと言えば、思い出す人もいるだろう。FACTAも彼に取材、編集等で協力してもらっている。

    本書を推奨するのは、在野にあってなお取材を続行するその志を応援したいからだ。

    著者のご厚意により、抽選で10名様に本書を進呈します。希望される方はお名前、ご送付先住所、電話番号、メールアドレス、ご職業等を応募フォームにご入力ください(受付は終了しました)。応募締め切りは9月30日です。結果は発送をもって返させていただきます。

  • 2007年9月19日10月号の編集後記

    FACTA最新号(10月号、9月20日発行)の編集後記を掲載します。

    *   *   *   *   *

    げに凄まじきは中国、と肩をすくめたくなった。香港の盧四清氏が寄稿した「解放軍内も『江沢民派』一掃」(54~57ページ)の記事のことである。世に「三国志演義」のようなマユツバの中国論はいくらもあるが、現在進行形で胡錦涛vs江沢民の人事抗争の内幕を見せつけられると息をのむ。軍に根を張った前任者の基盤を、爪を剥ぐ拷問のように一つ一つむしる冷酷さ。虫も殺さぬ顔の後継者の前で、江沢民の笑顔は凍りついている。

  • 2007年9月14日【緊急トーク 手嶋龍一×阿部重夫】「亡国の総理」辞任(下)

    福田康夫・元官房長官が自民党総裁選出馬の意向を示し、ポスト安倍政局は一気に福田政権誕生へと傾くことになった。安倍総理の続投をいち早く支持しながら、内閣改造人事で主導権を握った、麻生太郎・自民党幹事長に「寝首をかかれた」と安倍氏の眼には映ったのだろう。こうした麻生幹事長に対する包囲網が次第に形成され、党内最大派閥の町村派が福田氏を担ぎ出すことになった。小派閥の麻生氏の“禅譲”路線は危うくなりつつある。

  • 2007年9月13日【緊急トーク 手嶋龍一×阿部重夫】「亡国の総理」辞任(中)

    政局の動きは速い。安倍晋三総理の衝撃の辞意表明から1日たって、後継に麻生太郎自民党幹事長と、「反麻生」陣営の包囲網とが浮き彫りになってきた。反麻生側が担ぎ出そうとしている候補に、福田康夫・元官房長官や小泉純一郎・前総理の名があがっている。額賀福志郎・財務相も出馬の意向を示している。今の時点ではまだ帰趨を予測するのは早いが、後継に誰がなろうとも安倍政権の尻拭いをしなければならない。最大の問題の一つは日米関係だろう。本日はそれをテーマに対談する。

  • 2007年9月12日【緊急トーク 手嶋龍一×阿部重夫】「亡国の総理」辞任(上)

    正午すぎ、携帯が鳴った。メールである。「今、テレビを見ていたら、安倍さん辞任を表明したそうです」。みなさんと同じくのけぞった。さあ、雑誌は大変。でも、先日の遠藤農水相辞任の当日、編集長ブログでこの緊急対談を試みたら、どっとアクセスが殺到したことを思い出した。同業の雑誌編集者からも「あの速さには驚きました」とご好評だった。で、二匹目のドジョウというわけではないが、今回も手嶋龍一氏から電話があり、TOKYOミッドタウン45階でとっさの緊急対談をして、さくさくっとここに載せる次第である。

  • 2007年9月 5日【緊急トーク 手嶋龍一×阿部重夫(下)】テロ特措法、小沢民主党のツッパリ

    安倍政権の弱体化で、参院で第一党の座を占めた小沢一郎民主党の攻勢は一段と強まりそうです。当面は11月に期限切れを迎えるテロ対策特別措置法の延長問題が与野党の攻防のヤマ場となりそうです。シーファー駐日大使はじめアメリカのブッシュ政権は、ワシントンで東京でと対日工作を本格化させています。大統領自身が8月30日、「日本が今後も前向きな影響力を保つことを望んでいる」と述べ、異例の形ながら延長へ強い期待感を表明しました。また来日したドイツのメルケル首相もEU側の意向を代表する形でテロ特別措置法の延長を求めています。

    これに対して小沢代表は「アフガニスタンでの軍事行動は国連決議の裏づけがない」と延長に反対の姿勢を崩していません。この問題は単なる日本の政局を超えて、国際的な波紋を広げていますが、こうした小沢発言の背景となっている国連の集団安全保障と集団的自衛権をめぐる憲法問題を、FACTAトーク(手嶋×阿部)の対談で論じてみました。

  • 2007年9月 4日【緊急トーク 手嶋龍一×阿部重夫(中)】安倍政権の躓きは内政だけではない

    遠藤農水相の辞任を機に、安倍政権は再び揺らぎ始めました。内閣改造による人心一新どころか、リーダーシップの弱体化が一層進む可能性が強まり、安倍総理の「再チャレンジ」は絵に描いたモチとなりそうです。今回は政権の意思決定空洞化が、年金や「政治とカネ」といった内政ばかりでなく、外交や安全保障にも及んでいることをしていることを議論しました(※前回の続き)。

  • 2007年9月 3日【緊急トーク 手嶋龍一×阿部重夫(上)】三度目の正直? 遠藤農水相辞任と安倍政権の命運

    7月29日の参議院選挙で自民・公明の与党が大敗を喫してからおよそ1カ月、8月27日に安倍政権は自民党三役から閣僚まで大幅に入れ替える改造人事を行いましたが、わずか1週間で遠藤武彦農水相が辞任に追い込まれる事態となりました。5月に自殺した松岡氏、8月に事実上更迭された赤城氏に続き、3カ月余で農水相が3人もスキャンダルで交代するという異常事態。党内外から上がった「仲良し官邸団」との批判に、この内閣改造は応えていたのか否か。そもそも有権者は安倍政権に何を突きつけていたのでしょうか。

    参院選前にFACTAが主催してトークイベント(手嶋龍一×阿部重夫)を行い、参加者の方々から「トークイベントで明らかにされた隠れた争点とその後の情勢の読み方は、他のメディアでは接することができなかったものであり、選挙と改造後のフォローアップと検証をぜひ」という声が数多く寄せられました。こうした要望にお応えするため、参議院選挙で浮かび上がった真の争点を再考してみました。